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人を育てる原則と人事の3つの大罪
人は仕事で磨かれる
人材育成の世界では、「7ー2ー1の原則」というものがあります。
7ー2ー1とは、人の成長の7割は仕事によるもので、2割は上司の影響、1割が研修や自己啓発などの教育・学習という意味です。
言い換えれば、人を成長させようと思えば、まず「人を鍛える仕事をさせよ」ということになります。
これは新人であろうとベテランであろうと共通する原則です。
人を仕事で鍛えるとは、やみくもに仕事を押し付けることではありません。したがって、当然踏むべきステップがあります。
まず、部下がチャレンジングな目標に積極的に取り組むよう、上司は目標の設定に部下を参画させ、部下が上位方針(会社の求める目標と戦略)を理解し、合意したうえで自分の業務計画を作成させることが必要です。
上司と部下のコミュニケーションが大事なのはもちろんですが、部下に目標へチャレンジすることのメリットを理解させ、納得させることが上司に求められるスキルです。
部下自身の成長と組織の成長は一致すると認識することで、部下は目標に対してコミットメント(何がなんでも達成させるという強い決意)を抱くものです。
すでにおわかりのように、新人が組織に定着して育つか否かは、現場のマネージャーにかかっているのです。
育成の7ー2ー1の原則のうち2割の要因である上司の存在こそ、実は7割の効果を決めるのだと言っても過言ではありません。
真剣に部下を育てる上司を育てよう
人材開発の世界では、人事的な3大罪悪というものがあります。
つまり3つの大罪ですが、それは(1)価値観と行動基準に合わない人をマネージャーにすること、(2)価値観と行動基準に合わない人を採用すること、(3)できないマネージャーをそのままにしておくことです。
この中でも、やはり(1)と(3)の罪は重いといわざるを得ません。言葉のうえでは、日本企業でも上司の役割は「ビジネス強化と部下育成」とされているのですが、実行できている上司は大企業でもそう多くはありません。
長期的に成長し続けている欧米の優良企業は「育成の文化」がある程度できています。育成の文化のある企業における上司の行動は以下のとおりです。
- 部下と対話し、相互理解を図り、関係を築く
- 信頼し、正しく権限を付与し任せる
- 自ら教育、指導、コーチング、フィードバックを行う
- 公正な評価をし、適正な処遇を図る
- キャリア開発を支援する
こうしたスキルをマネージャーに求めるとすれば、スキルのある人をマネージャーに就けるか、トレーニング等によってスキルを身につけさせることになります。