《Politeness, from The Virtues (H9-4)》
(画像=《Politeness, from The Virtues (H9-4)》)

2022年3月11日、フィリップスオークション「Editions & Works on Paper」がニューヨークで開催。プリント作品を中心に、戦後から現代まで幅広いアーティストのエディション作品が出品された。その中から落札価格の高かったTOP5の作品とANDART取り扱いアーティストの落札情報をピックアップしてお届け。1ドル=108.56円で計算、落札価格は手数料込み。

5)シャジア・シカンダー《Running on Empty II》
落札価格:約233万円($21,420)

《Running on Empty II》(2002)
(画像=《Running on Empty II》(2002))

出典:https://www.phillips.com/

シャジア・シカンダーは1969年生まれ、パキスタン系アメリカ人のビジュアルアーティスト。現在はニューヨークを拠点に、ドローイングや絵画、版画、アニメーション、インスタレーション、パフォーマンスなど幅広く表現活動をしている。ジェンダーや人種、アイデンティティ、植民地歴史を探求し、さまざまな文化的伝統を混在させた細密画がシカンダーの代表的な作品のひとつ。(予想落札価格:約65〜87万円 /$6,000〜8,000)

4)ダミアン・ハースト《Mercy, from The Virtues (H9-3)》
落札価格:約246万円($22,680)

《Mercy, from The Virtues (H9-3)》(2021)
(画像=《Mercy, from The Virtues (H9-3)》(2021))

出典:https://www.phillips.com/

ここから2位まではイギリスの現代アーティスト、ダミアン・ハーストの作品が占める結果に。現在、国立新美術館で開催中の「ダミアン・ハースト 桜」展にて展示中の新作「桜」シリーズの版画作品。8点セットの《The Virtues》は、8枚それぞれに新渡戸稲造が唱えた「武士道の八徳」(正義、勇気、慈悲、礼儀、誠実、名誉、忠誠、統制)にちなんだタイトルが付けられている。“Virtues”とは日本語で「美徳」のことで、本作の“Mercy”は「慈悲」にあたる。(予想落札価格:約87〜130万円 /$8,000〜12,000)

3)ダミアン・ハースト《Justice, from The Virtues (H9-1)》
落札価格:約260万円($23,940)

《Justice, from The Virtues (H9-1)》(2021)
(画像=《Justice, from The Virtues (H9-1)》(2021))

出典:https://www.phillips.com/

本作の“Justice”は「正義」。本シリーズは、ハーストが初のNFT作品《The Currency》を協同で制作したイギリスの出版社「HENI」からのリリース。発売当初、支払いに暗号通貨のビットコインとイーサも受け入れたことも話題に。先駆けてNFT作品をリリースしたハーストの新しいものを積極的に取り入れ、挑戦する姿勢は他のアーティストよりも強いといっても良いかもしれない。(予想落札価格:約87〜130万円 /$8,000〜12,000)

2)ダミアン・ハースト《Politeness, from The Virtues (H9-4)》
落札価格:約274万円($25,200)

《Politeness, from The Virtues (H9-4)》(2021)
(画像=《Politeness, from The Virtues (H9-4)》(2021))

出典:https://www.phillips.com/

こちらは“Politeness”で「礼儀」というタイトルがついた作品。ハーストは「桜」シリーズについて「桜は美と生と死について描いている。桜は極端なもので、希望に満ちていながら、どこか絶望的なところがある。芸術でありながら、自然から得たもの。また、これらのプリントは澄み切った青空を背景に咲き誇る狂気のような美しさの刹那を表現しています」と語っている。(参考)(予想落札価格:約87〜130万円 /$8,000〜12,000)

1)KAWS《WHAT PARTY》
落札価格:約1,026万円($94,500)

《WHAT PARTY》(2020)
(画像=《WHAT PARTY》(2020))

出典:https://www.phillips.com/

ストリート出身のアメリカの現代アーティスト・KAWSの作品が今回のオークションのトップに。本作はKAWSの代表的なキャラクター「CHUM」が描かれた7枚セット、100部限定のサインありのプリント作品。2020年に販売した5型のCHUMのスカルプチャー、そして2021年にブルックリン美術館で開催した大規模展覧会タイトルも「WHAT PARTY」だったことからも、KAWSのシグニチャー的なキャラクターとフレーズの組み合わせともいえるだろう。(予想落札価格: 約651〜868万円 /$60,000-80,000)

ANDARTでも「CHUM」を描いた10枚セットのプリント作品《URGE》を取り扱い中。

【ANDART取り扱いアーティスト落札情報】
デイヴィッド・ホックニー
《The Perspective Lesson, from Moving Focus Series (T. 284, M.C.A.T. 265)》

落札価格:約205万円 ($18,900)

《The Perspective Lesson, from Moving Focus Series (T. 284, M.C.A.T. 265)》(1984)
(画像=《The Perspective Lesson, from Moving Focus Series (T. 284, M.C.A.T. 265)》(1984))

出典:https://www.phillips.com/

イギリスで最も重要なアーティストのひとり、デイヴィッド・ホックニー。同性愛をテーマにした作品やスイミング・プール、風景画などを色彩豊かに描いた作品で有名。1984年から86年にかけて制作された「Moving Focus」は、パノラマ的な新しい視点を探った作品シリーズ。背後にある椅子と手前にある椅子、それぞれの微妙に角度を変えることで不思議な視点の歪みを楽しむことができる。(予想落札価格: 約87〜130万円 / $8,000-12,000)

ANDARTでは、ホックニーの代表的モチーフである「スイミングプール」を描いたリトグラフ作品を取り扱い中。

ANDARTでは、オークション速報やアートニュースをメルマガとLINEで無料配信しています。この機会にどうぞご登録下さい。

文:ANDART編集部