PEファンドによる関与が増加する菓子業界
菓子業界においては、観光地ビジネスの企業は苦戦を強いられているものの、巣ごもり需要の増加に伴い、好業績を記録した企業が多く見受けられました。
消費者のニーズの変化に伴い、これまで以上に菓子業界が注目されやすくなった中、2023年上半期の菓子業界においてはPEファンドが関与したМ&Aが目立ちました。
愛知県のロピアによる東京都のCOMMEPARIS(コムパリ)の譲受事例
ティーキャピタルパートナーズ(東京都)が運営するファンドの投資先で、愛知県でチルドスイーツ企画・開発・製造のロピアは、東京でカヌレなど洋菓子商品企画・開発・製造・販売のコムパリとのМ&Aに踏み切りました。
コムパリは2015年に設立した会社であり、ギフト向け高価格帯製品による催事出店を本格的に進めており、大手百貨店との取引実績が豊富です。
ロピアは2016年からティーキャピタルパートナーズのもと経営を行っており、コンビニエンスストアと食品スーパー向けに様々なデザートを製造することを強みとしています。
異なる販路・価格帯の商品を有する2社間で、主に製造・商品開発・ECなどのノウハウ共有を進めるとしています。
大手菓子メーカーのブルボン(新潟県)によるマルキンの譲受事例
ブルボンは投資ファンドであるキャス・キャピタル(東京都)と共同で新会社を設立し、バウムクーヘン、プチケーキなど製造・販売する愛知県のマルキンとのМ&Aを行いました。
マルキンは1964年に設立。売上高約50億円の流通・小売業向けバウムクーヘンの取扱量でトップクラスを誇る会社です。ブルボンはマルキンと製品戦略やグループ経営の展開を加速させていきます。
まだまだ業界再編が進んでいない業界ではありますが、PEファンドが絡む、中堅大手菓子企業のグループ化の促進により、今後も中長期的に再編が進んでいくと想定されます。
コロナからの復調見せる外食業界
2021年はコロナの影響で大きくМ&Aの件数が減少した外食業界でありましたが、2022年のМ&A件数は前年の約20%増、2023年上半期においても、前年同期比と同数程度のМ&Aが発生しており、外食業界のМ&Aは復調の兆しを見せています。
そんな中でも積極的なМ&Aの動きを見せているのでが、GYRO HOLDINGSです。
GYRO HOLDINGSは、2019年にsubLimeとカフェ・カンパニーが経営統合して発足した会社であり、祖業の居酒屋を中心に90ブランド以上のレストランを展開しています。
日本国内に加え、アジアを中心とした海外展開をも通じた成長戦略を進め、日本を代表する外食企業のポジションを確立するために、2021年に香港の資産運用会社のパシフィック・アライアンス・グループ(PAG)とのМ&Aを行いました。
サブライム時代からМ&Aで規模を拡大させている会社ですが、PAGとのМ&A以降も積極的なМ&Aを行っています。
2022年には、黒毛和牛のA4ランク以上のメス牛を提供している焼肉専門店「牛8(USHIHACHI)」事業をパッションアンドクリエイトから譲受けています。
2023年上半期においては、「yaesu海老talianバル ルクア大阪梅田店」「かきカツオLINKS UMEDA」「焼はまぐりstandLINKS UMEDA」「幸の鳥」の飲食事業を縁尽から譲受け、ワインビュッフェ「ESOLA」事業をヴィクセスから譲受けています。
今後も事業基盤の強化と商圏エリアの拡大に向けたМ&Aを積極的に行っていくと想定されます。 また、コロナ禍では減退していた大手外食チェーンやPEファンドによるМ&Aも復調傾向にあります。
2023年上半期においては、ココイチを展開する壱番屋による関西の有名ラーメン店を運営する竹井の譲受けや、あみやき亭による神奈川のホルモン焼きチェーンのニュールックの譲受け、PEファンドであるエンデバー・ユナイテッドによる、兵庫県の中堅外食チェーンであるバサラダイニングの譲受けなどが行われ、下半期もこういった企業によるМ&Aが勢いを増すのではないかと考えられます。
激動の数年間を終えた外食業界が食品業界のМ&Aを牽引する日は近いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
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