冷食国内生産量(用途別)
(画像=冷食国内生産量(用途別))

日本冷凍食品協会が4月20日、発表した2021年暦年の冷凍食品国内生産量(速報値)は、前年比2.9%増の159万6214トンと前年を上回り、2017年に次いで史上2番目の数量となった。

金額(工場出荷額)も前年比5.2%増7371億円と2000年(7377億円)以来の高水準となった。前年の2020年は数量が2.3%減・金額が0.4%増で、数量は2年ぶりに増加に転じ、金額は2年連続の増加となった。

冷食国内生産量 金額(工場出荷額)
(画像=冷食国内生産量 金額(工場出荷額))

用途別では、業務用は数量が前年比2.3%増79万7547トン、金額が5.3%増3451億円と数量・金額とも3年連続の減少から増加に転じた。

家庭用は数量が3.6%増79万8667トン、金額が5.2%増3919億円とともに前年をさらに上回り、いずれも最高値を更新。数量は7年連続、金額は2年連続の増加となった。

業務用と家庭用の比率は、数量ベースでは50.0%:50.0%(前年50.3%:49.7%)、金額ベースでは46.8%:53.2%(同46.8%:53.2%)の割合となり、数量ベースでは初めてわずかながら家庭用が業務用を上回った。金額ベースでは前年初めて家庭用が業務用を上回り、今回も同様となった。

同日、記者会見した木村均専務理事は「業務用はここ数年減少し、前年はコロナ禍の影響も大きく受けた中、前年を上回ったが、数年前の(2017年)の93万トンからは10数万トン減っており、少し戻したとはいえ実力からすれば回復途上だろう。テレワークの伸展や外食の苦戦もあり、完全に元に戻るかは不透明だが回復を待ちたい。一方の家庭用は7年連続増と順調だ。コロナ禍の巣ごもり需要で冷食の使用機会が増えており、先般発表した消費者調査結果でも冷食利用者の約1割がコロナ禍を機に冷食を利用するようになったという人だった。コロナ禍の影響はあるが、全体としてはまだまだ伸びるのではないか」など話した。

大分類の品目別生産量では、農産物が9.1%減と減少したものの、水産物が1.4%増、国内生産量の大半を占める調理食品も3.3%増と増加に転じた。

小分類の品目で前年に対して大きく増加したのは、パン・パン生地(1万1195トン増・58.4%増)、ギョウザ(8862トン増・9.9%増)、カツ(5624トン増・10.3%増)、ミートボール(4223トン増・20.4%増)などだった。減少したのはうどん(3645トン減・1.8%減)、パスタ(3423トン減・5.2%減)、シチュー・スープ・ソース類(2403トン減・22.5%減)などだった。

小分類の品目別生産量上位は〈1〉うどん〈2〉コロッケ〈3〉炒飯〈4〉ギョウザ――の順で上位4品目は前年と同順位だったが、ハンバーグ(〈6〉→〈5〉)、ラーメン類(〈7〉→〈6〉)が順位を上げ、パスタ(〈5〉→〈7〉)が順位を下げた。なお、今回からより実態に即すよう、小分類での品目名を「スパゲッティ」から「パスタ」に変更している。

〈2021年冷凍食品消費量は2.3%増と増加に転じる 金額は4.9%増、5年連続で1兆円上回る〉

2021年の冷凍食品国内消費数量
(画像=2021年の冷凍食品国内消費数量)

また、2021年の冷凍食品国内消費数量は、前年比2.3%増の290万4746トンと、前年の減少から増加に転じた。国民1人当たりの年間消費量は2.2%増(0.5kg増)の23.1kgとなり、消費数量は合計・国民1人当たりとも過去最多を記録した2019年に次ぐ数量となった。

一方、金額ベースでは4.9%増の1兆949億円となり、5年連続で1兆円を上回った。

同協会が公表している冷凍食品の国内消費量統計は、「国内生産量」に「冷凍野菜輸入量」と「調理冷凍食品輸入量」を加算して算出している。消費量の内訳は、国内生産量は前頁の通り、前年比2.9%増の159万6214トンだった。

国内生産・輸入額
(画像=国内生産・輸入額)
国内生産・輸入量
(画像=国内生産・輸入量)

冷凍野菜輸入量は、財務省貿易統計によると、前年比3.8%増の107万2390トンとなった。

金額ベースでは8.9%増2034億円で、調査開始以来最高となった。調理冷凍食品輸入量は、前年比7.4%減の23万6142トン、金額は1.6%減の1544億円となり、数量・金額とも前年を下回っている。

また、消費量合計を総務省統計局による総人口(1億2550万2千人)で割ることで国民1人当たりの年間消費量を算出している。

なお、同協会は「調理冷凍食品の輸入については、当協会会員だけを対象にした調査であり、会員以外の商社、流通業者等が輸入しているものを考慮すると、実際の『消費量』はこの290万トンを上回るものと考えられる」とコメントしている。

〈冷食日報2022年4月21日付〉