一般財団法人 日本穀物検定協会は6月22日、一般の総会にあたる評議員会・理事会を、ともにWebで開催した(一部会場)。
改選期ではないが、新設した「専務理事」に塩川白良顧問(前農林水産省食料産業局長)を選任。穀検で「専務理事」が設けられるのは2006(平成18)年5月以来、15年ぶり。塩川専務は就任にあたり「3月から顧問を務め、色々なことを学ばせていただいた。これまで培った知識を活かし、穀検がますます成長していけるよう尽力していく」と挨拶した。
2020年度(令和2年度)事業報告・決算によると、一般の売上高にあたる事業収益は前年度比0.96億円、2.5%増の39.80億円で、2年連続の増収となった。
決算内容について伊藤健一理事長は「増収は本当にありがたいことだ。穀検の業務は現場での仕事が多いが、COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)禍でも農水省から『事業継続要請』が出ていた。感染防止対策を徹底し、安全・安心を第一に事業を進めてきた」と振り返った。
増収の要因は、前年度末に生じた輸入米麦本船の着港遅れによる残留農薬分析・外国産農産物検査の「期ズレ」や政府米のカビ毒分析の点数の増加に加え、農水省から「2020年度政府所有米穀の販売等業務に関する調査等委託事業」を受託したことを挙げた。
この事業を穀検が受託して2年目になるが、伊藤理事長は「昨年度は4,000万円だったのが今年度は8,000万円弱になった。3年目は農水省自身が行っていた『政府米販売等業務』の執行状況のチェック自体を全面的に第三者機関に委託するが、穀検が第三者機関を担うことになれば事業の柱になり得る」とした。
また、3月の会見でも明らかにしていた埼玉県吉川市での研究施設の新設については、「吉川市の区画整理事業に伴い売り出されていた土地の2次募集で手を挙げたが、惜しくも第2位で確保には至らなかった。現在3次募集を行っており、そこに申し込んだ。予想外の競争相手が1社おり、2次審査のプレゼンを控えている状況」とした。
新設予定の研究施設は敷地面積およそ7,000平方メートル、延床面積およそ5,000平方メートルで、将来的には3か所に分散している研究施設(千葉県市川市の中央研究所、東京分析センター、神戸分析センター)を集約し、業務の効率化を図る。
〈米麦日報2021年6月25日付〉