2023年の国内宝飾品(ジュエリー)小売市場規模は富裕層を中心とした反動消費の動きに加えてインバウンド需要の回復も見られ、プラス推移を予測
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内宝飾品(ジュエリー)市場について調査を実施し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
国内宝飾品(ジュエリー)市場規模推移と予測
1.調査結果概要
2023年の国内宝飾品(ジュエリー)小売市場規模は、前年比101.9%の1兆423億円を予測する。
2023年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に移行され、それに伴い、3年間にも及ぶ行動制限等による自粛生活から日常の生活スタイルに戻り、外出機会が増加した。国内宝飾品(ジュエリー)市場では富裕層を中心に自粛生活からの反動消費の動きも見られ、コロナ禍以前の状況に戻ったと言える。加えて2023年8月以降は中国からの団体旅行も解禁されてインバウンド(訪日外国人客)需要も回復、自ずと宝飾品(ジュエリー)企業各社の売上も増加傾向にある。
2024年の国内宝飾品(ジュエリー)小売市場規模は2023年から微減し、前年比99.1%の1兆329億円を予測する。多くの消費財の物価高騰が継続しているなかで、生活必需品には当たらない宝飾品に対する需要は落ち着きを見せるものと考えられ、市場全体の勢いも再び停滞局面に入ってくるとみる。
2.注目トピック
素材価格の高騰
2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻は、ジュエリー業界にも多大な影響を与えた。その一つが供給不足による素材価格の高騰である。ダイヤモンドの産出国であるロシアからの素材供給が減り、2022年から2023年にかけてはダイヤモンド価格が大きく上昇した。
その他にもジュエリー素材であるプラチナやパラジウムなどはロシアが多くを供給していることから、これらの素材価格も値上がりをしている。 また、世界景気の減速懸念から「安全資産」とされる金が選好されており、金地金の価格も急騰している。
さらには、素材の値上がりに加えて円安が影響し、輸入時の素材価格は一段と跳ね上がっている。他にもエネルギーや工賃、消耗品費用、物流費用など全てにおいて値上がりをしているため、宝飾品(ジュエリー)の単価上昇は顕著である。
調査要綱
1.調査期間: 2022年9月~2023年8月 2.調査対象: 宝石専門店チェーン、百貨店や時計宝石店および呉服などの異業種宝飾参入企業、インポートジュエリーブランド企業等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、および郵送アンケートを併用 |
<国内宝飾品(ジュエリー)小売市場とは> 本調査における宝飾品(ジュエリー)とは、主に金やプラチナを素材に、ダイヤモンド、貴石、真珠などを使用した宝飾品を対象とし、宝飾時計、ならびに一部シルバー素材や半貴石の商品を含む。なお、市場規模は小売金額ベースで算出している。 |
出典資料について
資料名 | 2023年版 宝石・貴金属市場年鑑 <市場分析編> |
発刊日 | 2023年08月30日 |
体裁 | A4 954ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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