スクイーズアウトという言葉を聞いたことがあるだろうか。直訳すれば、「締め出し」だ。通常M&A等の局面において出てくる言葉であるが、日本においては2005年に制度化され、使用できるようになった。今回は、そんなスクイーズアウトについて、どのようなものなのか、どのような手法があるのかということをみていきたい。

目次

  1. スクイーズアウトとは
    1. なぜスクイーズアウトが必要か
  2. 企業におけるスクイーズアウトの5つのメリット
    1. 1.株主総会にまつわる事務処理や手続きの削減
    2. 2.株主代表訴訟のリスク削減
    3. 3.相続による株主分散のリスクを減らす
    4. 4.連結納税制度が利用できる
    5. 5.M&Aの際の減額要因の排除
  3. スクイーズアウトのデメリット
  4. スクイーズアウト実施の際の注意点 
  5. スクイーズアウトの手法
    1. 特別支配株主の株式等売渡請求
    2. 株式併合
    3. 株式交換
    4. 株式公開買付
  6. スクイーズアウトの事例
  7. スクイーズアウトには注意点もあるため、専門家へ相談を
  8. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
スクイーズアウトとは?企業における4つのメリットとその具体的な進め方
(画像=Nuthawut/stock.adobe.com)

スクイーズアウトとは

スクイーズアウトとは、ある会社の株主を大株主のみとするため、強制的に少数株主に対して金銭等を交付し排除する(少数株主を締め出す)ことである。事業承継や完全子会社化を目的としたM&Aなどで活用される方法だ。スクイーズアウト(Squeeze out)は「押し出す・絞り出す」といった意味だが会社法において「キャッシュアウト」とも呼ばれている。

M&Aでは、少数株主の反対や連絡が取れないなどの事情でスムーズに進まないことも少なくない。しかしスクイーズアウトは、強制的に株式を買い取る制度のためM&Aが進めやすいのが大きなメリットだ。またスクイーズアウトを実施する際の少数株主からの株式買取価格は、会社側が決定権を持つ。

そのため時価や1株あたりの純資産価格よりも低い価格で買い取ることも可能とされている。スクイーズアウトをするには、議決権の3分の2以上の所有が必要だ。しかし2015年5月施行の改正会社法によって可能となった「特別支配株主の株式等売渡請求」では、議決権が90%以上なければならない。

スクイーズアウトにもいくつかの手法があるが、このように企業の状況によって選択できる手法が異なる場合がある。

なぜスクイーズアウトが必要か

スクイーズアウトによって、少数株主を排除することが必要とされるのは、次のような事情がある。

企業の運営上の理由で、多数派株主のみが株を保有する状態にしたい場合だ。具体的には、上場会社が上場を廃止し、上場維持のためのコストを削減したい場合や、M&A後に、経営に関与する者が株式を買い取って経営権を取得し、企業価値向上を目指して円滑に会社を運営したい場合などが相当する。

株式の譲渡について、それぞれの株主に同意を得なければならないが、あまりに少数株主が多いと、個別に同意を取り付けることは困難だ。そのため、スクイーズアウトにより少数株主の意向に寄らず、強制的に株式を取得する。

そのほか、親会社と子会社の間の利益相反によって少数株主に不利益となるのをあらかじめ防ぐ目的で、少数株主を排除する場合もある。

企業におけるスクイーズアウトの5つのメリット

企業において、スクイーズアウトを行うメリットは以下の通りだ。特に中小企業にとってメリットが大きい。

1.株主総会にまつわる事務処理や手続きの削減

少数株主が多くいる会社の場合、毎年の株主総会の開催や招集通知の発送、配当金の決定、役員報酬の決定など多くのことに気をもんでいることだろう。スクイーズアウトを実施し、株主が1人になれば、それらの株主の合意により決めなければならないことや、会社法で求められる株主保護に関する手続きについては、大幅に省略できる。

2.株主代表訴訟のリスク削減

少数株主がいる場合、常に株主代表訴訟のリスクを考慮しなければならない。

株主代表訴訟とは、会社に代わって株主が会社の役員の経営責任を追及し、会社が持つ役員への債権(損害賠償請求等)を行使する訴訟のことだ。

株主代表訴訟は、株主が行使することのできる権利であるため、そもそも株主でない者には行使することができない。少数株主を排除してしまえば、自分以外に株主代表訴訟を提起できる者がいないくなるため、実質的に株主代表訴訟のリスクがなくなる。

3.相続による株主分散のリスクを減らす

少数株主をそのままにしておくと、相続により株主が分散するリスクがあるといわれている。

なかには連絡が取れない株主や面識のない株主が出てきて、対応に苦慮することになるリスクもある。さらに、将来的に会社を売却する場合も、少数株主の同意を得なければならず、少数株主の存在は足かせになることがある。少数株主への対応は、買収後の経営の足を引っ張られる可能性があるだけに、買収時には大きな減額要因になりかねない。

4.連結納税制度が利用できる

仮に会社の親会社が個人ではなく、法人である場合には、少数株主を排除し、100%の親子関係になっておくことに大きなメリットがある。というのも、連結納税制度を利用できるからだ。

連結納税制度は、連結グループを一つの単位として、連結グループに属するそれぞれの法人の所得金額と欠損金額を損益通算して連結所得金額を計算し、連結所得に対する法人税額を親法人がまとめて納税する制度である。

連結納税制度は、その連結グループが連結決算書を作成していた場合であっても、連結決算書の当期純利益は使用せず、あくまでも各会社の個別決算書の当期純利益をベースとして連結所得の金額を計算するものだ。連結納税の最大のメリットは、連結グループ内で損益通算して課税所得を計算する点にあるが、その他に繰越欠損金の繰越控除といったメリットもある。

5.M&Aの際の減額要因の排除

少数株主をそのままにしておくとM&Aを実行する際に買収価格が減額されるリスクがある。なぜなら仮に株式保有分がわずか1%分だけだった場合でも、「株主であること」には変わりないからだ。株式名簿の管理や株主総会の収集通知を出すなど株主対応の労力やコストが必要となり、少数株主が多くなるほどコストも増大する。

多くの場合は、少数株主に対する手間やコストを喜んで買い取る者はいない。これらの手間やコストがかかることを理由にM&Aの際の買収価格を下げることになるだろう。仮に少数株主が経営方針に敵対的で企業運営が阻害されるリスクがある場合ならなおさらだ。そのためM&Aを実現する前にスクイーズアウトを行い、強制的に少数株主を排除しておくことが重要である。

これにより買収価格の減額要因も回避することが期待できるだろう。

事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

THE OWNERでは、経営や事業承継・M&Aの相談も承っております。まずは経営の悩み相談からでも構いません。20万部突破の書籍『鬼速PDCA』のメソッドを持つZUUのコンサルタントが事業承継・M&Aも含めて、経営戦略設計のお手伝いをいたします。
M&Aも視野に入れることで経営戦略の幅も大きく広がります。まずはお気軽にお問い合わせください。

【経営相談にTHE OWNERが選ばれる理由】
・M&A相談だけでなく、資金調達や組織改善など、広く経営の相談だけでも可能!
・年間成約実績783件のギネス記録を持つ日本M&Aセンターの厳選担当者に会える!
・『鬼速PDCA』を用いて創業5年で上場を達成した経営戦略を知れる!

✉️経営、事業承継・M&Aの無料相談はこちらから

スクイーズアウトのデメリット

スクイーズアウトは、さまざまなメリットがあるため、企業にとって都合のよい制度と考える経営者もいるだろう。しかしスクイーズアウトには、デメリットもあることは押さえておきたい。デメリットの一つが対価の支払いだ。スクイーズアウトでは、保有株式数が1株に満たない端数の株主に対しても対価が生じる。

スクイーズアウトをする場合、例えば株式交換を選択すれば一般的に対価として買収会社の株式交付が必要だ。しかし端株の場合は株式交換できないため、対価として現金を支払うことになる。市場価格が存在しない未上場株式では、企業の資産価値によって株価(対価)の算定が行われる場合が多い。そのため資産価値が高い企業がスクイーズアウトをする場合は、株主に支払う対価が高額となる場合がある。

対価の額および少数株主全体の端株数によっては、総合的にスクイーズアウトすることが企業にとって大きな負担になる場合もあるのだ。スクイーズアウトをするときの対価は、企業側に決定権があり時価や1株あたり純資産よりも低い価格で買い取ることもできる。しかし著しく少数株主にとって不利な条件となると、少額株主からの訴訟リスクがあることも忘れてはいけない。

裁判に発展すると企業側には、大きなデメリットとなってしまう。スクイーズアウトは、一定の議決権を保有していないと実行できない点もデメリットの一つだ。そもそもスクイーズアウトは、大株主が少数株主から株式を買い取る制度のため、規定の株式保有数を満たすことが必要である。そのため誰でも必ず実行できるものではない。

少額株主からの訴訟リスクについては前述したが企業経営者にとって都合の良い制度というだけでなく少数株主の権利が保護された仕組みとなっていることも理解しておきたい。

スクイーズアウト実施の際の注意点 

スクイーズアウトを実施する場合、規定された割合以上の議決権が必要になる点は前述したが、その他にも時間や資金も必要となる点も押さえておきたい。

・時間的な余裕が必要
スクイーズアウトをする際には、時間的な余裕を持って行うことが必要だ。スクイーズアウトにはいくつかの手法があり、それぞれに定められた手順に従い進めていくことになる。いずれの場合も株価(対価)の算定が必要になるため、第三者算定機関の決定および株価算定する時間が必要だ。また開示書面を作成したり取締役会・株主総会を開催したりする必要もあり手続きに時間がかかる。

さらに選択するスクイーズアウトの手法で、かかる時間が異なる点も押さえておきたい。最も迅速に実行できるとされている「特別支配株主の株式等売渡請求」でも、株式を取得できるまでに最低20日は必要である。長いものだと手続き完了までに2ヵ月程度を要するケースもあるため、スケジュール設定には注意が必要だ。

・資金が必要
少数株主への対価支払いで大きな負担がかかる可能性があることは、先述した通りだ。しかし対価の支払いができるほどの財務余力がなければスクイーズアウトを実行するのは難しい。株式取得にかかる必要資金の総額は、算定された対価および少数株主の割合によって異なるため、事前に万全な資金計画をしたうえでスクイーズアウトに臨まなければならない。

・特別決議を議決できる割合で株式を保有しておく
スクイーズアウトを行う前提としてスクイーズアウトの手法ごとに必要となる以下の割合の議決権を保有しておかなければならない。

  • 特別支配株主の株式等売渡請求:90%以上の議決権
  • その他の株式併合や株式交換、株式公開買付:株主総会特別決議を単独で可決できるための3分の2以上の議決権

そのためスクイーズアウトの実行を検討する段階で保有株式が総議決権数の3分の2を満たしていない場合は、まず要件を満たすまで株式を取得する事前準備が必要である。先にスクイーズアウトを実行するには時間と資金が必要であると説明したばかりだが、その事前準備として時間と資金がかかれば総じてどちらもさらなる余裕が必要だ。

これらの注意点を踏まえたうえで、スクイーズアウトの活用を検討するべきだろう。

スクイーズアウトの手法

スクイーズアウトを行う手法としては、多くの方法が考えられる。ここでは、具体的に特別支配株主の株式等売渡請求、株式併合、株式交換、株式公開買付をとりあげる。

特別支配株主の株式等売渡請求

・概要
これは、特別支配株主といわれる株主が少数株主の株を強制的に買い上げるという非常に強力な制度だ。特別支配株主の株式等売渡請求の制度は、2015年5月施行の改正会社法により新設された。ちなみに「特別支配株主」とは、90%以上の議決権を持つ株主のことである。

つまり90%以上の議決権を持つ株主は、当制度を利用し株主総会での決議を必要とせずに少数株主の株式を強制的に買い上げることが可能だ。他のスクイーズアウトの手法と比べても特別支配株主の株式等売渡請求は、迅速に進められる方法である。少数株主からの株式の買取では、話し合いが円満にまとまれば問題ない。

しかし場合によっては、譲渡することを拒否されたり法外な値段での買取を要求されたりすることもある。従来では「全部取得条項付種類株式」という制度を利用して少数株主から株式を強制的に買い取ることができた。しかしこの方法は、株主総会の特別決議が必要で手続きが煩雑である点がデメリットだった。

このデメリットを解消すべく創設されたのが、特別支配株主の株式等売渡請求という制度である。ただし多数株主が90%以上の議決権を持つ場合にのみ利用できる制度のため、それ以外の場合には別の方法を検討しなければならない。

・手続きの流れ
特別支配株主による株式等売渡請求の手続きの流れを紹介していく。

(1)対象会社へ通知する
株式等売渡請求を行う場合、特別支配株主は対象会社に株式売渡請求の通知をしなければならない。通知する項目は、株式等売渡請求を使用とする旨、株式の取得日、買取価格または算定方法、買取に際しての金銭の割り当てに関する事項などがある。そのため通知をする前にこれらの事項を決めておくことが必要だ。

(2)対象会社による承認・通知
通知を受けた対象会社は、特別支配株主による株式等売渡請求について承認するかどうかの判断が必要となる。対象会社が取締役会設置会社である場合は取締役会の決議、取締役会設置会社でない場合は取締役会の過半数をもっての決定が必要だ。承認可否が決定した場合、その内容について対象会社は特別支配株主に通知する。

(3)対象会社から売渡株主等への通知・公告
対象会社が株式等売渡請求を承認した場合、対象会社は売渡株主等(少数株主)に対して、株式の取得日の20日前までに、特別支配株主から売渡請求が必要だ。会社の承認およびその条件等を通知することで成立する。なお売渡株主以外(売渡新株予約権者など)には、通知ではなく公告で行っても問題ない。

株式併合

・概要
特別支配株主の株式等売渡請求の制度は、90%以上の持株割合が必要なため、使い勝手が悪いケースが多い。例えば多数株主の株式保有割合が66.7%(3分の2)以上90%未満の場合、多くは株式併合のスキームが利用される。株式併合とは、発行されている株式の数を減らすために複数の株式を1株にまとめる方法だ。

株式数が減ることで端株(はかぶ)主が増えることになる。例えば最大の少数株主が所有している株主を仮に100株とした場合、200株を1株に併合する株式併合を想定してみよう。これによりすべての少数株主の保有する株式は端株となる。あえて端株主を増やしその端株を買い取ることでスクイーズアウトを実行する手法だ。

株式併合は、特別支配株主の株式等売渡請求の制度よりも要求される持株比率が低いため、承認手続きの手間は多くなる。

・手続きの流れ
株式併合の手続きの流れは、以下の通りだ。

(1)株主総会招集のための取締役会の決議
株式併合を行うためには、株主総会で株式併合に関する決議が必要となる。そのため、まずは取締役会で株主総会に招集する旨の決議を取ることが必要だ。

(2)書面等の事前備え置き
取締役会の決議の時期に対象会社は、事前に株式併合をする旨の事前開示書面を作成し対象会社の本社に備え置く。備え置く期間は、株主総会の日の2週間前または株主に通知した日のどちらか早い日から株式併合の効力発生日後6ヵ月を経過するまでとなる。

(3)株主総会で株式併合に関する決議
株主総会には、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権3分の2以上の賛成をもって株式併合を特別決議する。

(4)株主に対する通知・公告・事後開示
対象会社は、株式併合の効力発生日の2週間前までに決定内容を通知または公告を行う。また株式併合の効力発生日後6ヵ月を経過するまで株式併合に関する事項を記載した書面を本社に備え置くことも必要だ。

(5)効力発生・端株処理
株式併合の効力が発生すれば複数の株式を併合し、少数株主が保有する株式を端株にする。対象会社は、少数株主から端株となった株式を取得し対価の支払いを行う。

株式交換

・概要
通常の株式交換は、株式を対価として行う。株式交換では、完全子会社の株式すべてを完全親会社が取得し、完全親会社の株式を完全子会社に交付するのが一般的だ。これにより子会社の少数株主に完全親会社の株式を所定の交換率で交付することになる。例えばグループ内の再編などで100%の親子関係を構築したい場合に行われることが多い手法だ。

株式交換で少数株主を子会社の株主から排除することはできるため、親会社は子会社の元少数株主に悩まされず子会社の経営に取り組める。株式交換の交換対価は、株式に限らず現金を対価にして株主交換を行うことも可能だ。現金を対価にすれば実質的に株式を買収したことと同様であり当該子会社の少数株主を企業グループから完全に除外することができる。

ただし株式交換は、株主総会の特別決議が必要であり、対象会社の3分の2以上の議決権となる株式を保有している場合に用いることができる手法だ。例えば親会社Xが子会社Yの対立する少数株主をスクイーズアウトさせたい場合を想定してみよう。Y社の発行済み全株式をX社に譲渡させ、株式譲渡の代わりに現金を対価として付与することでスクイーズアウトが可能になる。

・手続きの流れ
ここでは、現金を対価として付与する株式交換の手続きの流れを紹介する。

(1) 取締役会決議・株式交換契約の締結
株式交換を行う際にも株主総会での特別決議が必要だ。まずは完全親会社となる買い手・完全子会社となる売り手の双方で、取締役会の決議を取る必要がある。両者で決議されれば、株式交換契約を締結する。

(2) 株主および債権者への対応・書面等の事前備え置き
株式交換契約締結後、両者ともに事前備え置きのための書類作成、株主および債権者への説明・対応が必要だ。原則債権者の権利を保護するための手続きは不要だが売り手企業の新株予約権付社債が買い手企業に承継される場合など債権者保護手続きが必要なケースもある。

株主に対しては、株主総会への収集、株主総会での特別決議、株式買取請求への対応(株主交換に反対する株主の場合)などを行う。事前開示書面は、両者ともに株主総会の日の2週間前または株主に通知した日のどちらか早い日から、株式交換の効力発生日後6ヵ月を経過するまで本社に据え置くことが必要だ。

(3) 効力発生・登記
株式交換効力が発生すれば、完全親会社は完全子会社が発行する全株式を取得し、完全子会社の株主に対価を支払う。効力発生日から2週間以内に株式交換にかかる変更登記を行う。

(4) 書面等の事後備え置き
株式交換の効力発生日後6ヵ月を経過するまで両者の本社に株式交換に関する事項を記載した書面を備え置く。

株式公開買付

・概要
上記のいずれの手続きを取る場合も少なくとも総株式の3分の2以上の株式を保有している必要だが、そこまでの株式数を保有していない場合も多い。その場合に3分の2以上の株式を確保するためによく行われるのが株式公開買付(TOB)である。ここでは、株式公開買付の手続きの流れについて解説していく。

・手続きの流れ

(1) 株式公開買付開始公告
株式公開買付は、発行済み株式を不特定かつ多数の株主に対して証券取引所を通さずに買い集める手段のことだ。株式公開買付を行う者は、対象となる株式の種類や買付目的、買付価格、算定方法、買付株数、買付期間等を記載した「公開買付説明書」を作成および公開し、保有株式を売却してくれる株主を募る。

公開買付開始公告は、新聞や金融庁が運営するEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)などで行う。

(2) 内閣総理大臣への公開買付届出書の提出
公開買付開始公告の「同日」に「公開買付届出書」を内閣総理大臣に提出し公開買付けが開始。内閣総理大臣に提出した後、公開買付届出書の写しを発行会社と証券取引所に送付する。なお公開買付開始公告と公開買付届出書の提出をもって公開買付期間および公開買付に同意する株主からの売却が開始されることになる。

(3) 意見表明報告書の提出
株式公開買付の対象となった会社は、公開買付開始公告が行われた日から10営業日以内に公開買付に同意するかしないか、公開買付の内容に対する意見・質問などを記載した「意見表明報告書」を内閣総理大臣に提出する。その写しを、公開買付者と証券取引所に送付する。

(4) 対質問回答報告書の提出
意見表明報告書にて質問が記載されている場合は、公開買付者は対質問回答報告書を5営業日以内に内閣総理大臣に提出しなければならない。その写しを株式公開買付の対象となった会社と証券取引所に送付する。

(5) 公開買付報告書の提出
公開買付者は、買付期日最終日の翌日に株式公開買付の結果について公表または公告する。公表または公告の内容等を記載した「公開買付報告書」を内閣総理大臣に提出し、その写しを株式公開買付の対象となった会社と証券取引所に送付。「公開買付報告書」の提出をもって公開買付手続きが完了となる。

スクイーズアウトの事例

スクイーズアウトは多くの事例が存在するが、最近では、LINEとZホールディングスの経営統合における事例が記憶に新しい。ソフトバンクと、LINEの親会社である韓国ネイバーによるLINE株のTOBに失敗した当事者が、経営統合の目的を達成するために行ったものである。

スクイーズアウトには注意点もあるため、専門家へ相談を

スクイーズアウトにあたっては、綿密な計画が必要である。株価の算定に多くの時間がかかるし、買収には多額の資金が必要になる場合が多い。また、スクイーズアウトに反対する株主からの訴訟リスクも考慮する必要がある。

スクイーズアウトには、手続きや進め方に専門的な知識が必要とされるため、専門家に相談しながら最適な方法を実行していくのがいいだろう。

事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

THE OWNERでは、経営や事業承継・M&Aの相談も承っております。まずは経営の悩み相談からでも構いません。20万部突破の書籍『鬼速PDCA』のメソッドを持つZUUのコンサルタントが事業承継・M&Aも含めて、経営戦略設計のお手伝いをいたします。
M&Aも視野に入れることで経営戦略の幅も大きく広がります。まずはお気軽にお問い合わせください。

【経営相談にTHE OWNERが選ばれる理由】
・M&A相談だけでなく、資金調達や組織改善など、広く経営の相談だけでも可能!
・年間成約実績783件のギネス記録を持つ日本M&Aセンターの厳選担当者に会える!
・『鬼速PDCA』を用いて創業5年で上場を達成した経営戦略を知れる!

✉️経営、事業承継・M&Aの無料相談はこちらから

無料会員登録はこちら