SWOT分析を行うメリット

内外の環境や、自社の優位性だけでなく短所や不利な点も含め客観的に分析するため、機会と脅威をとらえた攻防一体の戦略の策定につながります。

例えばM&Aで買収を検討する企業がSWOT分析によって、自社の弱みや外部的な脅威を把握することで、自社にとってシナジー効果を生み出せる相手企業の条件を抽出できます。

また、分析に向けて議論を進めることで、関係者間で組織の現状を理解し、共通の目標に向かって協力するためのプロセスとしても機能します。

SWOT分析の注意点

SWOT分析を内部関係者が行うと、無意識に主観で判断してしまうケースが少なくありません。

例えば、内部環境の要素を「強み」「弱み」のどちらに捉えるか、分析者の考え、立場によって変わることもあります。

また、従来「強み」とされてきたものについても、数値データなど客観的な根拠をもとに、改めて本当に強みに分類できるのか、など検討しなくてはなりません。

そのため、客観的なデータをもとに、できれば複数人での議論を進めて多角的に判断することが大切です。

SWOT分析の進め方

SWTO分析の主な進め方は、以下の通りです。

1. 目的を明確にし、前提条件の整理、準備
2. SWOT各要素のピックアップ
3. クロスSWOT分析の実施

1.目的・ゴールの明確化・準備

SWOT分析は複数人で行うケースが一般的です。目的やゴールが曖昧なままでは、各者の捉え方、認識に差が出てしまい単なる要素のピックアップに終わります。 そのため、まず関係者間でSWOT分析を行う目的を明確化し、共有しておく必要があります。

共通認識を持つために、目的・ゴールはできるだけ数値化することが大切です。例えば「企業価値を上げる」という抽象的な表現ではなく、「売上高を50%増やす」など数字を入れておくことで、その後の分析やアプローチの精度の向上が期待できます。

分析を行うメンバーは、目的や対象に応じて、最適なメンバーを慎重に選定することが大切です。 そして要素をピックアップする際に参考とする社内外の定量・定性データなど、関連する資料や数値データをあらかじめ収集しておくことも大切です。

2.SWOTの各要素のピックアップ

次に「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの要素をリストアップしていきます。情報のリストアップは偏りや主観が入らないように、できれば様々な立場の複数人で情報を出し合いながら進めることが理想的です。

各要素を書き出す手順に特別なルールはありませんが、一般的には内部環境よりも先に外部環境をリストアップしたほうが、内部環境を客観的に見つめられるといわれています。したがって、「機会」と「脅威」を先に埋めていき、そのあとで「読み」と「弱み」を書き出すのがよいでしょう。

3.クロスSWOT分析の実施

ピックアップした要素をそれぞれ掛け合わせて用いて分析を行い、戦略を立案します。 例えば自社の「強み」と「機会」を掛け合わせて、強みを最大限活用して成長機会につなげるにはどのような対応が適切なのかを検討します。 この掛け合わせによる分析を「クロスSWOT分析」と言います。

クロスSWOT分析の組み合わせは、以下の4つです。 クロスSWOT

【強み】×【機会】

自社の強み(Strength)と機会(Opportunity)を掛け合わせます。 自社の強みを機会に最大限活用して、自社の成長につなげるにはどのような対応が必要なのかを検討します。

例えば、「他社に比べ価格優位性がある(強み)」×「消費者ニーズの高まり(機会)」の場合、他社製品にくらべてコスパが良いことを訴求した販売戦略、などが考えられます。

【弱み】×【機会】

自社の弱み(Weaknesses)と機会(Opportunity)を掛け合わせます。 自社の弱みを補強、もしくは克服し機会を活かすためには、どのような対策が必要なのかを検討します。

例えば、「他社に比べ知名度が低い(弱み)」×「海外からの注目度の高まり(機会)」の場合、海外で重点的にPRを開始する、などが考えられます。

【強み】×【脅威】

自社の強み(Strength)と脅威(Threats)を掛け合わせます。 自社の弱みを補強、もしくは克服し機会を活かすためには、どのような対策が必要なのかを検討します。

例えば、「サービス品質の高さ(強み)」×「競合他社の動向の活発化(脅威)」の場合、サービス品質の高さを他社との差別化にし、販売戦略を展開する、などが考えられます。

【弱み】×【脅威】

自社の弱み(Weaknesses)と脅威(Threats)を掛け合わせます。 自社の弱みをきちんと把握し、脅威による影響力を最小限にとどめるために、どう対応すべきかを検討します。

例えば、「認知度の低さ(弱み)」×「顧客の高齢化によるユーザー減少(脅威)」の場合、新たなユーザー層に向けた認知活動、利用シーンの提案を行う、などが考えられます。

このようにクロスSWOT分析で導き出された結果を踏まえ、最終的にどのような戦略を取るのかを決定していきます。