矢野経済研究所
(画像=Jonas Glaubitz/stock.adobe.com)

旧来型のレジャー産業は新たなサービス形態の開発によって、コロナ禍で変容した生活様式への対応が求められる

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のレジャー関連産業を調査し、2020年のレジャー関連市場の動向を幅広くまとめた。

1.調査結果概要

本調査では、旅行市場から外食市場までの85市場の調査を実施した。一般的にレジャー産業といってもその対象は非常に幅広く、捉え方によっては世の中の全てがレジャーに関連すると言っても過言ではない。本年も国内のレジャー関連産業の動向を取りまとめた。

レジャー関連市場にはゴルフ、スキーと言った比較的歴史の長い旧来型のレジャーだけでなく、ストリートバスケットやビーチバレーと言ったニュースポーツまで含まれているが、前者のような旧来からのレジャーにおいては参加人口や市場規模が年々縮小するなか、新たなサービス形態の開発、新たなターゲット層の取込みを狙うことによって、市場全体での活性化を模索する動きが目立っている。

また、レジャー関連市場での新型コロナウイルスの影響は甚大であり、特に旅行市場への影響は深刻なものとなった。一方で、音楽配信や有料動画配信サービスなどのオンライン消費は好調で、ネット投票が定着した公営競技も売上を伸ばしている。他にも、密を避けやすい屋外レジャーの需要が高まり、キャンプや釣りなどが注目を集めている。新型コロナウイルスの影響が長期化し、生活様式が変容していく中で、求められるレジャーも変化してきている。

2.注目トピック

コロナ禍で深刻なダメージを受けた旅行市場、新たなツーリズムの開発が続く

コロナ禍によってレジャー関連市場の多くが甚大な打撃を受けたが、中でも旅行市場への影響は深刻なものとなった。各国の渡航・入国制限により、拡大を続けてきたインバウンド(訪日外国人客)は消失し、外出や移動の制限、自粛によって国内旅行の需要も急減した。

このような状況を受け、旅行業界ではコロナ禍を機に変容した社会や生活様式に対応した商品・サービスを開発しながら、回復に努めている。近年、グリーンツーリズムやエコツーリズム、スポーツツーリズム、産業観光、教育観光、医療ツーリズムなど、新たな旅行の形態であるニューツーリズムが注目を集めるようになってきた。ニューツーリズムとは、いわゆる観光地を巡る従来のタイプの旅行ではなく、あるテーマ性を持って行う、または展開・提供される旅行の概念で、体験型、交流型、または実益型などの新しい形態の旅行である。上述したとおり範囲は多岐にわたり、年々新たなテーマ性を持ったニューツーリズムが開発されている。

コロナ禍を機に注目を集めたツーリズムとしては、マイクロツーリズムが挙げられる。地域内居住者を対象とし、旅行者が自家用車などで移動しやすいエリアへの旅行を促進するもので、自治体の助成金等も後押しした。また、旅行・観光の疑似体験を提供するオンライン旅行も取り組む事業者が増加している。ただし、オンライン旅行は収益化には苦慮しており、プロモーションの一環として割り切って実施している事業者も見受けられる。また、他業界からの参入も相次ぎ、内容の差別化も求められている。そのほかにも、コロナ禍を機にリモートワークという働き方が拡大したことに伴い、“快適に仕事ができる空間” へのニーズが増加していることから、ワーケーションプランやテレワークプランを造成する宿泊施設も増加した。不動産会社やカラオケ店等、他業界でもテレワーカー向けに空きスペースを提供する企業が増加している。2020年4月以降の全国的な活動自粛から僅か数ヶ月間で様々なニューツーリズムが展開され続けていることは、日本の旅行・観光関連事業者のこれまでの経験値の蓄積の大きさを示している。同時に、その経験がアフターコロナでの再成長を実現する大きな原動力となるであろう。

調査要綱

1.調査期間: 2021年1月~4月
2.調査対象: 国内のレジャー関連産業、運営事業者
3.調査方法: 文献調査ならびに当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)
<レジャー関連市場とは>
本調査では、以下のレジャー関連市場を対象とした。

旅行市場(旅行業者、旅行サイト)旅客輸送市場(航空、鉄道、高速バス、観光・貸切バス、クルーズ、フェリー・旅客航路、レンタカー)、宿泊施設(ホテル・旅館、会員制リゾートクラブ、その他の宿泊施設[公営宿泊施設、民宿・ペンション、ユースホステル、カプセルホテル・ゲストハウス、民泊]、テーマパーク・遊園地、その他のレジャーパーク(ウォーターパーク、ファームパーク・観光農園、フラワーパーク・植物園、インドアプレイグラウンド)、ミュージアム(博物館・美術館・ミュージアム、動物園・水族館、フードテーマパーク)、温浴施設、スポーツ観戦・スポーツイベント、博覧会・文化イベント、家庭用・コンシューマゲーム、アミューズメント施設・業務用ゲーム、パチンコ市場、カラオケ市場、公営ギャンブル市場(中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじ[toto])、ゴルフ場、スキー場、フィットネスクラブ・スポーツクラブ、その他のスポーツ施設(ボウリング場、テニスクラブ、フットサルコート、ビリヤード場、バッティングセンター、クライミングジム)、スポーツ用品市場(ゴルフ用品、スキー・スノーボード用品、テニス用品、野球・ソフトボール用品、サッカー・フットサル用品、アスレチックウエア、スポーツシューズ)、アウトドアスポーツ市場(登山・トレッキング、トレイルランニング、オートキャンプ場、ウォーキング、カヌー・カヤック、アドベンチャーパーク)、マリンスポーツ市場(ヨット・モーターボート、サーフィン・ウインドサーフィン、水上オートバイ、スキューバダイビング・スキンダイビング)、釣り市場、モータースポーツ、スポーツ自転車、ランニング、その他のスポーツ市場(ダンス・バレエ、卓球、バドミントン、スケート、ヨガ、ダーツ、スカイスポーツ、ニュースポーツ)、映画市場 、劇場・ホール・興行、映像ソフト・配信市場、音楽ソフト・配信市場、放送市場、習い事教室市場、ガーデニング・家庭菜園市場、外食産業(ファストフード、ファミリーレストラン、その他)
<市場に含まれる商品・サービス>
同上

出典資料について

資料名2021 レジャー産業白書
発刊日2021年05月20日
体裁B5 959ページ
定価132,000円 (本体価格 120,000円)

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