〈値上げは12月と3月に分けて実施、「品質保証本部」「開発本部」を新設〉
日東ベストは12月2日、第2四半期業績と通期、来期見通しについて社長記者会見を船橋市の営業本部で開催し、併せて新商品の試食会も行った。
はじめに大沼一彦会長は「コロナ禍で苦しめられた年だった。1年で終息するどころか新たにオミクロン株が発生するなど驚異的な存在になった。更に原材料関係、資材、油関係など全て高騰し、働き方改革も大きな課題となり、環境問題への対応も追い打ちをかけているが、それらは他社も同じ。課題があるのは次にステップできると考え力強く取り組んでいくしかない」とあいさつした。
塚田莊一郎社長の説明は概要次の通り。
連結業績の2021年度上期売上高は242億2,400万円(前年同期232億8,500万円)となり、営業利益は2億6,700万円も、経常利益は前年同期比284%増の2億9,200万円に、純利益は131%増の1億8,700万円となり増収大幅増益になった(「収益認識に関する会計基準」適用のため売上高の前年同期比は非公表)。
ワクチン接種が進む一方、新規感染者の急速な増加により緊急事態宣言等の拡大により経済活動は停滞し、現況ではオミクロン株の発生で厳しい状況が続いている。学校給食は前年のような全国的な休校措置はなかったが、外食産業の停滞に加え、原材料価格の高騰が大きく影響した。厳しい環境の中、お客様と従業員の安全確保を第一に、市場環境変化への対応を行いながら販売力強化、ニーズを捉えた商品開発、お客様への迅速な対応に努めた結果、外食分野の前年同期比増加もあって増収となり、利益面でも売上増加や経費削減で増益となった。
部門別売上高では、冷凍食品部門が前年同期181億3,800万円から192億600万円へ増収した。在宅勤務で減少したお客様が戻るなど販売活動が動き始めた結果。日配食品部門でも34億1,200万円から37億2,100万円へと増収したが、缶詰部門は昨年好調の反動で17億3,400万円から12億9,700万円へと減収した。
また冷食のカテゴリー別内訳は、対前年比で、ハンバーグなどひき肉加工品が2桁伸長と好調。畜肉フライ品は前年並み。袋入り畜肉品は惣菜やC&Ⅽなどコロナの影響を受けないところで伸びて若干好調だった。畜肉調理品は変動がなかった。冷凍デザートはフレンズスイーツが評価されるなど前年より伸長した。麺類は前年並み、魚は昨年大きく整理した分は減ったが、それ以外の変動はなかった。
販売分野別では、給食分野で学校・病院分野の伸長で前年を上回った。外食分野も前年を上回ったが、惣菜分野は前年並みとなった。通期業績予想は売上高525億円、営業利益は48.0%増11億円、経常利益は31.8%増12億円、当期純利益は14.2%増の8億円を見込む。下期は目標を修正せずに進む。製造原料の圧力が体験したことがないほど強くなっているが、お客様に安定供給していくことを最優先に努める。
価格改定では、牛肉の使用量が最も多いメーカーとして地道に値上げのお願いをしているところで、12月と3月の2回に分けて全品値上げをする予定。営業では、きめの細かい営業やオンラインを使ってお客様とのつながりを保っている。また、組織改編では「品質保証本部」と「開発本部」を新設した。これは、美味しさやリーズナブルな価格はもちろん、更なる安全はメーカーの務めとして、高度な品質の実現に注力するものだ。市場が求めているものをスピーディに実現していく。
最近は対面での商談ができるようになってきており、展示会開催も多くなってきた。それに伴い、お客様のニーズも広がっており、今後は足を運ぶ機会が増えると期待している。外食分野では緊急事態宣言解除後は問屋の動きが明らかに良くなっており、バンケット商材までは未だ広がらないがハムソー等は期待できる。設備投資としては、コンビーフ製造ラインなど細かくやっており、今後は山形工場への集約など長いスパンで対応していく考えだ。
〈冷食日報2021年12月3日付〉