奥様,スーツ選び,経営者
(写真=George Rudy/Shutterstock.com)
牧野 克彦
末廣 徳司(すえひろ・とくじ)
日本で唯一の経営者を専門にしたスーツ仕立て屋『イルサルト』代表。1995年、早稲田大学商学部卒業後、株式会社ワールドに入社。基幹ブランドの商品開発責任者や中国での新規事業の立上げを経験。2009年、『装う事で産まれる自信を届ける』をミッションにイルサルトを立ち上げる。セルフブランディングで独自化を必要とする経営者、政治家、医師、作家、講演家、士業芸能人、スポーツ選手、ミュージシャンに至るまで10年間で14,000名を超える顧客を口コミだけで開拓する。一度きりの人生という舞台で、自らの能力を最大限に引き出す舞台衣装を提供出来る、服飾の専門家。

こんにちは。日本で唯一の経営者専門スーツ仕立て屋“イルサルト”の末廣徳司です。このコラムの連載が始まって「経営者にとってスーツとは何か」「どうあるべきか」を詳しくお話させていただきました。「何となく理解できた」「スーツを自分の好き嫌いでは選ばないようにしなきゃ」など皆様さまざまなことを感じたことと思います。

ほとんどの方にとっては初めて聞かれるようなお話が多かったのではないでしょうか。このコラムも今回で最終回です。最終回は、ずばり「奥様にスーツ選びを任せているうちは経営者になれない」についてお話させていただきます。

奥様がスーツを選んでいるうちは会社の顔にふさわしい装いができない

語弊を招きかねないので最初に補足させていただきます。「奥様にスーツ選びを任せているうちは経営者になれない」とは、選んでもらっているうちは会社の顔にふさわしい装いができていない可能性が高いという意味です。私も含め、これまでスーツの選び方ではセンスやトレンド、またブランド名で選びがちです。バブル崩壊前であれば、この選び方で良かったのかもしれません。

しかし時代は大きく変わっているため、これまでの常識が非常識になりえるのです。例えばバブル崩壊前の携帯電話の主な役割は“電話で話す”でした。しかし現代においては“電話で話す”ことは少なくなり、LINE・Facebook・TwitterなどのSNSを使って“コミュケーションをする”という役割が主になってきています。装いもまったく同じことです。

本来の暑さ寒さから身を守るという役割から階級を示すという役割に変わり、豪華絢爛に装うことがステータスとなる富の象徴となりました。しかし現在は風向きが少し変わってきているのです。前回のコラムでも書いたように「経営理念と経営者の見た目を合致させる」ことが非常に重要になっています。現代に求められる経営者の装いは「自分が何者であるか分かりやすく示すこと」です。

目的が変われば装い選びの軸が変わります。経営者としての軸が決まれば軸に合った装いを選べばよいのです。