法人税
(画像=Shamleen/Shuttrstock.com)
内山 瑛
内山 瑛(うちやま・あきら)
公認会計士。名古屋大学法学部在学中に、公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人に入所し、会計監査・コンサルティング業務を中心に研鑽を積む。2014年に同法人を退所し、独立。「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様に総合的なサービスを提供している。近年は、銀行評価を向上させる財務コンサルティングや内部統制構築支援、内部監査の導入支援にも力を入れている。

法人税は、どのように計算されるのだろうか。単純に、利益に税率をかければ出るのだろうか。大雑把に言えば間違っていないが、それでは正確な数値は求められない。税金の計算には、税法独特の考え方があるからだ。ここでは、法人税を正しく理解するために、その計算方法を解説する。

目次

  1. 法人税の計算の仕方
  2. 収益と益金の違い
    1. 益金になるもの
    2. 益金にならないもの
  3. 費用と損金の違い
    1. 損金になるもの
    2. 損金にならないもの
  4. 法人税以外にもかかる税金

法人税の計算の仕方

法人税額は、課税所得に税率をかけて求める。計算式自体は非常にシンプルだが、その中身はやや複雑だ。そこで、それぞれの構成要素を詳しくみていきたい。まずは、利益と所得の違いを確認しておこう。

利益とは、会社の儲けを示すものであり、その年の経営状況を評価する指標となる。売上などの収益から、仕入や販管費などの経費を差し引いたものが利益だ。所得とは、税金計算の基礎となる数値であり、税金計算上の収益にあたる「益金」から、同じく費用にあたる「損金」を差し引いて計算される。

実際の計算では、利益額をもとに、所得の計算との違いを調整することになる。収益と益金、費用と損金の具体的な相違点については、後程解説する。

所得の金額が確定したら、そこに税率を乗じて法人税の金額を計算する。法人税の税率は会社の規模や所得の金額によって異なり、中小企業の場合は800万円以下の部分については15%、800万円を超える部分については23.2%だ。

収益と益金の違い

ここでは、税法上の益金について詳しく解説する。

益金になるもの

有償での商品・サービスの提供については、基本的に会計上の収益と益金は同じだ。商品を販売したり、サービスを提供したりして現金などを受け取った場合は、税法上の益金となる。この他、固定資産の売却益や預金利息の受け取りなども会計上の収益と同じく、益金となる。

会計と異なるのが、無償で商品を販売したり、サービスを提供したりした場合も、益金に該当することだ。その場合は、時価で取引が行われたものと見なされるのだ。帳簿に載らない無償での商品・サービスの提供があった場合には、税金を計算する前に、その分を所得に加える必要がある。

益金にならないもの

逆に、会計上は収益になるが、税法上は益金にならないものがある。税法上で益金にならないものについては、税金の計算をする際に、その分を所得から差し引く必要がある。

受取配当金の益金不算入が、その代表例だ。他社の株式を保有している場合、配当金を受け取ることがある。配当金は普通預金などに振り込まれることになるため、一般的に会計上では受取配当金として収益に計上することになる。

しかし、配当金の原資は法人税等を支払った後の利益だ。配当金を受け取った側にも課税してしまうと二重課税となってしまうため、受け取った側では一定の計算のもと、一定額を益金にしないことになっている。

費用と損金の違い

ここでは、税法上の損金について詳しく解説する。

損金になるもの

法人税における損金は、会計上の費用と同じだ。売上に直接かかわる仕入や材料費などの原価は当然損金となるし、販売費・一般管理費や売上には関係のない損失も損金として認められる。人件費や水道光熱費、消耗品費、地代家賃、固定資産売却損、棚卸資産の廃棄損などがこれにあたる。

このように企業が支出する費用は、原則として事業に必要なものであるため損金になるが、一定のルールを定めないと、経営者の裁量や利益の大小によって費用を調整されてしまう可能性がある。そこで、経営者の裁量で金額を決められる一定の費目については、税法上特別なルールを設けている。

損金にならないもの

その代表が、役員報酬・役員賞与である。役員報酬や役員賞与は原則損金にはならないが、定期同額給与や事前確定届出給与など一定の要件を満たしたものについては、損金として計上できる。

役員報酬は株主と役員によって容易に調整できるため、損金算入を無制限に認めれば、取締役への報酬を調整することで税金の納付を逃れられる。そのような租税回避を防止するために、このルールがあるのだ。

定期同額給与は、会計年度の最初の3ヵ月目までに支給額を決め、一定の金額を支給していくものだ。事前確定届出給与は、会計年度の最初の4ヵ月目までに支給額と支給日を決め、税務署に届け出て、の金額を支給日に支給をするものだ。支給額は1円も違ってはならないし、支給日は1日もずれてはならない。

接待費用や贈答品などの交際費は、税法上は原則として全額損金不算入である。意図的に交際費を多く使用して損金を増やすことで税金を抑える行為を防止し、企業の無駄な支出を抑えて冗費を節約させるためだ。

ただし、特に中小企業の取引慣行を鑑みて、一部の交際費については業務遂行上必要と認められ、損金性が強いことから、例外的に損金算入が認められている。

まず、1人あたり5,000円までの飲食代などは、交際費ではなく会議費として全額損金算入できる。接待の金額を1人あたり5,000円以内に収める必要があるのであって、5,000円を上限として損金算入が認められているわけではないので注意したい。

そして、上記の会議費を除く交際費や飲食費については、その50%を損金算入することが可能である。そして、資本金1憶円以下の中小企業については、飲食費の50%の金額と800万円のいずれか大きい金額を損金算入することが可能である。

寄付金については、原則として一定の金額までしか損金に算入できない。通常の寄付金の損金算入限度額は、「資本金の額×1/400+所得の金額×1/40」である。寄付金を無制限に損金算入できるようにすると、赤字の会社に寄付をすることで租税回避ができてしまうため、寄付金の損金算入額に制限が設けられているのだ。

ただし、国や地方公共団体への寄付金は、全額損金算入が認められており、公益法人やNPO法人への一部の寄付金については、損金算入限度額が高くなっている。公共性の高い法人への寄付は公益に資するし、租税回避の手段にもなりにくいので制限が緩くなっているのだ。

法人税以外にもかかる税金

会社が支払う税金と言えば、まず法人税が思い浮かぶ。会社が生み出した所得に対して課税されるものには法人税以外に、都道府県や市町村に納入する法人住民税や事業税、地方法人特別税などがある。

法人住民税は、「法人税の12.9%+均等割7万円」だ。ただし、自治体によって均等割の金額などが微妙に異なることがあるため注意したい。複数の都道府県や市区町村で事業を行っている場合は、それぞれの自治体で均等割が徴収されることになる。

法人住民税は、法人税と同様に一定の金額を超えると税率が上がったり、資本金の額によって均等割の金額が上がったりする。均等割については、赤字でも納付しなければならない。

事業税は、都道府県が課税する税金の1つだ。事業税の最大の特徴は、支払った事業年度の損金に算入できることである。事業税は、理論的には所得ではなく事業そのものに課税されるものであり、固定資産税などと同じく物税であると考えられているからだ。

事業税は、法人の種類や規模によって課税方法が大きく異なる。資本金1億円以下の中小企業の場合は、法人税と似た課税方法だ。東京都の場合、課税所得400万円以下の部分の税率が3.4%、課税所得400万円超800万円以下の部分が5.1%、課税所得800万円超の部分が6.7%である。

資本金1億円以上の企業には、「外形標準課税」が適用される。これは法人税の計算方法とは大きく異なり、赤字でも発生する税金だ。外形標準課税適用法人の課税標準は、「所得割」「付加価値割」「資本割」に分かれている。

所得割は東京都の場合、課税所得400万円以下の部分が0.395%、課税所得400万円超800万円以下の部分が0.635%、課税所得800万円超の部分が0.88%だ。付加価値割は、大雑把に言えば利益と人件費、純支払利子(支払利子-受取利子)、純支払家賃(支払家賃-受取家賃)を付加価値とし、それに税率1.26%を乗じて計算される。

資本割は、資本金等の金額に0.525%を乗じて計算される。このように、資本金が1億円を超えるかどうかで計算方法が大きく変わるため、組織再編などを活用して外形標準課税の適用を回避する中堅企業もある。

今回は、法人が支払う税金の計算方法について解説した。法人税等の計算では、会計上の収益や費用ではなく、税法特有の益金や損金という概念を用いる。益金と損金については難解な部分があるので、詳細は顧問税理士に確認する必要があるが、経営者として基礎的な内容は理解しておきたい。

文・内山瑛(公認会計士)

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