ケンコーマヨネーズは5月19日、決算説明会を開催した。謡田能孝経営企画本部本部長が2021年3月期決算概要と2022年3月期業績予想を説明後、炭井孝志代表取締役社長が新中期経営計画(2021-2023)を紹介した。
連結売上高は前年比8.0%減の685億200万円で、経常利益は前年比31.7%減の20億5000万円と減収減益。そのうち調味料・加工食品事業は前年比12.7%減の516億1100万円。総菜関連事業等は前年比12.7%増の160億5700万円。外食分野を中心に新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の各商材で販売が減少し、調味料・加工食品事業は減収減益となったが、総菜関連事業等は量販店における総菜類の需要が堅調で増収増益となった。
分野別売上高では、量販店が前年比4.8%増の191億9,500万円、コンビニエンスストアは前年比7.7%減の183億100万円、外食は前年比20.8%減の162億7700万円。構成比が変動し、前年が外食27.6%、CVS26.6%、量販店24.6%に対して、2021年は量販店28.0%、コンビニエンスストア26.7%、外食23.8%となった。
2022年3月期業績予想は売上高732億円、経常利益15億円、当期純利益は10億5000万円。調味料・加工食品事業は前年比7.1%増の552億9,100万円を見込む。7月からマヨネーズ類は価格改定を実施し、テークアウトやデリバリーなど新たな生活様式に対応した商品ラインアップを拡充、ドラッグストアなど更なる販路拡大に努め、サラダ・総菜類は同6.0%増、タマゴ加工品は5.2%増、マヨネーズ・ドレッシング類は10.3%増を目指す。一方、総菜関連事業等はコロナ禍で拡大する惣菜への需要を取り込み、前年比5.8%増の169億8,500万円を見込む。
〈新中期経営計画「KENKO Transformation Plan」策定〉
炭井孝志社長は「事業環境は激変している。この目まぐるしい変化に迅速に対応する企業体制が望まれる。今後取り組むべき様々な課題を解消するため、新中期経営計画として『KENKO Transformation Plan』を策定した。企業価値向上と持続的な成長に向けた変革をすすめる」と訴えた。
変革のために必要なテーマとして、〈1〉BtoBtoC〈2〉イノベーション〈3〉構造改革〈4〉グローバル――を解説、サステナビリティ方針を示した。2023年度の業績目標を連結売上高800億円、連結経常利益を40億円とした。
〈1〉BtoBtoCでは、「今後も業務用を中心にするのは変わらないが、コロナ禍で求められるニーズの変化を感じている。消費者ともっと近い存在になるため、消費者に当社を知っていただく機会を増やす」と意気込みを語った。WebやSNSを通じた情報発信を強化し、動画コンテンツの情報発信(レシピ、食育、工場見学)や商品を購入しやすい通販サイトの拡大、メニューサイトの充実に取り組む。
商品開発では、テークアウトやデリバリーなどコロナ禍への対応とともに、使い切りや個食形態など簡便性の追求、郷土料理や地域特産素材の活用を挙げた。また、一般消費者を対象に栄養をテーマにした料理教室やイベントを開催し、大学・研究機関と野菜・サラダの機能性研究にも取り組む意向も示した。
〈2〉イノベーションでは、「将来の地球環境を見据え、環境保全を意識した新しいチャレンジNew KENKOを創り出す」と語った。New KENKOとは、基盤事業の継続成長の上に、得意の事業領域を深堀りすることで社会に必要とされる将来を見据えた新事業の発掘・育成を意味する。賞味期限の延長や原材料のこだわり、製造工程の見える化、野菜を葉から根まで使用するアップサイクルの推進などの取り組みや、プラントベース商品の強化や次世代の惣菜、サラダ商品の開発を掲げた。
〈3〉構造改革では、「基盤事業の成長のため、分野別事業別戦略を26チームに細分化し、成長が見込まれる分野にきめ細かい対応をする。キッチンカーによるサラダ販売など、コロナ禍の食生活に対応した販売チャネルの拡大にも取り組む」と説明した。
〈4〉グローバルでは、「グローバル企業への布石を作る3年間とする。北米に販売拠点の設立を検討する。プラントベース、ビーガンなど世界の食トレンドを取り入れた商品開発に注力し、輸出対応商品のラインアップを拡大する。グローバル化に対応した人財育成も強化する」と語った。現在の販売先は世界46の国と地域だが、米国、カナダ、豪州、台湾、インドネシアへの販売を強化し、売上高目標は2020年の7億円に対して、2023年は11億円と設定した。
〈冷食日報2021年5月20日付〉