2022年7月19日、ニューヨークでサザビーズオークション「Contemporary Discoveries」が開催された。

さまざまなメディア・時代・地域の多様な作品を集めたエキサイティングなセール「ディスカバリーズ」の第2弾。1960年代から今日までの作品335点が集結した。今回の落札価格第1位は、アンディー・ウォーホルの「絶滅危惧種」シリーズよりシベリアン・タイガーを描いた作品。同シリーズのジャイアント・パンダも予想を大きく超えて落札されるなど、ウォーホル作品は軒並み好調で、TOP5に3作品がランクインした。

この記事では、落札価格が高かったTOP5の作品とANDART関連アーティストの落札情報を紹介。落札価格は手数料込み、1USD=138.19円(2022年7月19日終値)で計算。

4)アンディー・ウォーホル《Mick Jagger (Feldman & Schellmann II.140)》(1975)
落札価格:約2,090万円($151,200)

アンディー・ウォーホル《Mick Jagger (Feldman & Schellmann II.140)》(1975)
(画像=アンディー・ウォーホル《Mick Jagger (Feldman & Schellmann II.140)》(1975))

出典:https://www.sothebys.com/

4位には同額でウォーホルの2作品がランクインした。ひとつはローリング・ストーンズのボーカル、ミック・ジャガーのポートレイト。ローリング・ストーンズの人気がピークにあった1970年代半ば、ウォーホルはかねてから親交のあったジャガーを自ら撮影し、本作を含む複数のポートレイトを制作した。マリリン・モンローのように既存の写真を用いるのではなく、ウォーホル自身が撮影から行うようになったのはこの頃からと言われている。(予想落札価格:約967万〜1,382万円 / $70,000 – 100,000)

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4)アンディー・ウォーホル《Giant Panda, from Endangered Species (Feldman & Schellmann II.295)》(1983)
落札価格:約2,090万円($151,200​)

アンディー・ウォーホル《Giant Panda, from Endangered Species (Feldman & Schellmann II.295)》(1983)
(画像=アンディー・ウォーホル《Giant Panda, from Endangered Species (Feldman & Schellmann II.295)》(1983))

出典:https://www.sothebys.com/

ウォーホルの「絶滅危惧種」シリーズは、環境保護活動家でもあったアートディーラーのフェルドマン夫妻の依頼で制作され、動物保護に関心を集めるきっかけとなったと言われている。本作は10点あるシリーズのうちのひとつでジャイアント・パンダを描いたもの。同シリーズは2021年からマーケットでの人気が高まっており、他の動物たちもオークション上位にたびたび登場している。(予想落札価格:約553万〜829万円 / $40,000 – 60,000)

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3)ラリー・プーンズ《Untitled P12》(1974)
落札価格:約2,438万円($176,400)

ラリー・プーンズ《Untitled P12》(1974)
(画像=ラリー・プーンズ《Untitled P12》(1974))

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プーンズは、ジャクソン・ポロックやウィレム・デ・クーニングら抽象表現主義を彷彿とさせるアメリカの画家。もともとは東京で生まれ、ミュージシャンを志してアメリカ・マサチューセッツ州のニューイングランド音楽院で学んだ。その後美術教育を受けているが、メロディが流れるような色彩豊かなキャンバスからは音楽の影響を感じることができる。本人は「絵画とは色彩にほかならない。それ以外何もない。それが絵画のすべてだ」と語っている。(予想落札価格:約829万〜1,106万円 / $60,000 – 80,000)

1)ヴィクトル・ヴァザルリ《Barka-Deu》(1982)
落札価格:約2,960万円 ($214,200)

ヴィクトル・ヴァザルリ《Barka-Deu》(1982)
(画像=ヴィクトル・ヴァザルリ《Barka-Deu》(1982))

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目の錯覚を利用した「オプ・アート」の先駆者として知られるヴァザルリは、数学的な計算や科学的な理論に基づいた抽象画を多く制作した。広告代理店でキャリアをスタートさせた後、ピエト・モンドリアンやカシミール・マレーヴィチなどの幾何学的な抽象画に影響を受けた。1968年に発表された「Vega」シリーズ以降、カラフルなグリッドと球体の組み合わせによる歪みを追求し、晩年になって本作が制作された。延々と続くかのようなシステマティックなイメージは、コンピュータを駆使した近年のアートの先駆けとして位置づけられる。(予想落札価格:約967万〜1,382万円 / $70,000 – 100,000 )

1)アンディー・ウォーホル《Siberian Tiger, from Endangered Species (Feldman & Schellmann II.297)》(1983)
落札価格:約2,960万円 ($214,200)

アンディー・ウォーホル《Siberian Tiger, from Endangered Species (Feldman & Schellmann II.297)》(1983)
(画像=アンディー・ウォーホル《Siberian Tiger, from Endangered Species (Feldman & Schellmann II.297)》(1983))

出典:https://www.sothebys.com/

ジャイアント・パンダと同じく「絶滅危惧種」シリーズの1作で、シベリアン・タイガー(アムールトラ)を描いたもの。他にアフリカゾウやグレーヴィー・シマウマ、オランウータンなど、全部で10種類の動物が存在する。スクリーンプリントの特徴を活かしつつ、手書きの輪郭線を残すという絶妙なバランス感覚が、この時期のウォーホル作品の特徴。(予想落札価格:約691万〜967万円 / $50,000 – 70,000)

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【ANDART取り扱いアーティスト落札情報】

KAWS《URGE》(1974)
落札価格:約871万円 ($63,000)

KAWS《URGE》(1974)
(画像=KAWS《URGE》(1974))

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どこかで見たことのあるキャラクターを「✗✗」の目に変えて描くKAWS。本作は「ミシュランマン」にインスパイアされたキャラクターに、「✗」印のついた手が群がった遊び心のある作品。シルクスクリーン10枚セットで、それぞれ異なるポップな配色となっている。(予想落札価格:約553万〜829万円/ $40,000 – 60,000)

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デイヴィッド・ホックニー《Hotel Acatlan: Two Weeks Later, from Moving Focus (M.C.A.T. 271)》(1985)
落札価格:約1,915万円 ($138,600)

デイヴィッド・ホックニー《Hotel Acatlan: Two Weeks Later, from Moving Focus (M.C.A.T. 271)》(1985)
(画像=デイヴィッド・ホックニー《Hotel Acatlan: Two Weeks Later, from Moving Focus (M.C.A.T. 271)》(1985))

出典:https://www.sothebys.com/

80代でも現役で活躍を続けるホックニーは、カリフォルニアの邸宅やプールを描いた具象画で知られる。本作は、1984年から1985年、メキシコ中部の街アカトランのホテル「ロマーノ・アンヘレス」を描いたシリーズの1点。本作は72.8 x 187.5 cmの大型リトグラフで、他にリトグラフ5点(うち4点をイギリスのテート・ギャラリーが所蔵)、エッチング1点、油絵1点がある。中庭を囲む黄色い柱、赤い回廊、中央のアーチ型レンガの井戸などが、パノラマの視点から鮮やかな色彩で描かれている。(予想落札価格:約967万〜1,244万円 / $70,000 – 90,000)

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文:ANDART編集部