業務用冷凍食品の市場環境は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて急変した。メーカーの商品開発は集客力を高めている量販店を中心とした惣菜向け提案やシルバー施設向けの底上げ、ウィズコロナで新たに生まれた、外食のテークアウト・デリバリー向け提案などに軸足が置かれた。
一方で需要低迷が長引いている外食や観光・宿泊施設に対して、アフターコロナを見据えた商品提案に力を入れる動きも見られる。また業務用専業メーカーの「市販用」チャネルへの取り組みも鮮明になっている。
主要な業務用メーカーの2022年春の冷食新商品は13社合計134品となった。コロナ禍において市場の先行きが不透明なこと、商談も抑制傾向が続いたことから、前年の新商品の再提案が必要な面もあり、全体的に新商品数は抑え気味になっている。
そのような市場環境の中で今春の業務用新商品最多は、ニチレイフーズで21品。同社はコロナ禍当初から安定的に新商品を投入し続けている。
テーマを「環境変化の大きいユーザーの課題と、価値観の多様化する生活者ニーズにこたえる」こととして、美味しさ、簡便性、見栄えやインパクト、健康を切り口に商品をそろえた。次いでテーブルマークが19品。好調なデリカ市場向けに新商品を継続提案していく方針。他方で外食店やホテル業態の回復に備え、カット済みロールケーキなど作業負担軽減の提案をしている。
日本水産は新商品が18品。中食とメディカル給食を主眼に置いた。次いでマルハニチロが新商品16品。水産加工品の提案強化を掲げ、本格的な漬け魚を提案。C&Cでの販売も想定する。
日東ベストとヤヨイサンフーズはともに新商品が14品。日東ベストは惣菜向け丼の具、ご当地麺のほか、外食向けデザートを拡充。ヤヨイサンフーズは学校給食、施設給食向け、稼働2年目となる気仙沼工場の製品のほか、一般消費者向けを狙ってオリベートブランドの新商品を発売した。
〈冷食日報2022年3月18日付〉