目が「バッテン」のキャラクターたち。仮に作者は知らなくとも、そのユーモラスなキャラクターたちを目にしたことがある人は多いのではないだろうか?
手がけるのは、ブルックリンを拠点とする現代アーティスト・KAWS(カウズ、本名 ブライアン・ドネリー)。彼のキャラクターである「COMPANION(コンパニオン)」をモチーフとした作品は、絵画や立体作品だけでなく、量産品のフィギュアやおもちゃ(アートトイ)にも展開されている。
そんなアートトイのなかでも、人気の高いものは非常に高い価格で販売されている。なぜKAWSの「おもちゃ」はそんなに高価なのだろうか?その秘密を探ると、3つの理由が見えてきた。
※ 記事中のレートは 1HKD=15円、1ドル118円;すべて現在のレートで換算
▍KAWSの「コンパニオン」とは?
そもそも、「コンパニオン」とはどんなキャラクターなのか?
KAWSの代表的なキャラクター「コンパニオン」は、ミッキーマウスを再構築したものと言われている。
目が「× ×」となっているのが特徴で、セサミストリートなどの既存のキャラクターの目を同様に置き換え、オマージュした作品も数多く制作している。ポップカルチャーとストリートカルチャーに根付いた作風は、いわゆるアートファン以外の人たちからも広く受け入れられやすい。
こうしたキャラクターをモチーフに、メディコム・トイから展開されるグッズは毎回完売することでも有名で、KAWSは「アートトイの先駆者」と称されることもある。
▍高額で取引されるKAWSのフィギュア
KAWSのアートトイは安いものでは数千円程度で購入することも可能だ。一方、オークションではその価格が驚異的な額に高騰することもある。
例えば、プラスチック製のフィギュアについて見てみると、2019年には≪Untitled (Astro Boy)≫という作品が約4,700万円 (3,125,000HKD) で落札されている。また、100体限定で販売された≪Companion (Black)≫ は、複数点同じ作品の存在する「マルチプル」の作品であるにも関わらず、約2,100万円 ( 1,416,000HKD) という高額で落札されている。
画像出典:https://www.artprice.com/
▍KAWSの「アートトイ」はなぜこれほど高価なのか?
では、なぜこれほど高額で取引されるのだろうか?そこには、3つの理由がある。
①芸術性の高さ
「アートトイ」は「デザイナーズ・トイ」とも呼ばれ、デザイナーやアーティストにより数量限定で製作される。
デザイナーやアーティストは数多く存在するが、KAWSはイラストレーションの美術学士号を取得した後に1990年に作品の制作を始め、それからそのスタイルは一貫している。このために熱心なファンが多く存在するのだ。
フィギュアを「コレクターズアイテム」として、美術オークションでも取引されるまでのレベルに高めているのは、KAWSのスタイルの一貫性、そして芸術的才能によるものだ。
②ポップカルチャーにおける人気
また、KAWSのフィギュアはポップカルチャーでも人気がある。多くのセレブが彼の作品を購入したり、SNSに投稿したりしており、自然とそのフォロワーたちの目に触れることも多くなっていく。
さらに、KAWSはディズニーなどのビッグネームとのコラボレーションも数多く行っている。このように商業とファインアートの垣根を行き来する様子から、しばしばKAWSは「ポップ・アートの騎手」アンディ・ウォーホルとも比較して語られる。
③希少性
KAWSのプラスチック製フィギュアとしては最高額で落札されている≪Untitled (Astro Boy)≫ / KAWS 画像出典:https://www.sothebys.com/ KAWSのアートトイの中でも高価なものは「限定版」の作品だ。希少性によって独占欲をくすぐり、「早く買わなければ」という気分にさせる。KAWSのアートトイは即座に売り切れてしまうので、発売されるたびに、フォロワーたちは価格以上に「手に入れられるかどうか」を気にするようになるのだ。
KAWSのアートトイは大きな市場があり、限定版の作品はより多くの人が高い金額を支払ってでも手に入れたいと考えてることが明確であるため、さらにその価格は高騰している。
▍KAWSのフィギュアは「投資」に向いているか?
ここまでKAWSのフィギュアの人気ぶりを見てきたが、「投資」の観点を考えたときには魅力的なのだろうか?
これまでに高額落札されたKAWSの作品を見てみると、TOP10はいずれも平面の絵画作品であり、高額落札1位の《The KAWS Album》は約17億円(115,966,000 HKD)だ。
プラスチック製のフィギュアで最も高額で落札された≪Untitled (Astro Boy)≫が約4,700万円 (3,125,000HKD) なので、高額とはいえ、絵画と比較すると価格はやや見劣りはする。
画像出典:https://www.sothebys.com/
「投資」としてKAWSのアートトイを買うべきかどうかは、あなた自身がコレクター気質だったり、アートトイが好きかどうかといった興味で判断するのがよいだろう。KAWSの作品は値上がりが続いていることを考えると、その投資はおそらく良い方向に向かうのとともに、存在感のあるトイの所有は「投資」だけでない価値を与えてくれるだろう。
一方、アートトイの収集にそこまで興味が無い場合には、平面作品を共同保有するのもオススメだ。ANDARTでは、人気のKAWS作品を1口10,000円から共同保有することができる。
現在ANDARTでは2種類のKAWSの版画作品を取り扱っているので、是非チェックしてみよう。
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文:ANDART編集部