「ファンド」と聞くと怖いと身構えてしまう方もいるだろう。しかし現在において、PEファンドはさまざまな業界で中小企業の成長を支える社会インフラとして欠かせない存在だ。第4回までは、PEファンドの担当者と支援を受けた企業代表の対談、第5回はPEファンドと組むメリットについての対談をお届けする。
第4回目の今回は、PEファンドであるみずほキャピタルパートナーズと清川社長が組んで3年、その間の変化と今後の展望を語っていただいた。(聞き手:山岸裕一、編集構成:上杉桃子)※本インタビューは2019年12月に実施されました
仕組みの中に数字をチェックする行動が織り込まれている
―ファンドが入ってから、社内の人たちや文化はどう変わりましたか?
清川:製造業って特に、目指すところがあると一気にのめり込む部分があると思うんです。だから経営陣は新しいものや目指すものを創ってあげる必要があると思います。
―それまではなかったのでしょうか?
清川:それなりに利益は出ていて、そのままでも毎日は暮らせる雰囲気があったんですね。そこから、やるべきことをきちんとできる状況を整えると、より高みを目指せるようになりました。
―清川社長ご自身はどう変わりましたか?
清川:前よりもさまざまな部分をチェックするようになりましたね。仕組みでそうなっているので、必然的にチェックしています。たとえば、毎月の経営会議で進捗状況を見て、どこまで開発が進んでいるのか把握できる仕組みになっていますし、以前よりもスピーディにことが運んでいます。
―ファンド、みずほCPの支援を受けて特に良かったと思う点はありますか?
清川:私たちだけでは成し得なかったこと、外部の視点から見たらやるべきことを明確にして支持していただけるのがありがたいです。事業を拡大するには挑戦することとスピードがいちばん重要だと私は考えているので、その点でもとても頼りになりました。
また、みずほCPの荒井さんは辛口で忌憚のない意見をくれるのがいいですね(笑)。
ベースができたおかげで海外展開も
―今後の展望で考えていることは?
清川:海外への輸出も増えてきました。東南アジアはお米の生産量が世界最大ですから需要はあり、我々にとっては魅力あるマーケットだと思っていますので、新しいチャレンジをしていきたいと考えます。
施設園芸は某大学と研究を行っており、製品開発のためのデータを取っています。
また、農産物の鮮度保持のための低温倉庫の研究も北海道で行っています。
荒井:もともと安定した収益基盤があり、加えて会社の管理面も強固になり、会社としてのベースがしっかりしているから、社長が新しい取り組みに挑戦できる素地ができています。
繰り返しになりますが、社長の人脈が尋常じゃないんです(笑)。なぜか農業系ベンチャーともコネクションがあるので、将来はCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)とかやったら面白いんじゃないですかね(笑)。
ファンドと事業会社との違い
―ファンドのよさ、魅力をどう感じてらっしゃいますか?
清川:これまで自分たちができなかったことをできるようになったのはファンドに入ってもらったおかげだと思います。だからこれからも当社を発展させるために上手く利用させてもらいますし、ファンドは使いようだと思います。
―事業会社と組むことの違いは?
清川:事業会社と組むとすぐに結果、数字を出す必要があるのに対して、ファンドと組む場合は自分も経営に携わりながら動けて仕組みづくりから携われる違いがあると思います。
会社の変革を進めるにあたり、自分たちだけではできなかったし、今のカタチはありませんでした。結果を出すために利用するという視点があれば、ファンドを入れてもいいのではないでしょうか。インスピレーションをもらいながら整理も一緒にやっていける存在だと思います。