第8回「山の日」全国大会 TOKYO 2024(以下、山の日 東京大会)の記念式典および歓迎フェスティバルが、8月10日~11日に東京・八王子で開催された。同イベントは、東京都が進める100年先を見据えた緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」で掲げる、豊かな自然の魅力を発信する取り組みの一つとなる。11日に行われた記念式典では、山と都市、自然のあり方を芸術的に表現したメインアトラクションをはじめ、著名人によるトークセッション、合唱・演奏などで、山の魅力や生物多様性を発信した。また、子どもから大人まで楽しめる歓迎フェスティバルを2日間にわたり開催。特別ゲストによるステージショーやさまざまな体験イベント、ワークショップ、ブース展示などを通じて、東京の山や自然の魅力を伝えた。
8月11日「山の日」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という趣旨で制定された国民の祝日。「山の日」全国大会は、この趣旨を国民に広く知ってもらうべく、毎年、開催場所を変えて実施されている。昨年の第7回は沖縄県で開催、そして第8回となる今年は東京都が会場となり、東京都が進めている100年先を見据えた緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」の取り組みの一環として、「東京全体」でさまざまな行事や関連イベントを展開している。
「山の日」当日の8月11日には、「山の日 東京大会」の記念式典がJ:COMホール八王子で開催された。まず、オープニングアトラクションとして、八王子実践高等学校 書道部が書道パフォーマンスを披露した。
メインアトラクションでは、「未来に向けて見つめ直す、山への敬意と感謝」をテーマに、山とともに生きてきた人々の生活や文化の移り変わりを、さまざまなパフォーマンスで表現。
古澤美樹氏プロデュースのダンスチーム「symbiose」による創作ダンスや、東京楽竹団による自然音楽、Brilliant Me Dance Studioによるブレイクダンスなどが披露された。また、講談師が語り手となり、アトラクションのストーリーをつないでいった。
主催者挨拶では、東京都 副知事の栗岡祥一氏が登壇。「『山の日』全国大会は、山の恵みに感謝し、美しく豊かな自然を守り、次の世代に引き継いでいくために、平成28年から全国で開催されてきたイベントとなっている。東京都では、100年先を見据えた新たな緑のプロジェクト『東京グリーンビズ』を推進しており、東京の緑を守る、育てる、生かす取り組みを強化し、自然と調和した持続可能な都市への進化を促している。また、私たちの生活と深く関わり、恵みをもたらす自然を、多くの国民の共感を得ながら守り継いでいくことが重要だと考えている。『山の日 東京大会』では、今回の記念式典以降も、紅葉シーズンまで、都内各地で山の様々な魅力を体感できるイベントを用意しているので、ぜひ足を運んでほしい」と、東京都知事 小池百合子氏のメッセージを代読した。
続いて、全国山の日協議会 会長の谷垣禎一氏が登壇。「『山の日 東京大会』は、『山とともに成長する都市、東京。~山々の恵みを未来につなぐ~』をテーマに、東京全体を会場に見立てて様々なイベントを実施し、東京の山や自然の魅力、豊かな生物多様性を体感できるように企画されている。豊かな自然がある一方で、近年は、自然災害も頻発しており、山に親しむということは、自然の脅威に対応できる人づくり、街づくりも内包させて考えるべきではないかと考えている。災害に強い国という観点から、『山の日』が、山と自然の学びの場として機能し、たくましい子どもたちが東京から育ってくれることを願っている」と祝辞を述べた。
来賓挨拶では、環境大臣政務官の朝日健太郎氏が登壇。「祝日として『山の日』を有しているのは日本だけとなる。日本は、国土の7割が緑豊かな山からなる山の国であり、日本人は古くから山の恵みに感謝し、自然とともに生きてきた。こうした山への思いは、次の時代を担う子どもたちにも着実に引き継いでいかなければならないと感じている。今回の開催地である東京都には、豊かな山と生物多様性に恵まれた魅力的な国立公園があり、小笠原諸島は世界遺産にもなっている。環境省では、自然を生かし、保護と利用の好循環の実現に向け、国立公園満喫プロジェクトを全国で展開している。今後も、国立公園の貴重な自然を次世代に引き継ぐとともに、多くの人々に美しい自然に感動してもらえるよう取り組んでいく」と、豊かな山の自然を保護し次世代につないでいく重要性を訴えた。
次に、林野庁長官の青山豊久氏が挨拶した。「私たちは、毎日の生活の中で、山の森林からたくさんの恩恵を受けている。例えば、二酸化炭素を吸収する、地球温暖化の防止、災害から生活を守る、レクリエーションの場の提供、生物多様性の確保、そして木材をはじめとする林産物の供給など。日本の森林の大半は、植栽から50年を超えているため、切って、使って、育てる森林資源の循環利用が可能であり、地域の林業、木材産業を持続的に発展させ、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していくことが大切だと考えている。今回の『山の日 東京大会』を契機に、多くの人々が森林に対する理解と関心を深めてもらえることを願っている」と、「山の日 東京大会」への期待を語った。
ここで、フリーアナウンサーの川田裕美氏が司会を務め、東京都 副知事の栗岡祥一氏、登山愛好家でもある女優・タレントの釈由美子さん、登山家の野口健氏によるトークセッションが行われた。トークセッションでは、東京の山と自然の魅力などについて、さまざまな視点で語り合い、それぞれの立場から自然と共生する都市東京の未来について発信した。釈さんは、「東京はアクセスもよく、とても素敵な山がたくさんあるので、ぜひ家族で登って、東京の山にもっと親しんでほしい」と話していた。野口氏は、「近年は自然災害が多発しており、災害に強い人間を育てていくことが大切になる。その意味で、子どもの頃に自然体験をすることがすごく重要だと感じている。自然体験では、ちょっとしたピンチが訪れる。この積み重ねが、生命力の強さにつながっていくと思う」と、子どもの頃から積極的にアウトドア体験をしてほしいとアピールしていた。
記念式典の最後には、「山の日」全国大会の次期開催地へ「山の日帽」を引き継ぐリレーセレモニーが行われ、東京都 副知事の栗岡祥一氏から、来年の開催地となる福井県知事の杉本達治氏に「山の日帽」のバトンが渡された。
また、「山の日 東京大会」では、8月10日・11日の2日間にわたり、東京たま未来メッセで、子どもから大人まで楽しめる歓迎フェスティバルを開催した。ステージショーでは、東京の山や自然をテーマにした魅力的なパフォーマンスをはじめ、お笑いコンビの錦鯉やお笑い芸人のみやぞんさんが登場したお笑いライブなどで会場を盛り上げた。体験・ワークショップでは、生きものを身近に感じられる体験型展示やワークショップで東京の生物多様性を体感してもらった。
この他、会場には協賛企業や関係各庁、区市町村もブースを出展。東京グリーンビズのブースでは、今年7月30日にプレリリースしたデジタルマップ「東京グリーンビズマップ」を操作体験できるコーナーを設置していた。「東京グリーンビズマップ」は、東京の緑あふれるスポットやイベント情報を発信するデジタルコンテンツとなっている。同マップには、東京の公園・緑地(約340ヵ所)、民間施設等(約50ヵ所)、並木(約30ヵ所)、緑に関するイベント情報などが掲載されており、東京の緑についてもっと深く知ることができるという。
東京都=https://www.metro.tokyo.lg.jp/
第8回「山の日」全国大会 TOKYO 2024=https://www.yamanohi-tokyo.com/event_festival/
東京グリーンビズマップ=https://www.tokyo-greenbizmap.metro.tokyo.lg.jp/