フジッコ 福井社長
(画像=フジッコ 福井社長)

フジッコが10月28日に発表した2022年3月期第2四半期連結決算は、期初から収益認識に関する会計基準などを適用し、販売促進費などの顧客に支払われる対価を、従来「販売費及び一般管理費」として処理していた方法を「売上高」から減額する方法に変更している。この適用により、売上高は272億5,500万円となり、当基準適用後の前年実績との比較(以下、参考前年比)では3.1%減となった。デザート製品、ヨーグルト製品が前年を上回ったが、豆製品、総菜製品、昆布製品が前年を下回った。

フジッコ2022年3月期第2四半期連結決算
(画像=フジッコ2022年3月期第2四半期連結決算)

利益は、関東工場新工場棟(埼玉県加須市)や、新オフィス「東京FFセンター」(東京都文京区)の開設など積極的な設備投資による減価償却費の増加に加えて、2020年はコロナ禍で自粛したテレビCMの放映を予定どおり集中投下したことから、営業利益は39.4%減の13億1,800万円と減益だった。

製品別の売上高では、総菜製品は93億8,200万円(参考前年比4.5%減)となった。「おばんざい小鉢」シリーズが好調に推移したが、収益性改善に取り組む日配総菜において不採算取引の解消により政策的に前年実績を下回ったことによる。なお、これまでデリカ事業部として運営してきた日配総菜の製造部門を独立させ、8月2日付で新会社「フジッコNEWデリカ」を設立した。

昆布製品は、佃煮は「ふじっ子煮」のテレビCMを全国放映したことなどにより堅調に推移したものの、塩こんぶは伸び悩み、69億3,500万円(参考前年比2.1%減)となった。

豆製品は、47億1,400万円(参考前年比11.0%減)となった。需要減の中で、煮豆の品目集約の影響や、水煮・蒸し豆が「競争が厳しい中、当社は価格競争を控えた」(福井正一社長)こともあり、前年実績を下回った。3月に関東工場新工場棟が竣工し、省人化、自動化による生産性の向上を進めるとともに、「おまめさん」のパッケージデザイン変更や一部商品の賞味期間延長などのリニューアルを実施した。

〈ヨーグルト製品は増収、豆製品は品目集約などで減収、「ダイズライス」育成図る〉
ヨーグルト製品は、36億2,500万円(参考前年比0.8%増)となった。「カスピ海ヨーグルト」と「大豆で作ったヨーグルト」のテレビCMを全国放映したことなどにより順調に推移したことや、通販チャネルのサプリメント「善玉菌のチカラ」が伸長した。

デザート製品は、「フルーツセラピー」の期間限定商品の投入などにより最需要期の夏期に拡販が進み、14億6,700万円(参考前年比3.6%増)となった。その他製品は11億2,900万円(参考前年比20.7%増)。

福井社長は、2021年春に発売した大豆を主原料にした米状の食品「ダイズライス」について、「売上は小さいが、購入してくれる人が増えてきた。これから口コミ、ネットなどで知られていけば、ファンが増えると考えている」とし、育成を図る。

なお、フジッコは10月22日、豆製品の売上高が予想を下回り、減価償却費の負担が重荷となっていることや、コロナ禍による需要減が長引き、特に7月以降で予想との乖離があったことなどから、通期業績予想において利益を下方修正した。

〈大豆油糧日報2021年11月1日付〉