ISRAERU
(画像=ISRAERU)

テルアビブの由緒ある都市、ヤッファに設立されたイベントセンター「House in Yaffo」。ここは、イスラエル人シェフであるElisheva氏とMoran氏によって共同設立されました。イベントセンターにはアートが展示され、地元の人や観光客、ビジネス目的で開催される小規模イベントにて料理を提供しています。また食事の提供に使用されるセラミック陶器は、全て障がいを持った方によって作られています。

別々のキャリアをスタートした彼女たちが5年前に出会い、一緒にビジネスを始めた経緯について、共同設立者であるElisheva Engelberg氏とMoran Aharon氏にお話を伺いました。

Habayit BeYaffoのFacebookページ
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料理への情熱

母親がきっかけで料理を始めたというMoran氏。美味しい食事に囲まれて育った彼女は次第に「自分を満たし、他人を幸せにする」仕事がしたいと思うようになりました。そしてイスラエルの南の都市、エイラットで料理を学んだのちパリで修行。パリとイタリアで3年間働きました。

一方Elisheva氏は、幼い頃から料理を始め、当時シェフという職業はあまり社会的に認められていなかったにも関わらず、いつかはレストランを開きたいと夢見るようになりました。シェフという職業に常に憧れを持っていたのです。10代で世界中を旅し、帰国したのちキャリアをスタートさせました。

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ヤッファのユニークなクッキングイベント

そして5年前、料理に情熱を持った二人が出会い全てが始まります。当初は、Elisheva氏の自宅を料理イベントの会場にしていました。しかし収容人数に収らなくなるにつれて、美しいアートを会場いっぱいに展示できるユニークで理想的な会場を探し始めます。そんな時に現在使用している家に偶然出会い、二人は恋に落ちました。

彼女たちが作り出す料理は一つひとつ異なります。「農場から食卓へ」というスタイルをとる彼女たちは、その日に採れた新鮮な食材を使った料理を提供。ユニークな点の一つに、普段自宅のキッチンには無い食材を使用するというものがあります。これまで数々のメニューを提供してきた彼女たちですが、最も記憶に残っているのは、イスラエルを訪問していたドバイの王子に提供した料理だったと2人は言います。鴨、ブドウの葉、フムスを使ったリゾットです。彼女たちが暮らすヤッファからインスピレーションを受けて、イスラエルとアラブスタイルを融合しました。「私たちは人々と繋がる、特別で素材を生かした料理を作り出します。料理とアートを代弁しているのです」。彼女たちはビジネスグループ(宇宙飛行士のグループなど)や、中国、スペイン、イタリア、カナダからの観光客などを含む、世界中の人々のためにイベントを開催してきました。トヨタもその一つです。

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パンデミック:不安定な世界の中で新しいものを生み出す

パンデミック発生時、彼女たちはイベントセンターを閉鎖しなくてはなりませんでした。当初は何が起こっているのか理解できず混乱し、ビジネスがどう影響されるか全く検討もつきませんでした。集会を一時休止した際はとても苦労しましたが、政府が小規模な集まりを許可した時から、次第に状況は改善します。予約は通常全て埋まっていたこともあり、彼女たちのビジネスがまた別のイベントの形へと変化していることに気づきました。観光客へのイベントが主な事業であったにも関わらず、当面の間イスラエルの人々で予約が埋まっていたのです。「小規模で上質なイベントが主流になっていくことに気づきました。誰かが問題を解決してくれるのを待っていてはいけません。己の力で解決すべきです」。

思いもよらないパンデミックの到来でしたが、これが新規事業に踏み出すきっかけとなりました。「Alma」というローカルフードを提供する惣菜店を新しくオープンしたのです。食材の鮮度や景色も爽やかな店舗です。このアイディアはロックダウンの真っ只中、ヤッファを歩き回っていた時に思いつきました。「閉鎖したお店があるということは、新規参入のチャンスもあるということに気づいたのです。Elishevaにあなたの夢はと聞くと、彼女は惣菜店を開くことだと答えました」。彼女たちは今、観光客の人々が戻り、新しいお店を訪れるのを待っています。

パンデミックは彼女たちにとって最大の経営課題であったかもしれません。しかし、型にはまらず、その場の状況に合わせて臨機応変に対応する必要性を彼女たちは学びました。そして彼女たちは、この2年間で倒産しないことに成功しただけでなく、素晴らしいものを開発しました。「経営者として、より柔軟性と行動力を持つことを学びました」。

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コミュニティへの参加

また二人は、コミュニティと成功を分かち合うことは不可欠と考え、コミュニティ支援も大切にしています。その活動の一つとして、非営利団体「Shiluvim」を通して出会った障がいを持つ人々が手作りで作る食器を使用することが挙げられます。彼らの食器を見た瞬間、二人はイベントで使用することを決意したと言います。「私たちは常にボランティアやプロジェクトを通して障害を持つ人々と関わってきました。Elishevaは特殊教育の修士号を取得したほどです。これには私たちの育った環境が強く影響しています。私たちの課題はコミュニティに恩返しすることです

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働く女性として

女性起業家として活躍する彼女たちは、新規ビジネスを始める女性へのアドバイスとして「恐れずにリスクを負ってください」と述べています。

また夢を追う女性を励ます一方、プロフェッショナルに取り組むこととあらゆる数字に目を配ることが重要であると言います。そしてElisheva氏とMoran氏は、若いシェフに対して独立開業に関するアドバイスを行ったり、ビジネスパーソンに向けたプライベートイベントにて彼女らのストーリーや女性エンパワーメントに関する講義を行なっています。次の目標は家族にフォーカスすることですが、Almaをチェーン展開するなど、まだまだビジネスアイデアはつきません。また同時に、今あるものをより育てていきたいことも確かです。現在、20人から30人の団体を対象としたケータリングサービスも行っていますが、それに加えて有機農園も所有したいと考えており、そこで採れた食材と共に上質なイスラエル製ワインを提供する30人から50人を対象としたイベントを週に1度主催したいとも考えています。

https://eventstlv.co.il/