2022年4月20日〜26日、サザビーズオークション「Banksy」がロンドンで開催された。これはサザビーズが年2回開催する、バンクシーの作品だけを集めたオークション。今回は初期から最新のスクリーンプリントまで、厳選された48点が出品された。
注目されていた《Girl with Balloon》の紫バージョンは不落となり、別の代表的なモチーフの2作品が同列で落札価格1位に。さらに、ANDARTで人気の作品と同エディションのプリントも複数落札された。
この記事では、落札価格TOP5の作品と、ANDARTで取り扱っているバンクシー作品の関連作品の落札価格を紹介。落札価格は手数料込み、1GBP=160.13円（2022年4月26日終値）で計算。
目次
4）《Nola – Orange Rain》(2008)
落札価格：約3,026万円（£189,000）
4位は同額で2作品が並んだ。《Nola》は通称「傘少女」と呼ばれ、米国ルイジアナ州ニューオーリンズのストリートに描かれた絵が基になっている。「Nola」はアメリカの州や都市につけられるニックネームのひとつで、ニューオーリンズを指す。傘から少女に雨が降り注ぐ様子は、この地が2005年のハリケーンで受けた甚大な被害を示唆するとされている。
もともとのストリートアートはモノクロだが、後に雨の色を変えた複数のバージョンが限定プリント作品として販売された。オレンジの雨が降る本作もそのひとつ。右下には鉛筆でバンクシーのサイン、左下には “Thanks Josie ♡X” の文字が記入されており、ハートマークは関係者への販売時のみ用いられる特別なものとされている。（予想落札価格：約2,402万〜3,203万円 / £150,000 – 200,000）
4）《Love is in the Air》(2003)
落札価格：約3,026万円（£189,000）
《Love is in the Air》または《Thrower》と呼ばれるイメージは、バンクシー作品の中でも人気が高い。火炎瓶の代わりに花束を投げる人物を描くことで、反戦のメッセージをストレートに伝える前向きな作品だ。最初に登場したのは2003年、パレスチナとイスラエルを分断する壁面だった。
この赤いスクリーンプリントは500枚限定で販売され、そのうちの50枚のみにサインが入っていると言われている。今回出品されたのはエディション49/500でサインありの貴重な1枚。（予想落札価格：約2,402万〜4,003万円 / £150,000 – 250,000）
3）《Kate Moss: Original Colourway》(2005)
落札価格：約3,632万円（£226,800）
現代イギリスのファッションモデル、ケイト・モスの肖像は、アンディ・ウォーホルによるマリリン・モンローを思わせる。バンクシーがウォーホルへの敬意を込めて制作した、21世紀版のポップアート代表作といえる。
本作にはさまざまなカラーバリエーションが存在するが、「Original Colourway」とあるとおり、こちらが最初に制作されたオリジナルバージョン。50枚のみの限定版であることに加え、出品されたのは貴重なアーティストプルーフの1枚で、もともとの保有者に向けた “4 HELEN♡” の文字が記載されている。（予想落札価格：約1,922万〜2,882万円 / £120,000 – 180,000）
1）《Hand Finished Donuts (Strawberry)》(2009)
落札価格：約4,439万円（£277,200）
巨大なドーナツが厳重に護衛されているユーモラスな作品。「資本主義を象徴するドーナツを、警官たちが最優先に守っている」という皮肉だとも、「カフェでドーナツを食べながら勤務時間を過ごしている怠け者の警官たち」を揶揄しているとも言われる。
ストロベリードーナツとチョコレートドーナツの2パターンがあり、それぞれ299枚限定で販売された。本作の左下にはピンクのペンシルでハートマーク付きのサインが書かれており、バンクシーの遊び心を感じさせる。（予想落札価格：約1,761万〜2,402万円 / £110,000-150,000）
1）《Thrower (Grey)》(2019)
落札価格：約4,439万円（£277,200）
同じく1位には、4位の《Love is in the Air》と同じモチーフの三連画が登場。さまざまなバリエーションが存在するが、《Love is in the Air》のイメージを3つに分けた《Thrower》は、2019年にバンクシーが期間限定でオープンしたオンラインショップで販売したもの。
発売当時は10万円そこそこの値段だったが、それから1年も経たずに価格が300倍以上になった話題作。今回も予想最高落札価格を上回る価格となり、本作の高い人気が続いていることが明らかになった。（予想落札価格：約2,402万〜3,203万円 / £150,000-200,000）
【ANDART取り扱い作品の関連作品落札情報】
《Jack and Jill (Police Kids)》(2005)
落札価格：約847万円（£52,920）
ANDARTでも人気の《Jack and Jill (Police Kids)》のエディションナンバー違いが出品された。イギリスの同様に登場する少年Jackと少女Jillが、防弾ベストを着用してスキップしているというダークユーモアの効いた一作。
ANDARTではオーナー権総額670万円で販売されたが、今回の落札価格はそれを上回る約847万円と、為替変動を考慮しても高い落札額となった。ANDARTのオーナー権は人気のためすでに完売しているが、ユーザー間では売買が可能。（予想落札価格：約641万〜961万円 / £40,000-60,000）
《Gold Flag》(2007)
落札価格：約807万円（£50,400）
ピューリッツァー賞に輝いた報道写真「硫黄島の星条旗」をモチーフにした《Gold Flag》は、数あるバンクシー作品の中でも日本と深く結びついた作品。過去の戦争の悲惨さを教訓に、平和への祈りが込められており、世界の情勢が不安定な中で注目が高まっている。
今回出品されたのはゴールドの光沢紙に印刷されたものだが、ゴールドに先立ちシルバーバージョンが制作されている。ANDARTでは銀色に輝く《Flag》を販売中。（予想落札価格：約641万〜961万円 / £40,000-60,000）
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文：ANDART編集部
