矢野経済研究所
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2019年度の医薬品・医療器材メーカー物流アウトソーシング市場は1,060億円

~卸物流、小口物流までを視野に入れたアライアンスなども焦点~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の医薬品・医療器材物流アウトソーシングビジネス、医療器材通信販売ビジネス、中古医療機器流通ビジネスなどを調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは医薬品・医療器材物流アウトソーシング市場について公表する。

医薬品・医療器材物流アウトソーシング市場規模推移

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1.市場概況

2019年度の国内医薬品・医療器材のメーカー物流アウトソーシング市場規模(受託企業売上高ベース)は、前年度比3.9%増の1,060億円となった。引き続き、医薬品・医療器材等の出荷量および物流関連企業等への委託率の増加、委託業務範囲の拡大などがあり、当該アウトソーシングサービスの市場は堅調な推移を示している。2010年度比での市場規模は1.6倍以上に伸びている。

2.注目トピック

医薬品分野ではGDPに基づく品質管理がポイント

1990年代から外資系製薬企業、外資系医療機器企業を中心に国内向けの物流アウトソーシングの需要が顕在化した。2000年代に入り、国内大手製薬企業などが本格的な物流アウトソージングを導入したことで注目され、その後、一般的なサービスとなってきた。かつて、国内の大手製薬企業等は、自ら物流センターを開設し、直接もしくは関連会社等を通じ、倉庫内管理、出荷業務などを行うことが多かったが、現在、包括的・総合的な物流管理を行える物流関連企業が増えており、製薬企業はこういった専門企業に外部委託することによる業務効率化、業務品質の向上に目を向けている。

さらに、2018年12月に厚生労働省から医薬品流通基準に関して、日本版GDP(Good Distribution Practice)ガイドラインが発出され、医薬品の物流業務についてもGDPに基づく品質管理が求められるようになっている。受託企業がGDP対応が可能かどうかは、外部委託先の選定等に関する重要なポイントとなってきている。

3.将来展望

医薬品・医療器材のメーカー物流業務アウトソーシングの観点では、業界内の外部委託比率は6割以上になっているとみられ、物流関連企業の新規開拓先は限定される方向にある。
ただし、医療分野は景気変動の影響を受けにくいこともあり、物流関連企業にとってその受託事業の安定性は魅力的である。受託企業が既存の当該事業を強化しているのに加え、新たにメディカル領域を対象とした倉庫を開設するなど、物流関連企業が新規参入を試みる事例は増加している。また、医薬品卸売等を主体とする企業による医薬品メーカー物流の支援サービスも存在しており、一方で医薬品卸売業と物流関連企業のアライアンス事例なども生まれており、引き続きメーカー物流から患者までの末端流通にいたるまでを一気通貫で捉える機運が高まっている。

さらに今後、オンライン診療、オンライン服薬指導などが本格化するに際しては、医薬品卸等でもカバーしきれない医薬品等の配送ニーズが生まれると見られ、小口物流ノウハウを有す専門企業等による新たなサービスが必要になるのではないかと考えられる。

調査要綱

1.調査期間: 2020年11月~2021年1月
2.調査対象: 物流関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接・オンライン面談ならびに電話・eメールによるヒアリング調査併用
<医薬品・医療器材物流アウトソーシングとは>
本調査における医薬品・医療器材物流アウトソーシングとは、医薬品メーカー・医療器材メーカーの製品出荷から卸業者向け納品に関する物流業務の代行サービスを指す。
<市場に含まれる商品・サービス>
医薬品・医療器材メーカーの物流管理代行サービス

出典資料について

資料名2021年版 医療関連マーケットの構造変革
発刊日2021年01月29日
体裁A4 257ページ
定価150,000円(税別)

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