矢野経済研究所
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2028年度の非破壊検査世界市場(装置・機器及び受託業務)は4 兆9,237 億円を予測

~コロナ禍のあおりを受けるが、底堅い需要が多いことで回復し成長見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、非破壊検査市場を調査し、装置・機器の世界及び日本市場、及び受託業務の世界及び日本市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

非破壊検査世界市場(装置・機器及び受託業務)推移と予測

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非破壊検査日本市場(装置・機器及び受託業務)推移と予測

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1.市場概況

2019年度の非破壊検査世界市場(装置・機器及び受託業務、事業者売上高ベース)を3兆1,273億円と推計した。そのうち装置・機器世界市場は9,661億円で、受託業務世界市場は2兆1,612億円である。
2020年度の装置・機器世界市場は8,225億円で前年度比85.1%、受託業務世界市場は2兆112億円と同93.1%になり、合計2兆8,337億円になると見込む。2020年度は、新型コロナウイルスによるパンデミックが主な原因となり、世界の装置・機器市場と受託業務市場共にマイナス成長となっている。世界中で移動・外出の制限がかけられ、行動様式の変容を伴うインパクトのある事象によって社会・経済活動に大きな変化をもたらしている。

2019年度の非破壊検査日本市場(装置・機器及び受託業務、事業者売上高ベース)は2,352億円と推計した。そのうち装置・機器日本市場は981億円で、受託業務日本市場は1,371億円である。2020年度は装置・機器日本市場が856億円で前年度比87.3%、受託業務日本市場は1,321億円と同96.4%になり、合計2,177億円になると見込む。日本国内においても、新型コロナウイルスの影響から受託業務市場及び装置・機器市場はマイナス成長となっている。受託業務市場では、分野によって状況が異なっており、業務量の激減に伴う検査業務の低減があり、また、装置・機器市場では購入中止や延期、また、消耗品も検査頻度の低減が主な要因である。

2.注目トピック

規制緩和で装置・機器日本市場は群雄割拠、新規製品やサービスが活発

2019年に、日本ではトンネルや橋梁等社会インフラを対象とした検査における法令の緩和があり、『近接目視』から『間接的な2次データ等の活用』による検査も許容されることになった。また、国土交通省が作成した「性能カタログ」によって、適合品以外の有力な検査機器における性能の評価情報が公開され、委託者や受託者による装置・機器選定を助けることとなった。これにより、規格化されていない技術やサービスの実績が増加し、それに伴い、新規の製品やサービスの研究・開発が活発になっている。

3.将来展望

2021年度以降は新型コロナワクチン接種や行動様式の変容が奏功し、感染拡大を抑制することで受託業務及び装置・機器の需要の回復を見込み、市場規模は増大傾向に転じる見通しである。その後、2028年度には、装置・機器世界市場は1兆7,718億円に、受託業務世界市場は3兆1,519億円となり、合計4兆9,237億円になると予測する。
受託業務においては、新興国ではインフラの普及が先行して行われ、その中心は土木・橋梁やガス・水道である。ここでは検査の重要度はそれほど高くないが、集中的な供用に伴い需要が高まる可能性はある。
先進国は日本以上にインフラの老朽化が進み、多くの地域で検査及び修繕が実施されている。海外の機器・装置メーカーがある欧州や米国においては、インフラを対象とした検査が積極的に行われているため、底堅い需要を生み出している。装置・機器市場は既存検査技術によるものだけでなく、新規の手法やシステムによるものも徐々に増加しているため、受託業務市場よりも高い成長率になる見込みである。また、委託せずに組織内にて実施する検査にも装置・機器が使用されていることも、この成長要因の一つとなっている。

なお、日本国内においても、2021年度以降市場は回復し、非破壊検査日本市場は2028年度に3,174億円になると予測する。
受託業務は、2021年度以降は、翌年度からは需要の一部が戻ってくることもあり、堅調な成長になると予測する。特に土木・橋梁と建築産業分野における成長が著しくなると予測しており、5年周期で実施される点検要領の更新やデジタル化/DXが、非破壊検査業務にて発生する事務作業を含め、作業効率の大幅な改善をもたらず。それにより、検査業務の効率化や受託単価の向上、受託件数の増加につながる見込みである。建築産業分野は土木・橋梁産業分野との親和性が高く、水平展開による業務効率の最大化を促進し、同様に成長し続けると予測する。いずれの産業分野も参入企業は多く淘汰や健全な価格競争が進むものの、それを上回る普及発展に伴い、市場が拡大する見通である。こうした流れを受け、2028年度の受託業務日本市場は1,851億円になると予測する。
装置・機器日本市場は、検査需要の継続的な発生や自主検査企業の積極的な投資によって市場は成長し続ける見込みであり、2028年度には1,323億円になると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年10月~2021年3月
2.調査対象: 非破壊検査装置・機器メーカー、非破壊検査受託企業、商社およびそれらに関わる外郭団体、研究機関等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談調査(オンライン含む)
<非破壊検査市場とは>
本調査における非破壊検査市場とは、非破壊検査装置・機器市場及び非破壊検査受託業務市場で構成され、事業者売上高ベースで算出した。装置・機器市場には、放射線透過試験(RT)や超音波探傷試験(UT)、磁粉探傷試験(MT)、浸透探傷試験(PT)、渦電流探傷試験(ET)等に使用される装置・機器に加え、これらの付属装置・機器及び消耗品が含まれる。また、受託業務市場は前述の装置・機器を使用した受託検査業務を対象としている。
但し、医薬や食品、農業分野で使用される非破壊検査装置・機器、およびそれらの分野の受託業務は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
非破壊検査装置・機器【放射線[X線]透過試験装置(熱源及びフィルム含む)や超音波探傷試験装置(プローブ含む)、磁粉探傷試験装置(磁粉探傷剤含む)、浸透探傷試験装置(浸透探傷剤含む)、渦電流探傷試験装置(プローブ含む)等】、前述の装置・機器を使用した受託検査業務。

出典資料について

資料名2021年版 非破壊検査市場の現状と将来展望
発刊日2021年03月29日
体裁A4 107ページ
定価165,000円 (本体価格 150,000円)

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