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成果主義人事が必ずしも生産性に貢献しない理由
成果主義は誤訳から生まれたもの
欧米の企業では成果主義という言葉は使われていません。成果主義人事というと外資系の制度のように思われがちですが、実はそうではないのです。
P&Gを含め、多くの外資系企業にあるのは“PayforPerformance”という原則です。
日本では、この「ペイ・フォー・パフォーマンス」を業績結果に応じて支払うと解釈し、成果主義という制度ができました。
パフォーマンスを業績や成果といった「結果」のみのことであると見ることには問題があります。パフォーマンスは性能という意味を含んでいますので、結果のみならず、ある状況下でその結果を出せるだけの能力、やり方や実行のプロセス、また工夫や努力もパフォーマンスなのです。
パフォーマンスを「成果」としたため、日本の成果主義人事は結果だけを見てプロセスを見ない、不完全で、納得度の低い制度になってしまったと私は思っています。「ヨーロッパ人は賢く働くが日本人は長く働く」といわれる日本企業特有の職場の慣習を改める点では、成果主義人事も有効な面がありますが、結果として日本企業では(結果一辺倒の)成果主義人事の成功例はあまり多くありません。
現在でも間違った成果主義人事を継続している企業はありますが、かなりの換骨奪胎を繰り返して運用しているのが実態のようです。
成果主義人事がうまく機能しない企業には、次のような問題があったと思います。
- 総人件費の抑制(人件費削減)策として見たこと
- 個人重視、チーム軽視と見たこと
- 人材育成の手段と考えず流行に流されて導入したこと
不完全な評価制度
中小企業において、成果主義を含む評価制度がうまくいかない原因は、もっと技術的な問題です。成果は、それが目標に対するものであれ、会社が求める結果であれ、できたのかできなかったのかだけを見るのであれば、評価は簡単です。
しかし、それが正当な評価か、となると必ずしもそうとはいえません。
なぜなら、結果だけを見て、状況とプロセスを評価していないからです。
たまたま市場環境に恵まれた商品を担当した人と、きわめて市場環境が悪い商品を担当した人に、結果だけで正しい評価をすることはできません。
例えば、前年対比プラス20%の市場の製品を担当している人が目標の120%を達成した場合、逆に、マイナス30%の市場の製品を担当している人が目標の90%だった場合、それぞれどう評価すればよいでしょうか。
結果に影響を及ぼす環境要因は市場環境だけではなく、戦略の修正、商品やサービスの突然の問題、社内の組織変更など様々あります。
さらに、正しい評価で重要なのは、そのような環境や状況の変化、突発事項に対して、社員がどのように新たな策を考え、対応措置をとったか、社内関係者や外部パートナーとどのように協働したのか、などの行動やプロセスを、どのように公正に評価するかです。
儲かる組織の条件
以下の要素が組織に整っていること
- ビジョンを語り、期待される行動を率先垂範し、組織を活性化し、変革活動を強力にサポートする経営陣やリーダーがいるか
- 競合他社より優れ、かつ独自性をもった顧客満足戦略を実行しているか
- 社員全員がオーナーシップをもって考え、行動する文化があるか
- 戦略実行に適切なプロセスとその支援プロセス、業務フローがあるか
- 人材と組織を強化するしくみと制度があるか
- フラットで階層が少なく、意思決定と行動の早い組織であるか
- 戦略を運用できる能力、行動と姿勢、コミットメントをもった人材を備えているか
- 明確な組織の目的、価値観があるか