アサヒグループホールディングスでは、2022年1月からアサヒグループジャパンがスタートし、アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などを傘下とする。横断機能を発揮して、各事業の拡大・価値最大化を目指す。
12月15日にアサヒグループホールディングス勝木敦志社長兼CEOとアサヒグループジャパンの社長兼CEOに就任する濱田賢司氏が会見を開いた。
勝木社長は「アサヒグループは、日本、欧州、オセアニア、東南アジアの各地域統括会社であるリージョナル・ヘッドクオーターごとに事業を展開している。この4月に日本統括本部を新設し私が本部長を兼務していたが、これを移管して1月から新経営体制とする。アサヒヨーロッパ、アサヒオーストラリア、アサヒ東南アジアと並ぶ組織となる。国内は、コロナ禍で酒類は打撃を受け、飲料も自販機・オフィス内消費の減少、ミンティアの需要減退など影響が大きい。グループの海外事業は売上収益の4割以上、事業利益は6割以上を占め、大きくなってきた。日本でも各事業の再強化による収益性の改善が喫緊の課題だ。新会社はサスティナビリティ、研究開発、調達、マーケティングなどを事業を横断して推進する。濱田氏は、経営企画部門が長い。2019年3月までホールディングス取締役CFO、アサヒビールでは経営創造本部長、営業本部長を歴任した。バリュー経営への変革を指揮し、業務用営業改革、ドラフターズなど、強みを生かした数々の成果をあげてきた。生ジョッキ缶、マルエフ、ビアリーなど数々のヒット商品で手腕を発揮した。2000年代のM&Aでは、私は現場の交渉をしていたが、当時彼は参謀の経営企画部長で、経営の意思決定の要の役割だった。戦略性は非常に高い。現在のグローバルプラットフォームの礎を築いた、力量と実績を兼ね備えた人物だ」と述べた。
〈事業横断のシナジーを創出する後方支援部隊、社員のモチベーション強化〉
濱田社長は「マザーマーケットで更なる成長を実現する。そのための基盤を構築する会社だ。ポイントは3点。まず1つめに、その役割は日本事業の価値向上、持続的成長のリーダーシップをとる。横断機能の徹底的な集約で、事業横断のシナジーを創出する後方支援部隊だ。事業戦略にあわせた適材適所の人材活用、横断したデータの利活用の促進、IT基盤の構築、調達・生産・物流のSCM全般におけるグループシナジーの創出、総務・法務・財務・監査などバックオフィス機能の集約を通じて、事業活動を横断的にサポートする。2つめに、人を重視する経営とする。デジタル化・標準化が進めば進むほど、人の重要性は増す。モチベーションが会社のパフォーマンスを決定する。社員が自己実現し、成長し続ける。多様な個がぶつかり合い、創意工夫が内発的に生まれ、新規の提案が毎日出てくるのが当たり前になるような組織を目指す。女性活躍推進では、国内外グループ8社の経営層の女性比率を、現状の22%から、2030年までに40%以上とする。そのために1月からダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン委員会を設置し、私が委員長に就く。3つめに、サスティナビリティをしっかり組み込み、根幹の思想とする。日本社会の永続的パートナーとなる。環境・人・コミュニティ・健康・責任ある飲酒。1月からサスティナビリティ事業を展開する新会社、アサヒユウアスをスタートする」と述べた。
記者団の質問に対して「資源配分の最適化ということでは、ビール名古屋工場に飲料の製造ラインを設置した例などがあげられる」「採用・処遇はいきなり一元化はできないが、幅広く検討していきたい。マーケティングも個社が主体となって進める。個社の決定を阻害することがあってはいけない。といっても、例えばビール社の松山一雄マーケティング本部長はジャパン社の常務執行役員となる。ビール、飲料、食品の各トップと勝木と私との5人で、月に2回戦略会議を行う。トップの会議体ができたことは大きい」「ビール社の事務所は2022年早々に55カ所から26カ所に集約するが、各事業会社の各事務所はひとつに集約できると考えている」など答えた。
〈酒類飲料日報2021年12月16日付〉