日本水産は8月6日、報道向けの食品事業説明会をオンラインで開催し、梅田浩二取締役常務執行役員食品事業執行らが食品事業の業績や概況などについて話した。
第1四半期(4〜6月)における食品事業の連結業績は、前年同期比で売上高9.3%増840億円、営業利益66.2%増51億円と増収増益となった。地域別内訳はいずれの地域も増収増益。連結調整前で日本が売上高18億円増569億円、営業利益6億円増24億円、北米が売上高24億円増206億円、営業利益10億円増17億円、アジアが売上高3億円増16億円、営業利益2億円増1億円、ヨーロッパが売上高21億円増126億円、営業利益3億円増9億円。欧米はワクチン接種の拡大に合わせ業務用食品も回復し大幅増収、営業利益も倍増となった。国内も人流が戻り業務用食品が回復基調で良いスタートを切った。
ニッスイ単体(国内)の業績は、常温・農産品が苦戦しているものの、業務用の復調もあり全体では順調に推移し、売上高は前年比6%増、収支も増益となった。
内訳は家庭用冷凍食品が売上高前年比100%、収支は減益、農産品の不調が響いた。家庭用加工食品は売上高11%増、収支も増益、内食増加によりかにフレーク等が引き続き好調だった。常温食品は売上高11%減で収支も減益、缶詰が前年特需の裏年に当たることが影響した。業務用食品は売上高14%増、収支も増益、CVS向けチキン加工品等の好調で大幅に復調傾向となった。また、チルド事業も売上高が3%増と復調してきた。
〈国内食品事業、家庭用冷食ではおにぎり・水産素材提案強化〉
今期の食品事業の方針は、「顧客価値の創造」と「社会課題の解決」のために「変化」にしなやかに対応しよう!としている。
第1四半期、家庭用冷食では惣菜(鶏から揚げ)が食卓おかずやスナックでの利用拡大で前年比12%増、お弁当カテゴリーが9%増と好調だった。一方、前年増の裏年にあたることもあり、おにぎりカテゴリーは前年割れ、えだ豆カテゴリーも2ケタ減で、素材農産カテゴリーが2ケタ増にもかかわらず、冷凍野菜合計では7%減、おにぎり以外のピラフ等米飯が15%減、たこ焼き等スナックが10%減となった。
第2四半期の取り組みとして、おにぎり利用シーン・利用層の拡大を目指し、8月に新商品「松屋監修 牛めしおにぎり」を全国発売し、男性ユーザー層の開拓を図る。また、「おにぎりアクション 2021」に協賛し、10月にSNSでの情報発信や消費者キャンペーンを予定する。「おにぎりアクション」とは、NPO法人TABLE FOR TWOによる活動で、日本の代表的な食である「おにぎり」の写真を投稿することで、協賛企業によりアジア・アフリカの子どもたちに給食を提供する取り組み。
さらに、家庭用売場における水産品の利用促進を図り、9月に新商品としてフライパン調理メニュー「SmartSeaCook 骨取り秋鮭と彩り野菜のクリーム煮」「SmartSeaCook 殻付きえびと彩り野菜のアヒージョ」の2品を発売。素材品の売場展開を強化する。
業務用食品では第1四半期、調理品ではNB(ナショナルブランド)新商品による増力、鶏・魚フライ・焼売カテゴリーの増力もあり好調。農産品はポテト・ブロッコリー・大根おろしの拡売による増力、学校給食・受託給食向け国産農産品の増力があった。
業態別では、量販惣菜や学校給食、老健施設などが堅調に推移しているという。
一方、達成できなかったこととして、調理品ではたこ焼き惣菜向け商品開発や、究み皮春巻・シーディッシュの増力、農産品では一昨年比70%となった枝豆の売上回復を挙げた。
第2四半期の取り組みとして、調理品では焼売を除く2021年度戦略商品(春巻・海からサラダ・フローズンチルド揚げ物)や、新商品の拡売などを、農産品では農産加工品発売による増力と、オランダAVIKO社製品のラインアップ拡充を図る。
〈冷食日報2021年8月11日付〉