マルコメ「液みそ 料亭の味」
(画像=マルコメ「液みそ 料亭の味」)

新型コロナウイルスとの戦いが長期戦に入っている。2021年1月の緊急事態宣言で、外食産業はさらに落ち込み、業務用みその出荷も大幅に鈍化している。

家庭用は巣ごもり需要から好調だったが、その勢いも落ち着きつつあり、業務用の落ち込みを家庭用でカバーしきれないところも出てきている。市場では液状みそが好調だ。売り場スペースも拡大傾向で、若年層男性の購入が増えているという。中堅メーカーでは、コロナ禍初期で捕まえたトライアルユーザーをしっかりとリピーターへと成長させているところもあり、業績で明暗が分かれている。

〈みそ汁の手作り需要も鈍化、即席みそ汁はオフィス街のコンビニで売上減〉
食品需給研究センターがまとめたみその2020年の生産量は、前年比1.4%減の47万4,700t(前年比6,874t減)となった。全体的に前年を下回る月が多く、最需要期の11月、12月も前年を下回って推移した。

2020年度 味噌生産量の推移(食品需給研究センター調査)
(画像=2020年度 味噌生産量の推移(食品需給研究センター調査))

みその種類別では、米みそが前年比1.8%減の40万4,717t、麦みそが前年比5.9%増の1万6,466t、豆みそが前年比5.1%減の2万4,712t、調合みそが前年比3.1%増の2万8,805tとなった。

新型コロナウイルスの影響で、全国のみそ生産量は大幅ダウンとなったが、麦みそは5.0%増となり、ここ数年の減少傾向を食い止めた。

みそ市場では、2020年からのコロナ禍により、巣ごもり需要が高まり、みそ汁を手作りする家庭が増えたことで、みその出荷量も向上した。しかし、2021年に入ってからは、手作り需要も落ち着き始め、売上は前年並みで推移し始めた。

2020年度の即席みそ汁の売上は、前年を上回って推移したが、2021年に入ってからは、勢いも鈍化し、前年並みに近づいている。

新型コロナ以前、好調だったカップタイプの即席みそ汁は、テレワークが浸透し、社員が出社しないため、オフィス街のコンビニで売上が下がっている。その反面、内食需要の高まりにより、袋の大容量タイプは好調で、手作り疲れのある消費者が簡便性を求めて、需要が伸びているものと考えられる。フリーズドライみそ汁は単価が高いのにも関わらず好調で、単品、多食用ともに市場が拡大している模様だ。

業務用は、コロナ禍による外出自粛で、大幅に落ち込んでいる。昨年の外食産業は6月〜11月は回復基調も、12月の自粛要請、1月の緊急事態宣言で再び、減少傾向に入った。

日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によると、21年1月のファーストフード店は、前年並みをキープしているが、ファミリーレストランは大幅ダウンしており、さらに居酒屋などでは、7割近く前年を下回った。

こうした状況下でも、みそカテゴリーでは液状みそが好調だ。大手のマルコメやマルサンアイから発売されている商品が、売り場でも存在感を増してきている。目線の高さに、液状みそを並べている店が多く、手に取りやすいところに商品が配置されているケースが目立つ。

業績では、マルコメが好調。液みそ全体で、前年に比べ3割近く売上を伸ばしている。同社が行った調査によると、若年男性からの購入が増えており、液みそユーザーの3割強が2030代男性だったことを明らかにしている。

ひかり味噌では前年を上回って売上が推移した。新型コロナによる影響で、市場が疲弊している中でも、工場を増設するなど、強気の構えを見せている。同社では、一昨年度から「量から質への転換」を推進しており、こだわりのある商品を適正価格で販売することで、利益を得る体制づくりに力を入れている。

〈大豆油糧日報2021年4月19日付〉