矢野経済研究所
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2020年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は前年度比9.7%減の3兆6,391億円に

~新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年度はマイナス推移に転じるも、2021年度以降は再び成長路線を見込む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の業種・職種別人材ビジネス市場を調査し、人材サービス8市場(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、保育人材サービス、農業支援人材サービス)の動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。

業種・職種別人材ビジネスの市場規模推移(5市場計)

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1.市場概況

2020年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は、事業者売上高ベースで前年度比9.7%減の3兆6,391億円となった。
労働力不足や人材確保難は依然としてさまざまな産業界の課題となっており、人材サービスに対する需要は拡大傾向にあったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響が各人材サービス市場に及んだことで、2020年度の業種・職種別人材ビジネス(5市場)市場は縮小することとなった。業種・職種別人材ビジネスの5市場のうち、2020年度において前年度を上回った分野は、「技術者派遣サービス」と「介護人材サービス」の2分野である。但し、両市場ともこれまでの2桁成長から一転して微増となった。また、業種・職種別人材ビジネス(5市場)において最大規模を誇る「製造派遣・請負サービス」は前年度比15%程度の減少となった。

2.注目トピック

コロナ禍でのマイナス成長から人材需要の回復に伴い再び成長路線に

コロナ禍において、企業の事業活動の停滞などによって人材需要の低迷が散見され、2020年度の「営業・販売支援人材サービス」「製造派遣・請負サービス」「医療人材サービス」の3市場の市場規模は2019年度を下回ることとなった。一方、「技術者派遣サービス」と「介護人材サービス」は、2019年度の市場規模を上回ったものの、これまでの二桁成長から3~4%の成長と伸長率が鈍化することとなった。

2021年度は、コロナ禍での事業活動や働き方が確立・定着し、各業界において人材需要の回復に伴い、再び成長路線に戻ることが見込まれる。
とくに医療人材サービス(医療系資格保有者を紹介する人材紹介サービス)では、常勤・非常勤の医師・看護師の人材紹介は概ね例年通りの需要に回復し、さらに、ワクチン接種会場の設置に伴い、非常勤医師や非常勤看護師を対象とする人材紹介サービスの需要が大きく拡大したことなども影響し、当該市場はコロナ禍以前の市場規模を上回る見込みである。
その一方、製造派遣・請負サービスでは、コロナ禍の影響によってタイなどの東南アジアの製造工場の一時休業・閉鎖による部品調達の停滞が影響した、国内工場の稼働率の低下が懸念材料となっている。とくに、製造派遣・請負サービスの大きな需要分野である自動車分野のサプライチェーンの停滞状況によっては、本格的な市場回復には時間を要する可能性がある。

3.将来展望

2021年度については、依然としてコロナ禍が継続しているものの、コロナ禍での事業活動や働き方が確立・定着しつつあることで、2020年度ほどの大きなマイナス影響は見られていない。企業の事業活動の復調に伴い、各人材サービスの需要は回復を見せており、2021年度の業種・職種別人材ビジネス市場(5市場計)は前年度比7.0%増の3兆8,943億円を見込む。
但し、飲食・宿泊・イベントなどのサービス関連業界の多くは、コロナ禍での厳しい事業環境が続いていることに加え、他業界の企業においてもコロナ禍で事業活動の停滞が続いている企業もあるため、市場分野や派遣会社によって、今後の回復度合いや伸長スピードに差が生じることが推察される。

調査要綱

1.調査期間: 2020年5月~9月
2.調査対象: 人材サービス提供事業者(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、保育人材サービス、農業支援人材サービス)等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<業種・職種別人材ビジネス市場とは>
本調査における業種・職種別人材ビジネス市場とは、技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス(医療系資格保有者を紹介する人材紹介サービス)、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、保育人材サービス、農業支援人材サービスの8市場を対象とする。このうち5市場(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス市場、介護人材サービス)を合算して、業種・職種別の人材ビジネス市場として市場規模を算出している。尚、建設業界向け人材サービス、保育人材サービス、農業支援人材サービスの3市場の市場規模の算出は行っていない。
<市場に含まれる商品・サービス>
技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス

出典資料について

資料名2021年版 人材ビジネスの現状と展望 PART2 業種・職種別人材サービス編
発刊日2021年09月27日
体裁A4 503ページ
定価132,000円 (本体価格 120,000円)

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