小売店への導入を拡大するなど、冷凍食品の販売を本格化させている大戸屋。イオンなどスーパーでの販売を広げており、売上は右肩上がりで推移しているという。
冷凍食品をきっかけに店舗に来店する人もおり、今後は店舗のない地域での販売なども強めていくという。同社の冷凍食品担当者は「どこにでも商品が置いてある状況を作るのではなく、しっかりと商品を支持してくれるところに置いて広げたい」と話す。
大戸屋は2020年5月に冷凍食品の販売を開始した。当時は店舗への来店者が減少傾向にあり、「毎日通うのは大変」などの声に応えるべくスタートし、当初は直営店だけで販売を行っていた。その後、EC サイトや小売店に販売を広げている。
その理由について、担当者は「店舗の販売だけでは頭打ちになっていた」と振り返る。現在、小売店では約400店で採用されたという。「ゼロからのスタートだったが、企業の方に声をかけて徐々に広がっていった。店舗とそん色のない冷凍食品を出している、との声もあった」(担当者)。大きな販促は行っておらず、主に口コミを通じて広がりつつあるようだ。担当者は「どこで売っているのかという問い合わせが増えており、関心を持ってくださる方が増えているのを肌でも感じている」と話す。
現在は小売店での販売がメインになっている。担当者は「固定費が少なく、安定的に利益を確保できる点」を魅力の一つに挙げている。今後はEC での販売拡大も進めていく。一方の店舗は「プロモーションの一環として、一部店舗では販売していく」(担当者)と述べる。
商品は無添加にこだわった商品開発を、協力工場と行っている。「大戸屋らしさ」を追求し、魚料理や、黒酢を使った商品が人気を集めているようだ。また、他社の商品と被らないも商品も少なくない。担当者は「価格競争にならない商品を販売することが重要で、ブランドの価値向上にもつながるようにしていく」と力を込める。「外販事業自体がトライアルで、方向性は見えてきたがまだ固まり切っていない。実験的な施策などにも取り組む」(担当者)という。
今後について、担当者は「まだまだ手探りの状況なので、色々挑戦したい。販売を行えていない地域もまだ多くある。特に九州が弱いため、そこでの提案を強めたい」と話す。また、「商品も適度に変えていく。今は原料の供給が安定しないものもあるので、安定的に供給できる商品も投入したい」と明かす。また、今後は白米だけを別で用意すると弁当になる商品などの販売も視野にあるという。500円台での販売を目指している。担当者は「おつまみとしても活用できる商品になれば」と意気込む。
原料費などの高騰への対策については「原料と、レストランのメニューと極力合わせて、在庫リスクを減らす」との考えだ。
担当者は「大戸屋としては店舗を主軸に取り組んでおり、今後は冷凍食品を通じて店舗にも足を運んでもらえるように取り組みたいと思う」と力を込めた。
〈冷食日報2022年11月10日付〉