矢野経済研究所
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2021年度のペット関連総市場規模は前年度比1.8%増の1兆7,187億円と伸長

~健康意識の高まりから機能性フードや、コミュニケーションツールとしてスナック類が好調~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のペットビジネス市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業別動向、将来展望を明らかにした。

ペット関連総市場規模推移と予測

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1.市場概況

2021年度のペット関連総市場規模は、小売金額(末端金額)ベースで、2020年度に引き続き増加傾向となり、前年度比101.8%の1兆7,187億円と推計する。ペットの飼育頭数はペット関連市場の根幹であるが、一般社団法人ペットフード協会によると、飼育頭数は伸び悩んでいる。一方で、参入各社による高付加価値品の提案や、猫向け商品の投入によって売上高は増加傾向となった。

従来のペット飼育者の中でも、ペットフードのプレミアム指向が強まる傾向が見られていたが、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の中、ペットと過ごす時間が増えたことや、ペットにより良いフードを与えたい、コミュニケーションをとりたいという考えから、よりプレミアム指向が強くなったと見られており、2022年度は前年度比102.1%の1兆7,542億円を見込む。

2.注目トピック

健康意識が高まり、犬猫ともにプレミアムフード市場、スナック類が拡大

ペットフードを中心に、飼育者によるペットへの健康意識の高まりが市場伸長の要因になっている。

2017年度にキャットフードとの市場構成比が逆転し次点となったドッグフードは、飼育頭数の減少を受けて金額ベースでの市場規模は横這い推移となっており、特にキャットフードの需要が拡大している。

ドッグフード市場は、高価格帯商品であるプレミアムフードの需要拡大によって、数量の減少を金額でカバーする格好で、金額ベースではほぼ横這いで推移している。健康志向の高まりにより、年齢別や犬種別、体格別、健康目的・症状ケア別などの商品の細分化・多様化が進んでいる。スナック類は、犬の飼育頭数が伸び悩む中においても、犬とのコミュニケーションを図れるものとして需要が底堅く、市場は微増で推移している。

キャットフード市場は、近年の猫人気や新規飼育者増加によるペットフードメーカーの新商品投入や、小売りによる猫関連売場を拡大させる傾向が追い風となって、拡大基調で推移している。最近では、飼い主の健康意識の高まりから、猫がかかりやすい下部尿路用のフードが多くの企業で展開されている。また、スナック類も依然として拡大傾向にあり、フードメーカー各社もウェットタイプの猫用スナックを投入し、市場が活性化している。

3.将来展望

現下、長期化する新型コロナ禍で、ペット用品を中心とした飼育者需要は、排泄ケアの消耗品であるペット用おむつ、フン処理パックといったマナーグッズや、飼い主がペットの健康管理に用いるセルフケア用品、デンタルケア用品を中心に、家庭内での需要が伸長しており、今後も市場は増加傾向で推移するとみる。

また、ペットフード分野において、年々飼育者のプレミアム(高付加価値商品)指向が強まる傾向が見られる。この背景には外出自粛で旅行や外食への支出が減少したことで、ペットにより良いフードを与えたいと考える飼育者の存在や、メーカー各社による啓蒙活動によるペット個々がかかりやすい疾病に対する飼い主の意識の高まりがあるものと考える。

こうしたことから、ペット関連総市場全体は、2022年度以降も拡大傾向を予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2022年4月~7月
2.調査対象: ペットフードメーカー、ペット用品メーカー、卸売業者、小売事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<ペット関連総市場とは>
本調査におけるペットとは、犬や猫を中心にペットショップ等にて販売されるペットを対象とし、ペット関連総市場とは、主にペットフード、ペット用品、生体、その他ペット関連サービス産業に大別される。なお、その他ペット関連サービスには、ペット保険、介護ケアサービス、ペット医療、ペット葬送などのサービスが含まれる。
<市場に含まれる商品・サービス>
ペットフード、ペット用品(犬用トイレシーツ、猫砂、ペット用おむつ、シャンプー、リンス類、消臭剤・脱臭剤他)、ペット関連サービス(ペット保険、介護ケアサービス、ペット医療、ペット葬送他)

出典資料について

資料名2022年版 ペットビジネスマーケティング総覧
発刊日2022年07月29日
体裁A4 338ページ
価格(税込)154,000円 (本体価格 140,000円)

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