国分グループは4月20日、都内会議場で低温フレッシュデリカ「令和3年方針説明会」を開き、低温フレッシュデリカ関連の取引先メーカー幹部らが参集した。
まず、グループ全体方針や、第11次長期経営計画の内容などについて國分晃社長が説明。次いでグループ低温フレッシュデリカ統括部の方針について、山崎佳介取締役常務執行役員低温フレッシュデリカ統括部長が説明した。
2021年度の方針として、山崎常務は低温フレッシュデリカ統括部の4つの役割を掲げた。
1つ目は「統制統括」。販売と仕入をつなぐ情報をまとめて意志とし、方針を作り上げていく。2つ目は「機能強化」。低温フレッシュデリカ事業の独自機能(6つの機能=後述)を考え、磨き、強くする。3つ目は「事業創造」。国分グループで保持する機能や共創圏を活用し、新しい事業モデルを構築する。4つ目は「事業推進」。現在の事業モデルの展開や、成功モデルの共有を行う。
その上で低温フレッシュデリカ統括部のミッションは「機能強化と事業創造を推進し、社内外の共創パートナーと共に低温事業を国分グループの収益の柱に成長させていく」ことだと話した。
このミッション実行に向けた3つの戦略領域として、カテゴリー別では「低温」「フレッシュ・デリカ」の2つ、ルート別では「中食」と合計3つの分野を挙げ、それぞれ7〜8つ、計22の柱となる戦略を挙げた。
「低温事業」(チルド・冷凍・冷菓)のビジョンは、「国分ならではのNo.1カテゴリーを増やし、“モノ売りとコト売りの両輪”で低温事業を高収益ビジネスへと進化させる」ことだとする。その戦略の8つの柱として〈1〉規模拡大から利益確保への重点シフト〈2〉カテゴリー別戦略の実践〈3〉取組カテゴリーを明確にしたコンサルタント卸の実践〈4〉製造卸機能強化による高収益モデルの構築〈5〉デリシャス・クックの経営基盤再構築〈6〉品質管理から品質保証レベルへ進化〈7〉全国物流ネットワーク構築と拠点機能拡充による収益源の創出〈8〉時代の潮流と技術の研究、新たな価値を生み出す次世代リーダーの育成――を挙げた。
「フレッシュ事業」のビジョンは「生鮮業界に新たな文化と仕組みを投入し、前例踏襲型のビジネスモデルを刷新する」ことだとする。その戦略の7つの柱として〈1〉生鮮卸売事業の強化〈2〉流通加工事業の進化〈3〉国内外の原料・商品調達力の強化〈4〉加工領域における共創圏の構築〈5〉グループ販売部門との連携による卸売機能の強化〈6〉フレッシュ事業に対応したシステム・管理基盤の構築〈7〉生鮮業界の課題を解決するニュービジネスの展開――を挙げた。
「中食事業」のビジョンとして「国分の中食が『いいね!!』と言われる事業になる。〜『期待』から『信頼』へ〜」を掲げた。その戦略の7つの柱として〈1〉高付加価値商品研究開発〈2〉アウトパックベンダー共創圏の構築〈3〉得意先デリカプロセスセンターへの提案〈4〉フレッシュデリカへの挑戦〈5〉得意先物流センター受託からの商流拡大〈6〉全国の中食事業を推進する本部機能の充実〈7〉全国の中食担当者が連携するチームデリカの組成――を挙げた。
6つの機能を磨き上げ、販売組織は常温と低温の融合図る。そして、これら戦略を遂行するための6つの機能▽あつめる▽つくる▽はこぶ▽まもる▽まなぶ▽つなぐ――を磨いていく。昨年までは4つの機能としていたが、今年度から▽まなぶ▽つなぐ――の2つを加えた。
「あつめる」ではプロの雇用と外部企業との協業により、国内外から競争優位・付加価値のある原料・商品の発掘、調達を強化する。
「つくる」では、調達から製造・販売までを担い、製造卸機能を強化して「高付加価値」「高収益」商品を創る。
「はこぶ」では、全国の幹線物流ネットワークや営業倉庫、流通加工機能の構築により、調達力の強化と新たな収益源の創出を進める。
「まもる」では、品質管理分野における共創圏を築き、品質管理から進化させ、コト売り事業へと結びつける。
「まなぶ」では、時代の潮流を読み、価値を生み出す新たな技術を研究する。また、新たな価値を生み出す次世代リーダーを創出するための教育を行う。
「つなぐ」では、業界の枠を超えて新たなビジネスの点と点をつなぎ、仕組みを構築することで低温事業を支える基盤構築と収益化を行う。
その上で、低温フレッシュデリカ統括部の価値創造目標として「顧客満足度No.1」「共創圏の確立」「仕事における幸福度の向上」「コト売り比率の上昇」を挙げる。
この「顧客満足度No.1」達成に向けては、マーケティング・商品統括部と低温フレッシュデリカ統括部の連携を強化。低温フレッシュデリカ統括部を軸とした情報の浸透・共有を一層進める。
販売組織では、低温フレッシュデリカ統括部を軸とした常温と低温の融合の推進を図る。今年7月、国分フードクリエイトの東北・関信越・西日本における低温事業を国分東北・国分関信越・国分西日本に事業統合するとともに、中部では国分中部に事業譲渡し、各エリアでのフルライン体制を固める。
同時に、定期的に「全国低温戦略進捗会議」を開催し、販売情報の吸い上げ、戦略の進捗確認、PDCA管理や、カテゴリー戦略・販売戦略の落とし込みを行う。 また、各エリアカンパニーでも前述の6つの機能を強化し、成功事例を全国で横展開するなど、国分グループの販売力との融合を図る。
〈冷食日報2021年4月21日付〉