コングロマリット経営を行う企業として今年4月に設立した絆ジャパンでは、山形県内で住宅着工棟数12年連続ナンバーワンのクリエイト礼文(山形県山形市)と業務提携し、7月から同社が開発したスマートユニテをベースとした住宅のフランチャイズシステム 「ユニテパートナーズシステム」の販売を開始した。工務店や不動産会社への営業販促支援・経営支援に強みを持つ絆ジャパンのネットワークを活かして、全国規模のフランチャイズチェーン化を加速させていく。
(2021年ビジネスチャンス10月号より)
3000棟から40プランを厳選
明確なコンセプトで他社と差別化
「クリエイト礼文は、山形で2009年から12年連続着工数がナンバーワン。ナンバーワンということは、お客様に選ばれ続けているということ。これほど長らく着工数1位を維持できる企業は全国的に見ても少ない。工務店・ 不動産会社の方たちにとって、土地と建物のセット販売だったり、お客様に選ばれる住宅を持てることは強みになるはず」
こう話すのは、工務店や不動産会社向けの経営支援を行う絆ジャパンの増田文彦社長。同社が7月からスタートさせたのが、山形県で住宅の建築・販売事業などを手がけるクリエイト礼文社の
新フランチャイズシステム、「ユニテパートナーズシステム」の販売事業だ。
クリエイト礼文は「ユニテハウス」のブランドで、これまで3000棟以上の完工実績を持ち、主に20 〜 30代の若者夫婦を中心に人気を博してきた。その上で同社では2019年から新型の規格住宅である「SMARTUNITE(以下:スマートユニテ」」の開発にも着手。ユニテハウスでも以前からフランチャイズ展開をしてきたが、今回の絆ジャパンとの業務提携を機に、「ユニテパートナーズシステム」として一斉に全国でフランチャイズ募集を行っていくという。
スマートユニテの特徴は、前述の3000棟以上の完工実績の中から人気のプランを厳選し、よりシンプルセレクト型の規格住宅にした点だ。「プランには顧客から強く要望があ ったものや、機能性や構造的に優れたエッセンスが凝縮されています。ターゲットとなる顧客年齢層は、20代から30代のいわゆるスマホ世代。感覚的に選択できることを重視したパッケージも相性が良い」(増田社長)
住宅のベースプランは40種類だが、それに加えて玄関の向きが東西南北で4パターン、屋根が3パターン、外壁が18パターン、内装が4パターンと選択できる。そのため顧客は全3万4560通りの中から自分の好みに合わせてオーダーができるため、規格住宅でありながらもしっかりと個性が現れる仕様となっている。また、20畳以上の広いリビングやストリップ階、庭と一体感を持てる大きな窓を採用するなど、デザイン性と空間を広くする工夫をし、快適性が高い点も人気の理由だ。ツーバイフォー(2×4)工法で間仕切りを設け、可変性が高くライフスタイルの変化にも対応しやすい。
「ゼロから家を建てるのは大変な工程が発生します。その点、スマートユニテは手間を省きつつもオリジナリティを発揮できるので、顧客満足度が高い。また1500万円以下とローコストだが、快適性を追求し、ただの安い住宅住宅ではありません。賃貸住宅の家賃と同じ予算で、広さ2倍の家に住むことも夢ではないのです」(増田社長)
営業期間を1カ月半短縮
資金回収も早く、安定経営が可能
スマートユニテを扱う強みは、顧客だけでなく、販売する加盟店にとっても十分な理由がある。その1つが営業・施工期間の短縮化だ。ゼロから建物を建築していく従来の注文住宅と比べて、ベースプランのあるスマートユニテは打合せ時間を1カ月半ほど短縮することができる。そして毎回異なる建物を建てるより1棟ごとの工事効率が上がり、ミスも減少して顧客満足度も向上する。
「通常の住宅よりも販売の回転数を上げることができ、結果的にその先の工事資金の回収も早めることができます。ユニテパートナーズシステムは、『先が見通せるビジネスをしませんか』という提案が可能となった」(増田社長)
加えて、住宅業界を襲う世界的な木材価格高騰「ウッドショック」の影響を抑えられるという。依然として木材が確保しづらい状況は続いているが、規格住宅は調達面でも利点を発揮 する。寸法が異なるものより、パッケージ化されたものを出荷する方がプレカット工場にとっても効率的であることから、その分コストダウンにも応じてもらいやすく、高騰する市場でこれまでと同様な調達にもつながる。増田社長は「ユニテパートーナーズシステムを業界全体が善循環をするためのきっかけとしたい。自社、協力業者、お様にとってWin-Win-Winの三方良しの考え方だ」と自信を見せる。
ユニテパートナーズシステムの販売価格は、550万円(現金一括時)となっているが、別途月額10万円の割賦販売も行っている。加盟金や保証金、研修費などは販売価格の中に含まれる。ロイヤリティは加盟後3カ月間は免除されるが、それ以降は月額20万円のか、1棟着工ごとに10万円の建物フィーが発生する。FC加盟には建設業の資格が必要なため、同社では不動産や建設、リフォーム会社の参入を想定している。同社はクリエイト礼文が展開する山形・宮城以外で基本的に加盟企業を募集していき、今後5年間で350店舗を出店。クリエイト礼文が既にチェーン展開している「ユニテハウス」ブランド店と合わせて400店を達成したのち、テレビCMなどでブランド力を高めていく考えだ。
「普通の人が、普通に働いて、普通に建てられて、20年後、30年後のライフスタイルの変化にも対応する人生の質を高める住宅こそが『QOL住宅』。 経済性と合理性を兼ね備えているこの商品を、今後の住宅業界のスタンダードにしていきたいですね」(増田社長)