セブン&アイHD、イオンのM&A戦略を分析

ここでは、セブン&アイHDとイオンの最近のM&A事例をご紹介します。 セブン&アイHD、イオンともにスーパーマーケット事業で生み出している利益は会社全体に占める割合のごくわずかだ。M&A等を通じ、複数のセグメントを構築することによって、様々な事業から利益を生み出しています。

セブン&アイHDのM&A事例

セブン&アイHDは2022年度上期の営業利益2,347億円でした。セブン&アイHDの営業利益は国内、海外のコンビニエンスストア事業と金融関連部門で生み出しています。国内コンビニエンスストア事業でそれぞれ1,267億円、1,155億円。金融関連セグメントでの営業利益は193億円で、後述するイオンと比較すると規模は小さくなっています。

セブン&アイHD が2021年5月に、米国でガソリンスタンド併設型のコンビニエンスストア事業を手がける「スピードウェイ」(オハイオ州)を買収しました。全米人口の50%以上が店舗の2マイル圏内に居住しています。結果、2022年2月期に海外コンビニ事業が前年度比2.3倍の5兆1943億2700万円に急拡大したことが売上を押し上げました。

イオンのM&A事例

イオンは2022年度上期の営業利益は958億円でした。イオンの営業利益はディベロッパー、ヘルス&ウェルネス、総合金融部門が大半を生み出しています。中でも、総合金融部門での営業利益は330億円で全体の30%近くを占めています。 イオンは2022年1月に、100円ショップ事業を展開するキャンドゥを子会社しましたが、2022年上期の業績に与える影響は大きくなく、結果的にM&Aでセブン&アイHDとは大きな差がつく形となりました。

セブン&アイHDとイオンの両社とも経営戦略の根幹にM&Aがあります。すでに数十回のM&Aを実施し、ここまで規模を拡大してきました。 両社とも規模を拡大することによって、メーカーとの交渉を有利に進めることができるのです。ここまで規模を拡大し続けている成長の背景には、M&Aをしてきことが要因といっても過言ではありません。

まとめ

今まで、地域密着により顧客を取り込んできた食品スーパーですが、今後は業界や業態の垣根を超えてスーパーマーケット業界の競争は厳しくなることが予想されます。 コンビニエンスストア、ドラッグストア、ネット通販大手企業等もライバルになり、新規参入も増えていきます。 また、デジタル化も進み、消費の形、店舗のあり方も大きく変わってきています。

将来の不安によって、より規模の大きな企業と手を結ぶケースや、後継者不在によるM&Aは今後も引き続き増加すると考えられます。 M&Aは、シナジー効果により事業を更に発展させる可能性を秘めています。一社単独での成長だけではなく、経営戦略の選択肢の一つとして、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

いかがでしたでしょうか? 今後も食品業界専門チームから最新の業界情報をお届けさせて頂きます。

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著者

水上 雄斗 水上みずかみ 雄斗ゆうと

株式会社日本M&Aセンター/業種特化2部 衣料業界担当

千葉県出身。成蹊大学経済学部卒業後、三井住友銀行にてリテール営業に従事した後、日本M&Aセンターへ入社。以来、全国の食品業界を専門にM&A業務に取り組む。