ダミアン・ハーストとは

ダミアン・ハースト
(画像=ダミアン・ハースト)

画像引用:https://www.fashion-headline.com/

ダミアン・ハースト(Damien Hirst)は、1965年イギリス・ブリストル出身の現代美術家、実業家、アートコレクター。「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)」と呼ばれる1990年代のイギリスで頭角を表した作家群の代表的な人物でもある。「生と死」を制作のテーマとし、死んだ動物をホルマリン漬けにしたシリーズが有名。1995年には、このシリーズの作品でターナー賞を受賞している。他にも蝶の死骸や生きたハエを使った作品など過激でセンセーショナルな作品を多く制作している。ハーストはビジネスとしてアート活動を行う芸術家としても知られており、世界で最も稼ぐ存命の現代アーティストとも言われている。

2015年には自身の約3,000点のアートコレクションを公開する「ニューポート・ストリート・ギャラリー」を開設した。

スポット・ペインティングの意味

スポット・ペインティング
(画像=スポット・ペインティング)

画像引用:https://damienhirst.com/

ダミアン・ハーストはホルマリン漬けの作品や、インスタレーション作品が有名だが、幾つかあるペインティングシリーズの中でも特に人気なのが「スポット・ペインティング」だ。このドットは覚醒剤の錠剤をイメージしたものとされていて、各ドットは全て違う色でペイントされている。

このシリーズの中で最も有名なのは、四角い白地のキャンバスに等間隔で同じ大きさのドットが描かれている作品だが、中には日の丸のように中央の丸が一つだけ描かれているもの、アルファベットや数字が記載されているもの、ドットの大きさがバラバラなもの、円形のキャンバスに描かれているものなど様々なタイプの作品がある。

ハーストは1986年から1989年までゴールドスミス・カレッジにてファインアートを学び、在学中の1986年、最初の「スポット・ペインティング」シリーズの制作を開始した。このシリーズ作品のように、彼は医療品や薬をテーマに作品を制作することが多く、1992年に制作した薬局を模したインスタレーション作品の《Pharmacy》や、医療用メスを使った作品などがある。ハーストが医療用器具や薬品を作品に使用するのは、「死」という宿命に争う人間の欲望を表していると言われている。

スポット・ペインティングがバラバラに!?

《88 Spots》
(画像=《88 Spots》)

出典:https://severedspots.com/

2020年4月にブルックリンをベースに活動するアートコレクティブ「MSCHF」が「Severed Spots」というプロジェクトを立ち上げた。ダミアン・ハーストの代表作であるスポット・ペインティングシリーズのエディションプリント作品《L-Isoleucine T-Butyl Ester》(2018)を3万485ドルで購入し、そのドットひとつひとつを正方形状に88個切り離して、MSCHFの作品《88 Spots》(2020)として1個480ドルで販売するというもの。CNNの記事によると、この作品は38秒で完売したという。

さらに、ドットを切り抜き88個の正方形の穴が空いた白い紙もまた、MSCHFの作品《88 Holes》(2020)としてオークションにかけられ、26万1400ドルで落札された。

これにより、480ドル×88個+26万1400ドル=30万3,640ドルとなり、元の作品の値段である3万485ドルの約10倍もの総価格となった。

この、MSCHFによる作品の錬金術については法律的な観点から問題視されている声もあるが、ハーストは今のところこのプロジェクトについて何も言及していないという。

スポット・ペインティングがNFTになる

The Currency
(画像=The Currency)

画像引用:https://www.bloomberg.com/

ダミアン・ハーストの新しいプロジェクトとして、販売されたのが「The Currency」(通貨)。この作品は全て同じサイズと素材で似通ったスポット・ペインティングのデザインの作品が1万点制作された。無個性な1万点もの作品はまさに貨幣のようだ。

この作品はNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)となり、1つ2,000ドルで販売された。さらに購入から1年後、この作品の所有者は「NFTを物理的な作品と交換してNFTを破棄する」のか、「NFTを保持して物理的な作品を破棄する」のかを選択しなければならない。「物理的な作品」を所有するのか「デジタルの作品」を所有するのか、コレクター自身が判断を迫られるのだ。

アートの世界においてNFTが存在感をあらわし始めた昨今、そこにただデジタルアートを持ちかけるのではなく、新たな仕掛けを作り、アートとお金の既成概念について考えさせるのもハーストらしい。

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スポット・ペインティング
(画像=スポット・ペインティング)

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