(株)第一精工舎(大阪市、石田恭彦社長)は、籾殻を原料として製造した筆記具(鉛筆・ボールペン)を開発・製品化、このほど「もみがら製鉛筆・ボールペン」計480本を兵庫県神河町に寄贈した。
同社はこれまでも木材や紙など、廃材として処分されてしまう原料とプラスチックを「フリーブレンド製法」という独自技術で配合し、製品製造を手がけてきた。COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)禍では「殺菌作用のある銅とプラスチックを配合して、マスクケースやスーパーなどで使われる買い物カートの持ち手といった備品を開発した」という。
籾殻は年間180万t発生しており、うち40万tが廃棄されている。関西地方の単協やメーカーから籾殻の処理について相談を受け、今回の製品化に至った。筆記具には原料の70%に籾殻を使うことに成功し、「『廃棄されるものを再利用する』『プラスチックの使用量を減らす』という2つの観点から環境に貢献している」(同社)。寄贈先の神河町は但馬米の産地であることから、寄贈に加えて市内の小学校3校でSDGsをテーマに環境学習を企画。「籾殻の現状〜利活用による環境配慮の取組み・CO2削減量の見える化」等を題材に、生徒たちに「SDGsについて考えるきっかけ作りをした」。
担当者によると「食品だけでなく、そこから生まれる廃材の地産地消を進めていきたい。広島で牡蠣殻を再利用したプラスチック製品も開発している。米の主産地は籾殻の処理に課題を抱えているところが多く、そういった産地にある提携工場と製品化を進めていく」とする。今後も主に籾殻を使ったプラスチック「momiPlas(momigara×plastic)」で、給食トレーやプランターなどの学校備品を始め、生活用品などの製品化に取り組むとのことだ。
〈米麦日報2021年8月17日付〉