食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

ノースイの2020年度(2021年3月期)の冷凍食品事業は売上高が339億円、前年比5.2%減少した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外食・居酒屋など業務用が苦戦した。一方で家庭での食の機会が増加したことで、特に上期は市販用商品が大幅に売上げ貢献した。また老健・医療食も売上げが大幅に増加した。

冷凍食品事業のうち、農産事業部門の売上高は226億円で前年比2.7%減、加工食品事業部門は113億円で9.9%減で着地した。

農産品の主要品目のうち、ポテト(フレンチフライ)は前年比19.1%減と苦戦した。一部市販品での増加はあったが、業務用は外食向けが主要販売先のために大幅に減少した。

冷凍フルーツは前年比6.5%増と伸長した。フルーツも業務用は苦戦したが、市販用が大幅に伸長した。

シリーズ化して展開する「プチ・ベジ」「ミリ・ベジ」「オニオンズ」は老健、医療食を中心に販路を広げて売上げに貢献した。「プチ・ベジ」は1.5mm角にカットした、新しい冷凍野菜シリーズ。じゃがいも、キャベツ、さといも、白菜をそろえている。「ミリ・ベジ」はよりシルバー市場に特化した5mm角。「オニオンズ」はタマネギのカット済みシリーズになる。

〈海上輸送の遅れ、上期継続予想〉
2021年度について、ノースイは「まだまだコロナ禍にあり一昨年の数字以上になるかは不透明な環境」だとしている。

また課題として「ここに来て海外への出張や滞在が困難になっている」ことから、海外工場とのコミュニケーションや管理体制の維持構築に努めているとしている。具体的にはZoomを活用した監査・会議、空輸サンプルによる確認を行い、品質管理の徹底と安全・安心な商品作りを図っている。

冷凍倉庫の確保も重要課題に挙げている。国内で冷凍食品の取り扱いが増加傾向にあることが背景にある。

また目下の課題として、2021年度に入りコンテナ物流の停滞による商品の入荷遅れが顕著になりつつあることを挙げる。米国西海岸で港湾作業が追い付かず、船舶の滞留が生じている。国交省も国際海上コンテナ輸送の需給の逼迫状況の改善に向けて関係者に連携を呼び掛けているところだ。

ノースイとしては「船積を早めたりし対応しているが、上期いっぱいは解消にかかる」と予想している。

〈冷食日報2021年5月19日付〉