〈価格訴求品にも注力、他社が出来ない商品とのセット納品を戦略に〉
豆腐・厚揚げ・油揚げ・業務用豆腐など大豆を主原料とした食品とおからパウダーの製造を行うやまみは、8月24日、2021年6月期決算説明会をオンラインで開き、山名清社長が今後の事業展開などについて説明した。
やまみの2021年6月期決算は、売上高は前年比7.7%増の127億9,800万円、営業利益は102%増の7億3,200万円の増収増益だった。売上高は、富士山麓工場の稼働に加え、大量生産が可能な同社のシェアが拡大したこと、内食需要の高まりにより増収となった。利益面は、差別化商品・高付加価値商品中心の販売戦略により収益性が改善し、大幅に増加したとする。
拠点別の売上高については、本社工場72億700万円、関西工場47億7,000万円、富士山麓工場8億1,900万円だった。「本社工場圏は当社のシェアが高く、商品のブラッシュアップなどで徐々に伸びていくだろう。関西工場は、稼働と地域シェアの部分がまだダントツではなく、まだまだ伸びしろがある。富士山麓工場については、やっと大手の引き合いが出てきており、10月頃から新規で確定したところもある。償却額も減ってきており、売上が発生していけば急速に改善するのではないか」とし、いずれの拠点もまだ伸長できるとの見方を示した。
商品別の動向は、カット3Pや充填豆腐など、顧客ニーズに対応し、富士山麓工場に生産ラインを設置した商品群を中心に伸長した。一方、焼豆腐(前年比1.0%増)、厚揚げ(1.4%増)は伸び率が低かったが、「東京エリアでも焼豆腐、厚揚げの採用がこの秋から決まっている。今後プラスになるのではないか」との見方を示した。また、カテゴリー別においては、「価格訴求品の部分を中心に取り組み、セットで他社が出来ない付加価値商品を納品させて頂くことを戦略としている。価格戦略品についても、競合が少ない本社エリアでは単価是正をかなり行っている」と述べた。
今後の事業展開については、原料高騰など懸念もあるが、利益改善、低採算商品の是正、商品ブラッシュアップによる価格アップにも取り組めているとし、加えて「当社シェアが高まると共に交渉力も上がっていく」と述べた。
そのほか、広島ガスと取り組む省エネルギー事業などESG、SDGsに対する取り組みも強化するとした。
〈原料高騰影響、山名社長「トップシェアの本社圏は値上げの話が出来る環境」〉
中計の見直しも実施した。初年度の今期の売上高は2.8%増の131億6,000万円、営業利益は36.5%増の10億円を計画している。これに対し、「コロナ禍の状況は読めない部分もあり、保守的な計画となっている。償却が減り、売上ものってくれば運送費、人件費の改善に結びついてくる。保守的に見ても達成出来るのではないか」との見方を示した。中計最終年度の24年6月期の売上高は150億4,000万円、営業利益は18億円を計画する。「昨今は中計を下方修正してきたが、大規模投資も一巡し、本社・関西工場は最新機械に入れ替わっており、売上を上げることが大きく利益に寄与していく。来年、再来年へのステップアップは順調に行くと思う」と述べた。
今期重点商品も紹介し、低温熟成でおいしくブラッシュアップした小分け3P、ふりかけるだけで使える乾燥きざみ揚げを新発売するとした。「苦戦傾向にあるおからパウダーをきざみ揚げとセットに巻き返したい。おからパウダーは、12月頃に機能性軸の商品なども出す予定だ。乾燥きざみ揚げは、ドラックストアへの拡販、東北、北海道、沖縄などまだ当社商品が届いていないエリアに導入する材料にもなる」と、重点商品に期待を込めた。
最後の質疑応答では、大豆価格など原料高騰の影響について、「大豆価格高騰の影響は、今年度から来年度にかけて出てくるだろう。大豆油も倍の価格となっている。原油価格の上昇も響いてくる。前期よりも原材料トータルで5%程度負担が増えるだろう。値上げについては、中・四国は、当社がトップシェアなため値上げの話を聞いてもらえる環境にある」と答えた。
〈大豆油糧日報2021年8月26日付〉