【バンクシー編】2021年を振り返り!アートニュース総まとめ
(画像=【バンクシー編】2021年を振り返り!アートニュース総まとめ)

2021年も残すところあとわずか。1年の締めくくりに、世間を賑わせたアーティストたちの主要ニュースを振り返ってみよう。今回はイギリスを代表する世界的覆面ストリートアーティスト・バンクシーのニュースをお届け。

目次

  1. 展覧会
  2. オークション
  3. NFT
  4. 壁画
  5. チャリティー

展覧会

▍「バンクシーって誰?展」開幕、名古屋へ巡回

ストリートの街並みを再現した展示でバンクシーの世界観に没入できる展覧会が2021年8月21日〜12月5日、天王洲の寺田倉庫G1ビルで開催された。東京に続き、2021年12月19日より名古屋での巡回展示が始まっている。(公式ホームページ

▍「世界一小さな美術館」で代表作を展示

9月5日、渋谷フクラス(SHIBUYA FUKURAS)の商業施設「東急プラザ渋谷」2Fに「世界一小さな美術館@GMOデジタル・ハチ公」がオープン。第1弾展示企画の「Banksy Artworks from Masatoshi Kumagai Collection(バンクシー展)」にてバンクシーの代表作《Girl with Balloon》(風船と少女)が展示された。

12月1日(水)からは、バンクシーが手がけたオリジナル作品《Bomb Love Over Radar》を世界初公開している。《Girl with Balloon》と2作品同時に楽しめるデジタルアート空間に足を運んでみてはいかがだろう。(詳しくは公式ホームページへ)

今回初公開された《Bomb Love Over Radar》は、2001年にロンドンに登場した壁画をモチーフにした作品。《BOMB LOVE》と名付けられた壁画は、2003年にプリント作品としても販売されている。ANDARTでは、その《BOMB LOVE》を取扱い中。

▍「バンクシー展 天才か反逆者か」東京で開催

2018年からモスクワ、マドリード、香港、ニューヨークなどを巡回し、国内では横浜を皮切りに主要都市を巡回してきた「BANKSY展 GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展 天才か反逆者か)」展が2021年12月12日から東京・原宿で開催している。(詳しくは公式ホームページへ

バンクシー展
(画像=バンクシー展)

バンクシーのルーツを探る特別コンテンツとして、アンディ・ウォーホルやジャン=ミシェル・バスキアの作品を比較展示する企画にANDARTの共同保有作品である、バスキアの《Jawbone of an Ass》が展示中。見応えのある展覧会となっている。特別コンテンツについて詳しくは以下の記事から。

オークション

▍現存するアーティストの中でトップの売上を記録

Artpriceが発表した2021年上半期オークション総売上高トップ10でバンクシーが123,328,000ドル(約136億円)を売り上げ、現存するアーティストの中ではトップの5位にランクインした。名実ともにトップアーティストの位置まで昇りつめたと言える結果だろう。2021年下半期、そして来年もこの勢いは続くのだろうか?

▍裁断された《Girl with Balloon》、史上最高額で落札

2018年、サザビーズにてキャンバスの《Girl with Balloon》の落札が決まった瞬間、額装内に仕掛けられたシュレッダーが作動し、作品の半分を裁断した「シュレッダー事件」は世界中を驚かせた。その後、バンクシーによってタイトルが《Love is in the Bin》(愛はゴミ箱の中に)へと改められ、10月14日サザビーズに再び出品。予想最高落札価格の3倍以上の約28.9億円(1,858万ポンド)で落札され、バンクシー作品の落札価格として史上最高額をマークした。

▍ポール・スミス所有の作品が約16億で落札

11月9日、ファッションデザイナーのサー・ポール・スミスがコレクションしていたゴッホの《ひまわり》をオマージュした作品《Sunflowers From Petrol Station》がクリスティーズに出品され、約16.4億円で落札された。

NFT

▍シュレッダー事件をヒントに。NFTにするため作品を焼却

3月、コレクターと投資家のグループによってバンクシーのプリント作品《Morons》が焼却され、その様子を収めた動画が「Burnt Banksy」というツイッターアカウントで公開され話題を呼んだ。

焼却される前のオリジナル作品をNFT化した《Morons》は、OpenSeaプラットフォームで228.69ETH(約4,144万円)で落札。これは《Girl with Balloon》が裁断されたことによってさらに価値を上げた「シュレッダー事件」から着想を得たという。

▍SPIKEと描いた石、無許可でNFTに

7月22日22時22分にVALUARTで開催されたオンラインオークションにバンクシーの作品《SPIKE》のNFTバージョンが出品。65ETH(当時約1,817万円)で落札され、半分は慈善団体に寄付された。この《SPIKE》とは、バンクシーが2005年にパレスチナとイスラエルを隔てる分離壁に「SPIKE」と描いた部分を削り取ったもの。

▍公式で買ったのは偽NFTだった!バンクシーは関与否定

9月、イギリスの著名NFTコレクター「Pransky」がバンクシーの公式サイトを通じて偽物のNFTを購入させられる事件が起こった。Pranskyは手数料を除いて返金されたが、バンクシー側はいかなるNFTオークションへの関与を否定している。実は、この事件が起こる前、バンクシーは自身のサイトのセキュリティの脆弱性をアメリカのホワイトハッカーに指摘されていたとか。

▍《Love is in the Air》が1万個のNFTに

オークションハウス・クリスティーズの現代美術部門元責任者が設立した、NFT取引を行う会社「Particle」がバンクシーの代表作の一つ《Love is in the Air》を1万個のNFTに分割。2022年1月10日から4日間販売する。各パーティクルの価格は1,500ドルで、販売されたパーティクルは他のNFTマーケットプレイスで再度流通することも可能とのこと。

出典:https://www.artnews.com/

壁画

▍新作壁画登場!バンクシーの「Spraycation」

2021年8月、題して《A Great British Spraycation》という9つの新作壁画がイギリスに登場した。「Spraycation(スプレイケーション)」は、近場で休暇を過ごすことを意味する「Staycation(ステイケーション)」をもじった造語だと考えられていて、カクテルを飲みながらビーチチェアでゆったりと過ごすネズミの姿などが描かれている。公式インスタグラムには、制作の模様を映した動画が投稿された。9つの壁画についての詳しい記事はこちらから。

▍オリジナル壁画が俳優によって塗りつぶされる

バンクシーの故郷とされているブリストルを舞台にしたTVドラマの撮影で、ハリウッド俳優のクリストファー・ウォーケンによってネズミの壁画が塗りつぶされた。バンクシーの壁画は登場するたびに保護か撤去か議論され、作品の行方も気になるところ。今回はバンクシーの許可を得て、塗りつぶされたそうだ。

チャリティー

▍オークションレコードを更新。医療従事者のための作品

2020年5月に発表した、バンクシーの医療従事者を称賛する作品《Game Changer》が2021年3月、クリスティーズで出品され、1675万8000ポンド(約25億円)で落札された。これは当時のバンクシーの最高落札価格を更新する結果となった。《Game Changer》は発表当初からオークションにかけられることが予定されていた作品で、今回の売却益はイギリスの国民保健サービスなどに寄付された。

《Game Changer》(2020年)
(画像=《Game Changer》(2020年))

出典:https://www.artpedia.asia/

▍旧刑務所をアートセンターへ。15億円の寄付を申し出

アイルランド出身の作家、オスカー・ワイルドがかつて同性愛の罪で収監されていたレディング旧刑務所をアートセンターへ変える計画のために、バンクシーに白羽の矢が立った。3月にバンクシーが旧刑務所に残した壁画の売却を申し出ており、これにより約15億円(1,000万ポンド)の資金調達が出来る見込みだという。旧刑務所は2019年から売りに出されていて、より良いオファーがなければアパートメントになる可能性がある。

▍人種差別に立ち向かう。チャリティーTシャツを販売 12月10日、バンクシーがチャリティーTシャツの販売を公式インスタグラムで発表した。これは人種差別に抗議するために、奴隷商人であったエドワード・コルストンの銅像を撤去した罪で裁判にかけられようとしている4人をサポートするために製作された。1枚約3,750円 (25ポンド+税)、1人1枚のみの販売となる。店の前には行列ができ、オンライン上では既に転売されている。

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文:ANDART編集部