左から藤原ヒロユキ氏、井本亜香社長、辻峻太郎氏、ryoka氏
(画像=左から藤原ヒロユキ氏、井本亜香社長、辻峻太郎氏、ryoka氏)

スプリングバレーブルワリー(以下、SVB)は、ブルワリーレストラン「SVB 京都」(京都市中京区)の開業6周年にあわせた企画を9月7日から30日まで同店で実施する。

世界のビアコンペティションで数々の受賞歴を持つSVB京都ヘッドブリュワーの辻峻太郎氏らが京都産原料100%で約800L特別醸造したクラフトビール「THANKS FOR KYOTO」(360ml、税込1,080円)を期間限定で発売する。

また、このビールとのペアリングを楽しめる京都産食材を使用したフードメニューを発売する。さらに、京都の新進気鋭アーティストも参画する「ギャラリーちいさいおうち」主催の「レストランで楽しむArt展」の展開店舗の一つとして、アーティスト5名の作品を8月29日から10月1日まで店内に展示している。

SVB京都は、京の台所である錦市場の近くに立地し、築約100年の2階建ての町屋を使用した店舗となる。2017年9月のオープン以降、“和クラフト”をコンセプトに、地域の生産者やブルワリーなどと協働し、クラフトビールの楽しみ方を提案してきた。地元京都を中心に全国から来店があり、累計来店者数は約40万人にのぼる。今回の企画には、愛顧への感謝とともに、“SVB京都は、世界に挑戦する若者や支援する全ての人を応援したい”という思いを込めた。

9月5日のメディア説明会で、SVBの井本亜香社長は「京都店は開業当初から“和のクラフト”をテーマに、京都産原料を取り入れたビール造りにこだわってきた。6年間で多くの生産者、関係者との縁があった。今後も持続的に取り組み、京都と日本のクラフトビールに貢献したい。今回の企画では、京都を盛り上げようとしている人にフォーカスしている。原料、ビール、料理、絵画といった、さまざまな人の感性、創造性で作り上げられた」と話した。

辻氏は特別醸造ビールについて、「大麦麦芽は亀岡市、ホップは与謝野町、ハチミツは京丹後市、酵母は京都市から採取したものと、水を含め全て京都産原料を使用、いろんな縁が重なり実現した。京都産原料使用の“京都スタイルセゾン”という新しいビアスタイルを目指した」と話した。中味は酵母由来のフルーティーでスパイシーな香りと、ホップの柑橘の香りが調和。麦やはちみつ由来の上品な甘みが感じられ、酸味で締まる後キレよい味わいで、飲みやすく飲み飽きないビールとなっている。

フードメニューは、京都肉(黒毛和牛)を使った「ダブル京都肉チーズバーガー」、「自家製スモーク6種盛り」、「京野菜サラダボウル」、京都肉と丹波地鶏を使った「京都肉とタンドリーチキンの“和クラフト”カレー」(各同1,520円)、ビール1杯とフード1品のセットを600円オフの特別価格同2,000円で提供する。「スパイシーさ、スモーク感、甘さ、フレッシュ感、京都産がキーワード。ビールと一緒に食事を楽しんでほしい」(辻氏)。

日本ビアジャーナリスト協会代表理事でホップ生産者の藤原ヒロユキ氏は「元々はイラストレーターで、好きなビールにフォーカスし、ビアジャーナリストになった。2015年に与謝野町でホップ栽培のプロジェクトが始まった。当時は東京を拠点に仕事をしていたがアドバイザーとして参加、2019年に移住し、ホップを栽培している。京都らしいビールを造るために参加した」と話した。

続いて、辻氏と藤原氏が熱いトークを繰り広げた。辻氏は「京都産原料100%で新しいビールを醸造したが、スタートという気もしている。京都の他のブルワリーなどでもこういった動きが広がれば」と期待を込めた。

出展アーティストのryoka氏は「レストランで展示できるのが新鮮。日常にクラフトビールを届けたいという話を聞いた。アートをもっと日常に広めたい、身近に感じてもらえるような存在になりたいと活動をしており、通じるものがあると嬉しく思っている。また、クラフトビールのように私も世界へ羽ばたいていきたい」とあいさつした。

なお、同店はコロナ禍の影響を受けたが、売上高はピークだった2019年比8割まで回復しており、引き続き2019年水準への回復を目指す。

〈酒類飲料日報2023年9月7日付〉