日本オリーブオイルソムリエ協会・多田代表理事、キジェルモ・ハント駐日アルゼンチン共和国大使
(画像=日本オリーブオイルソムリエ協会・多田代表理事、キジェルモ・ハント駐日アルゼンチン共和国大使)

駐日アルゼンチン共和国大使館と日本オリーブオイルソムリエ協会(多田俊哉代表理事)は11月26日、港区のアルゼンチン共和国大使館で「アルゼンチン産オリーブオイルセミナー」を共催した。アルゼンチンからズッカルディ社、ラウール社、ティンボ社がオンラインで、それぞれのオリーブ油の輸入商社3社も参加し、多田代表理事により、テロワールの説明とテイスティングセミナーが行われた。

キジェルモ・ハント駐日アルゼンチン共和国大使は、「本セミナーは大使館が展開している貿易推進活動の一環として、日本市場に進出している質の高いオリーブ油を生産している企業3社とともに行う。今日、アルゼンチンは国内のさまざまな地域で10万ha以上の栽培面積を有しており、世界第10位のオリーブ油の生産国だ。エキストラバージンオリーブ油の世界ランキングでトップ10に入る唯一のラテンアメリカの国でもある」と強調した。

多田理事長は、アルゼンチンのオリーブ油のテロワールについて紹介した。それによると、アルゼンチンは、南アメリカ大陸でナンバーワンのオリーブ油生産国で、2019年のFAO(国連食糧農業機関)のデータでは、オリーブ果実の生産量は32万5,862tだという。オリーブ油の生産量は最新のIOC(国際オリーブ協会)のデータで2万7,500t、作付面積は11万9,273ha、搾油所の数は約100、栽培本数は2,100万本となっている。「特筆すべきは中近東、欧州の地中海沿岸の国以外で最初にIOCに加盟したのがアルゼンチンだ」という。

栽培方法については、「スペイン、イタリア、チュニジアなどの伝統的な畑とは違い、垣根を使って高密植で栽培する。機械を使って収穫し、合理的な農業を行うため、こういう手法を取っている」と説明した。

これまで、北部が伝統的な産地であったが、リオネグロ州やメンドーサ州など南部でも栽培されるようになっているという。オリーブの品種は、アルゼンチンにしかないアラウコが主力で、スペイン系のアルベキーナ、チャングロット、ファルガなどが多く、イタリア系移民も多かったことから、コラティーナを作っている生産者も多いとしている。

最新技術を導入してオリーブを作っているところが多く、乾燥しているため有機栽培が行いやすく、オーガニックのオリーブ油が多いのも特徴だという。品質も向上しており、同協会が主催する国際的なオリーブオイルコンテスト「OLIVE JAPAN2021」では15品エントリーのうち、12品で金賞、銀賞を獲得した。課題として、「アルゼンチンのオリーブ油は、日本でも世界でもまだまだ無名だ。プレミアムブランド化がどこまで図れるか」と述べた。

〈輸入商社がアルゼンチン産の品質の高さをプレゼン、コンテナ手配が課題に〉
輸入商社もアルゼンチン産オリーブ油の品質の高さについてプレゼンした。ユーロパス社は、ズッカルディ社のオリーブ油のアピールポイントとして、「FFC22000の認証を取得しており、真空状態にして短時間で搾ったものをボトリングしている」と説明した。今年の課題については、「アルゼンチンから2年連続空輸している。来年からは低温コンテナで輸入を予定しているが、20フィートのコンテナが手配できず、40フィートを低温にコントロールして輸入しなければならない。空輸し続けると、高品質のものを手頃な価格で提供できないため、どう乗り越えていくか」だという。

木野物産はラウール社のオリーブ油を輸入しており、2020年に「クルス・デ・ピエドラ」が「ラグジュアリーライフスタイルアワード」を受賞したことをアピールした。ティンボ社のオリーブ油を輸入しているGIGAは、「2006年12月12日に日本政府とアルゼンチン政府との間でJASとアルゼンチンのオーガニックの同等性を認める調印が行われ、輸入することが容易になった。

ティンボ社のオリーブ油は、アルゼンチンの中でもリーダー的なオーガニックのオリーブ油だ。国際品評会でも数々の賞を受賞している。日本の複数の5つ星外資系ホテルで利用してもらっている」と紹介した。

〈大豆油糧日報2021年12月6日付〉