TESLA(テスラ)
(画像=TESLA(テスラ))

今やその名を聞いたことがない人は少ないであろう「TESLA(テスラ)」。2003年に創業以降、着々とその地位を築き上げています。テスラの全ての車両がたった2つの工場で生産されているにも関わらず、現在北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東など世界中で販売されており、世界の電気自動車販売ランキングでは首位を独走。また電気自動車に留まらず、太陽光発電、総合的な再生可能エネルギー ソリューションを提供することで、世界の再生可能エネルギーへの移行を加速させています。

中国・上海にあるテスラの工場「ギガファクトリー」
(画像=中国・上海にあるテスラの工場「ギガファクトリー」)

イスラエルでのテスラ公式販売は2021年初頭よりスタート。世界で車両価格が一番高い国にも関わらず、既に5,000台近くを販売しており、その需要は増すばかりです。世界を虜にするテスラですが、今回はイスラエルのテスラ需要について紹介します。

TESLA(テスラ)とは?

まずはテスラについて簡単におさらいしたいと思います。

2003年7月、マーティン・エバーハード氏とマーク・ターペニング氏により、アメリカ・デラウェア州にて「テスラ・モーターズ」として設立されました。社名の由来は、発明家であり電気技師でああった二コラ・テスラに敬意を表したものです。イーロン・マスク氏が創業者と思いの方も多いと思いますが、実は彼は創業者ではなく、テスラ・モーターズ創業の1年後に巨額の投資を行い、2008年よりCEOに就任しました。マスク氏は「テスラの目的は、電気自動車や太陽光発電によって得られる持続可能な輸送とエネルギーへの移行を促進すること」であると述べています。

テスラの車
(画像=テスラの車)

2020年の販売では、プラグイン・セグメント(ハイブリッド車を含む)で16%、バッテリー・エレクトリック(バッテリー式電気自動車)で23%の市場シェアを獲得し、世界で最も売れているプラグインハイブリッドおよび電気自動車ブランドとして位置づけられています。

株価を見てみると、テスラは2010年6月の株式上場以来、わずか11年で時価総額1兆ドルに到達。この大台を達成したスピードは、フェイスブックに次ぐ2番目となりました。

テスラ株価チャート
(画像=テスラ株価チャート)

テスラの車両モデル
「ロードスター」(2019)

テスラ初の自動車モデル
(画像=テスラ初の自動車モデル)

テスラ 「Model S」セダン(2012)

テスラ 「Model S」セダン(2012)
(画像=テスラ 「Model S」セダン(2012))

テスラ「Model X」SUV(2015)

テスラ「Model X」SUV(2015)
(画像=テスラ「Model X」SUV(2015))

テスラ量産型「Model 3」セダン(2017)

テスラ量産型「Model 3」セダン(2017)
(画像=テスラ量産型「Model 3」セダン(2017))

「Model Y」クロスオーバー(2020)

テスラ「Model Y」クロスオーバー(2020)
(画像=テスラ「Model Y」クロスオーバー(2020))

2020年のテスラの世界車両販売台数は、前年比35.8%増の499,950台を達成。同年、電気自動車の通算生産台数が100万台の大台を突破しました。

テスラ model 3 車内
(画像=テスラ model 3 車内)

イスラエルにおけるテスラの需要

イスラエルでも電気自動車の普及が急激に進んでおり、2021年最初の3四半期には7,800台の電気自動車が納車されています。これは前年同時期と比較すると528%増加しています。

2021年1月から同年9月までにイスラエルに供給されたテスラの新車数は4,689台で、これはイスラエルにおける電気自動車市場の60.1% を占め、群を抜いて1位となっています。ちなみに2位は中国の上海汽車集団 (SAIC)のMGZSで1,143台、3位は中国の新興電気自動車(EV)メーカー愛馳汽車(Aiways Automobile)で278台です。

次回のテスラ車配給船は、上海よりイスラエルとヨーロッパに向けて出港する予定で、10月末もしくは11月初旬にイスラエルのアシュドッド港に停泊予定です。業界では、以前の委託と同様の1,500台以上のテスラ車がイスラエルに配送され、一部はリース会社の車両の一部になると予想されています。またテスラは最近、上海の南にある洋山港に、イスラエルとヨーロッパへの電気自動車の委託専用埠頭を開設しました。

駐車場に並ぶテスラの車両
(画像=駐車場に並ぶテスラの車両)

同じく10月には、吉利汽車傘下のEVブランド「Geometry(ジオメトリー)」が94台イスラエルに到着予定ですが、これらは既に予約完売となっています。また2021年最終四半期には、現代自動車(ヒュンダイ)の電気自動車「IONIQ(アイオニック)」もイスラエルで販売予定ですが、こちらも既に完売となっています。これらからも、イスラエルの電気自動車の需要の高さが伺えます。そして、結果的にイスラエルはテスラの最も強力な輸出市場の一つとなり、他の電気自動車メーカーも含め、新車の割り当てに関してイスラエルを優先市場として位置づけしました。

それではなぜここまでイスラエルにおけるテスラ販売が非常に好調なのでしょうか。理由の一つに、ライバル不足が挙げられます。例えばEUでは、フォルクスワーゲンやヒュンダイなどのライバルとして存在するため、テスラは激しい競争に直面しているのです。

世界で最も車両価格が高いイスラエルで急成長する高級車市場

車両の販売価格は国によって異なりますが、それでは実際にどれくらいの際があるのでしょうか。中東の保険会社「Carinsurance」が世界30以上の市場における5台のラグジュアリーカーの推奨小売価格を調査し、高級車が高額で販売されている国と、低額で販売されている国のそれぞれベスト3を発表しました。

驚くことに、最も高額で高級車を販売している国はイスラエル。調査対象の国の中で、イスラエルは群を抜いて高価であり、5つのモデルそれぞれで最も高額という結果になりました。イスラエルで車両価格が高く理由として、税金が挙げられます。イスラエルでは、購入税として車両価値の約80% を支払う必要があり、これに加えてVAT(付加価値税)と時には輸入料金も加算されるのです。

高価格で高級車が販売されている国
第1位:イスラエル
メルセデス・ベンツSクラス:335,757ドル
レンジローバー:368,101ドル
Audi e-tron Quattro:161,943ドル
テスラモデルS:147,689ドル
BMW X7 :274,150ドル

第2位:デンマーク
メルセデス・ベンツSクラス:281,384ドル
レンジローバー:326,333ドル
Audi e-tron Quattro:89,222ドル
テスラモデルS:132,374ドル

第3位:フィンランド
メルセデス・ベンツSクラス:186,209ドル
レンジローバー:163,765ドル
Audi e-tron Quattro:92,164ドル
テスラモデルS:108,734ドル
BMW X7:154,778ドル

低価格で高級車が販売されている国
第1位:アメリカ合衆国
メルセデス・ベンツSクラス:94,250ドル
レンジローバー:92,000ドル
Audi e-tron Quattro :65,900ドル
テスラモデルS:79,990ドル
BMW X7:74,900ドル

アメリカ合衆国の人口はとても多く、また公共交通機関を利用するよりも自動車移動の方がはるかに人気があるため、メーカーは競争に勝つために価格を下げる必要があるようです。

第2位:カナダ
メルセデス・ベンツSクラス:100,476ドル
レンジローバー:100,151ドル
Audi e-tron Quattro:69,642ドル
テスラモデルS:93,553ドル
BMW X7:83,716ドル

第3位:日本
メルセデス・ベンツSクラス:116,755ドル
レンジローバー:134,814ドル
Audi e-tron Quattro:84,248ドル
テスラモデルS:97,512ドル
BMW X7 :100,591ドル

主要な自動車生産国の一つである日本は3位で、5モデルの平均価格は106,784ドルという結果が出ました。イスラエルにおける5モデルの平均価格は257,528ドルなので、その差は2倍以上です。アメリカ合衆国と同様に、日本は世界の経済大国のひとつであるため、車を購入する人も多く、最新モデルが発売されるとすぐ購入される傾向があると分析されています。

このようにイスラエルでは高額にも関わらず、電気自動車に対する需要は急増しており、テスラに限らず他の電気自動車に対する需要も増加しています。その背景には、高収入のハイテク企業が多く存在することが挙げられます。多くのハイテク企業が憶万ドルの収益を上げており、若い層でも月に50万~80万円の給料をもらっていることが少なくありません。また低価格のものより高価格なものを好む国民性も関係しているでしょう。高額な車や住宅を購入する際は長期ローンを組む方が多く、ローンをしてでも人生を楽しく生きよう!という精神も関係しているかもしれません。

いずれにしても、今後イスラエルが各メーカーにとって重要な市場となることは間違いないでしょう。

ガソリン不要で、環境に優しい電気自動車が自動車市場を制覇するのもそう遠くないかもしれません。

https://www.tesla.com/ja_jp