味の素、米国の遺伝子治療薬企業を約828億円で買収

味の素株式会社(2802)は、連結子会社である味の素北米ホールディングス社(米国カリフォルニア州)を通じて、米国の遺伝子治療薬CDMOのForge Biologics Holdings, LLC(米国オハイオ州、以下Forge社)の全持分を約554百万米ドル(約828億円)で取得し、完全子会社化することを発表した。

味の素は、調味料最大手企業としてアミノ酸技術で飼料・医薬などの多角化を行い、海外で家庭用食品を拡大している。 Forge社は、2020年に設立。遺伝子治療薬CDMO、遺伝子治療薬の開発事業を行い、遺伝子治療薬製造の過程で重要なAAV製造とプラスミドDNAの製造能力、高純度・高収率のAAVベクター生産技術を有する。

味の素は2023年2月に発表した中期ASV経営2030ロードマップにおいて、アミノサイエンス®の強みを活かした4つの成長領域を掲げており、ヘルスケア領域はその1つ。

ヘルスケア領域では、アミノ酸及び低分子医薬CDMOの既存事業の確実な成長に加えて、核酸医薬・バイオ医薬品CDMO事業や再生医療・抗体用培地、メディカルフード事業等による成長加速を見込み、遺伝子治療薬CDMOを次世代の戦略事業の一つとして位置付けている。

本件を通じ、味の素グループのアミノサイエンス®とForge社の技術開発力を融合することで、遺伝子治療薬製造におけるサプライチェーンの最適化や、味の素の特許技術に基づく最適化培地の開発・提供による生産性や品質の向上、さらに、Forge社の遺伝子治療薬製造ノウハウの展開による細胞治療領域への参入など、先端医療分野のプラットフォームの構築を目指す。

・今後の予定
本買収は、米国における規制法令上の許可等の取得、その他合併契約に定める一般的な前提条件が充足されることを条件として2023年12月に実行を予定している。

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(提供:日本M&Aセンター

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