公正取引員会は3月30日、「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定し、取引の公正化に向けた行動計画を公表した。
2021年12月に取りまとめられた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を踏まえ、取引の公正化の推進のため、独占禁止法の執行強化、下請法の執行強化、価格転嫁円滑化スキームについてのアクションプランを示した。独占禁止法に関しては、労務費、原材料費、エネルギーコスト上昇分の転嫁拒否が疑われる業種に対し速やかに緊急調査を行うことを公表している。
独占禁止法の執行強化では、独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査などを行う。緊急調査については、転嫁円滑化パッケージで、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種へ実施することとしていた。公正取引委員会は、同日に緊急調査の対象業種を選定し、今後は速やかに緊急調査を実施する。調査結果は令和4年内をめどに取りまとめ公表する。また、転嫁拒否が疑われる事案について、立ち入り調査を行い、さらに関係する事業者に対し、具体的な懸念事項を明示した文書を送付する。
下請法の執行強化では、「買いたたき」の解釈の明確化、「買いたたき」に対する取締り強化、下請取引の監督強化のための情報システムの構築などに取り組む。
「買いたたき」の解釈の明確化では、ことし1月26日に、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引が下請法上の「買いたたき」に該当するおそれがあると「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」で改正を行った。また、新たに下請法Q&Aを作成・公表した。
令和3年9月に開始した、中小事業者等からの下請法に関する相談を受け付ける「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」には、2月末までに5321件の電話相談が寄せられている。引き続き、新たな「運用基準」やQ&A、「下請相談窓口」の周知徹底を図り、中小事業者からの要望に応じてオンライン相談会を実施していく。
〈酒類飲料日報2022年3月31日付〉