プラントベースフード「GOOD NOON」大豆ミートシチュー
(画像=プラントベースフード「GOOD NOON」大豆ミートシチュー)

不二製油グループ本社は7月7日、東京都千代田区のホテルニューオータニで、プラントベースフード(PBF)戦略説明会と、同ホテルのシェフが考案したメニューの試食会を開催した。

その中で大森達司上席執行役員・不二製油社長は、「PBFを植物性油脂、業務用チョコレートに次ぐ第3の柱にすることが、食を取り巻く環境変化に事業で貢献し、当社グループの新しい成長をけん引するものと考える」と説明した。大豆ミートや植物性チーズ・バターなどのPBFは、おいしさを追求した「GOOD NOON」製品群に集中して開発を進めていくとし、同製品群について、「2030年度に売上高1,000億円、営業利益100億円からバックキャストしていく計画を立てている」と語った。

不二製油グループ本社 大森達司上席執行役員・不二製油社長
(画像=不二製油グループ本社 大森達司上席執行役員・不二製油社長)

PBFを第3の柱にする理由について大森社長は、「植物肉や植物ミルクの市場成長見込みは、2030年には、2020年の約4兆円から5.5倍の22兆円規模になると想定されている。プラントベース市場は、世界中で確実に需要が高まっており、今後ますます加速することを示している」と背景について説明した。

その上で、「大きな市場創造が期待されるが、普及のカギはおいしさになると考えている。植物性食品が動物性食品に引けを取らない満足感を再現するには、油脂とたん白が必要だと分かった。これらは創業以来培ってきた技術で、当社は乳化発酵技術も有している。これらの技術を融合することで、頭ではなく、本能で心から食べたくなるために当社が貢献できる役割は大きい」と強調した。

〈スピード感ある製品開発通じて事業創造、日本の食品にPBF取り入れ世界にも発信〉
今年度からスタートした中期経営計画「Reborn2024」とともに策定した2030年ビジョンを実現するフラッグシップとして、PBF「GOOD NOON」製品群を新たに掲げ、従来の大豆ミートやチーズ、バター、チョコレートに加え、PBDashi(だし)を作ったとした。

そのうち大豆ミートは、新製法のプライムテクスチャー製法で作った大豆ミートを「プライムソイミート」と名付けたという。「従来の製法では難しかった油脂を加えることで、肉特有の繊維感とジューシーなくちどけを実現した」としている。

プラントベースフード「GOODNOON」大豆ミートのトリッパ風トマト煮込み
(画像=プラントベースフード「GOODNOON」大豆ミートのトリッパ風トマト煮込み)

PBDashiは、フォン、ブイヨン、白湯のような動物性の原料特有の厚みのあるだしを、植物性素材だけで再現した。PBDashiのタイムリーな採用事例として、一風堂が9日にオープンした「ルミネエスト新宿店」では、同社のPBDashiを使用し、共同開発した植物性ラーメンを常時販売開始している。

大森社長は、「PBチーズやバターも含めて、植物性素材でおいしさや健康、地球環境にこだわった製品群を『GOODNOON』製品群と呼び、社会価値の変化に合わせて入れ替え、随時新製品を投入していく。従来のマス市場に留まらず、ホテルや外食、中食市場において、ユーザーと共においしいプラントベースメニューを作っていく」と展望を語った。

同社は、5月に日本最大級の製菓製パン材料のECサイトを運営するcottaと資本業務提携を締結している。今後は、ECサイトの積極的な活用など、デジタルを活かした販売方法や、ユーザーとの小規模での生産販売テストなどを行い、スピードのある製品開発を通じ、事業を創造していくとした。「PBF市場はまだまだ小さい市場なので、全ての活動において消費者との接点を増やし、消費者の視点で事業展開を図っていく。世界の食文化を独自の視点で進化させることが得意な日本の食品は、PBFを取り入れることでさらに幅が広がると考えている。ハンバーガーや、ホットドッグなどへのベジミートという括りだけでなく、世界に誇る日本のラーメンのような食品にPBFを取り入れ、日本での定着と、日本発の食として世界に発信していきたい」と意気込みを述べた。

〈大豆油糧日報2022年7月11日付〉