埼玉県入間地区で展開する茶畑
(画像=埼玉県入間地区で展開する茶畑)

伊藤園は4月5日、埼玉県入間地区で茶畑づくりから始める新産地事業を2022年の一番茶から本格始動すると発表した。

新産地事業は、「お〜いお茶」専用茶葉などを生産する「茶産地育成事業」の取り組みのひとつ。これまで九州地方の5県と静岡県で展開していたが、関東は初めてとなる。入間地区では、国内で最もCO2排出量の少ない荒茶工場も稼働する。高品質な国産緑茶原料の安定調達や生産の効率化を進めるねらいだ。

伊藤園は、1976年から「茶産地育成事業」に取り組み、その展開総面積は2207haとなった(2021年4月時点)。契約栽培と新産地事業の2つから構成されるが、このうち2001年から開始した新産地事業は、地元の業者などが主体となり、自治体と協力して耕作放棄地などを大規模な茶園へ造成する活動だ。伊藤園が茶葉の生産に関する技術やノウハウを全面的に提供するとともに、「お〜いお茶」専用茶葉などを全量買い取りしている。

埼玉県入間地区は、狭山茶の主産地で生産量・栽培面積ともトップ。狭山茶の生産を維持・発展させるため、首都圏アグリファーム株式会社と伊藤園が協働して、行政の支援のもと農地中間管理機構などを活用し、これまでに50haの農地集約や未耕作地の解消を行ってきたという。

今回、伊藤園の国内7工場目となる専用荒茶工場の稼働開始を機に、新産地事業を本格的に展開する。荒茶工場とは、茶畑で摘んだ生葉を新鮮なうちに“蒸す・揉む・乾燥させる”という一次加工を施す工場のこと。この新しい荒茶工場で使用する燃料は全て都市ガスで、生産ラインには排熱を再利用する機構が取り付けられている。一般的な荒茶工場と比べて生産量当たりのCO2排出量は57%削減しており、国内で最もCO2排出量の少ない荒茶工場となっているという。

2022年の一番茶から稼働する伊藤園専用荒茶工場
(画像=2022年の一番茶から稼働する伊藤園専用荒茶工場)

今後、伊藤園は、埼玉県入間地区の展開面積で100ha規模を目指すとともに、事業拡大に伴う伊藤園専用の第二荒茶工場建設も視野に入れている。

伊藤園は、「生産者の雇用維持と茶業界の発展を目指して“茶産地育成事業”を積極的に推進し、引き続き農業に深く関わる企業として安心・安全で高品質な緑茶原料の安定調達と日本農業の課題解決の両立に取り組む」としている。