日本製鉄、USスチールを買収へ

日本製鉄株式会社(5401)は、2023年11月30日、12月15日及び12月18日開催の取締役会の決議により委任を受けた代表取締役により、12月18日(日本時間)、米国子会社であるNIPPON STEEL NORTH AMERICA, INC.(以下「NSNA」)を通じ、米国の高炉・電炉一貫の鉄鋼メーカーであるUnited States Steel Corporation(米国ペンシルベニア州、以下「U. S. Steel」)を買収すること、及びU. S. Steelとの間で本買収に関する合併契約を締結することを決定した。

日本製鉄は、大手鉄鋼メーカー。製鉄、エンジニアリング、ケミカル・マテリアル、システムソリューションの各事業を展開している。

U. S. Steelは、自動車・家電・建材用途等の薄板、エネルギー分野用途の鋼管製品の製造・販売を行う。

日本製鉄は、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」として、「需要の伸びが確実に期待できる地域」「当社の技術力・商品力を活かせる分野」において、上工程から一貫して付加価値を創造できる鉄源一貫生産体制を拡大し、日本製鉄グループとして「グローバル粗鋼1億トン体制」を目指している。

一貫生産体制の拡大に当たっては、買収・資本参加(ブラウンフィールド)等による一貫製鉄所の取得、既存拠点の能力拡張を基本戦略としており、2019年12月にインドのEssar Steel India Limited(現AM/NS India)、2022年3月にタイのG steel及びGJ steelを買収した。

米国鋼材市場は国内需要が今後も安定的に伸長すると見込まれていることに加えて、先進国最大の市場であり、高水準の高級鋼需要が期待できることから、日本製鉄の培ってきた技術力・商品力を活かせる地域としている。

本買収は、日本製鉄の海外事業戦略に合致するだけなく、規模及び成長率が世界的に見ても大きいインド、ASEANに加えて、先進国である米国に鉄源一貫製鉄所を持つことによるグローバル事業拠点の多様化の観点からも、大きな意義のある投資と判断した。今後、この3つのグローバル重点拠点の拡張・充実により、企業価値の更なる向上を目指す。

また、U. S. Steelは、粗鋼生産量米国有数の高炉・電炉一貫鉄鋼メーカーで、自動車・家電・建材用途等の薄板、エネルギー分野用途の鋼管等を、米国と欧州(スロバキア)で製造・販売を行う。粗鋼生産能力は約20百万トンで、競争力ある高炉一貫製鉄所に加え、高級鋼の生産が可能な先端的な電炉ミニミル、北米生産拠点で使用する鉄鉱石を自給できる鉄鉱石鉱山などの有用な資産を保有する。

また、電炉ミニミルの能力増強、電炉の原料となる直接還元鉄用ペレット製造設備の新設等、カーボンニュートラル化にも資する成長投資を行っている。

本買収により、日本製鉄グループのグローバル粗鋼生産能力は約86百万トンまで拡大し、更なる広がりを持つことになる。 両社の有する、電磁鋼板や自動車鋼板などの高級鋼製品に関する技術力を活かした製品・サービスを提供することで、顧客と社会に広く貢献し、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指す。

・買収の概要・方法
本買収は、NSNAが本買収のために設立した子会社である2023 Merger Subsidiary, Inc.とU. S. Steelとを合併する方法(逆三角合併)により実行する。

具体的には、当該合併により、U. S. Steelの発行済株式が合併対価(1株当たり55米ドル)を受領することができる権利に転換されて消滅し、それと同時に、NSNAが保有していた2023 Merger Subsidiary, Inc.の発行済株式がU. S. Steelの株式に転換されることにより、U. S. Steelは日本製鉄の完全子会社となる。

・取得株式数,取得価額
取得株式数  223,135,077株 (議決権の数:223,135,077個) 取得価額   U. S. Steelの普通株式 14,126百万米ドル( ※) ※新株予約権、Restricted Stock Unit、Convertible Notes等その他証券取得に関する支払いを行うために要する金額を含む

・今後の予定
U. S. Steel 株主総会決議日 2024年(暦年)上半期
本買収の実行日      2024年(暦年)第2又は第3四半期

鉄鋼・金属製品製造業界のM&A・事業承継の動向はこちら
(提供:日本M&Aセンター

無料会員登録はこちら