矢野経済研究所
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国内のオーガニック加工食品市場は、2015年度から2019年度までのCAGR3.2%で成長見込

~背景にはオーガニック・自然食品専門店舗数の増加、一般食品スーパーでのオーガニック食品取り扱い拡大、さらにコロナ禍における巣ごもり需要・内食化進行が後押し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、国内のオーガニック食品(農産物、加工食品)の市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、オーガニック加工食品市場規模について、公表する。

オーガニック加工食品市場規模推移・予測

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1.市場概況

国内のオーガニック加工食品市場は、2015年度から2019年度までのCAGR(年平均成長率)が3.2%で成長を続けており、2019年度市場規模(小売金額ベース)を1,345億7,100万円と見込む。
2019年度については、年度末にみられたコロナ禍における巣ごもり需要・内食化の進行を受けた上乗せがあったことも市場拡大の要因のひとつとなったが、2017年度頃からオーガニック・自然食品専門店の店舗数が増加していることに加えて、一般のスーパーでもオーガニック食品(農産物・加工食品)の取り扱いが増えており、売場面積全体が拡大していることも寄与している。
また、ECでもオーガニック食品の売場は拡大しており、Amazonや楽天などの総合系ECプラットフォーマーにおいても、オーガニック食品の特設ページを設ける動きが出てきているほか、専用ECサイトを立ち上げる新規参入企業も継続的に出現している。

2.注目トピック

COVID-19の影響

COVID-19がオーガニック食品市場に与えた影響については、調達面と販売面にわけられ、大まかにいうと、調達面ではマイナスの影響が多く、販売面においてはプラス・マイナス両面の影響がそれぞれみられた。

調達面では、世界的なパンデミックの中でサプライチェーンが混乱した。日本で流通しているオーガニック加工食品は輸入物も多く、欧米ではロックダウンにより集荷・出荷作業が滞ったり、輸出元での巣ごもり消費増加から、日本への輸出で品薄・欠品になる影響がみられた。この状況は2020年3~5月頃まで見られ、7月頃には概ね平常通りに回復した。
一方、販売面では、家庭用のオーガニック加工商品は巣ごもり需要の増加を受けて概ねプラスの影響を受けたが、ホテル・レストランなどの外食産業が苦戦を強いられており、業務用の需要は減少している。

3.将来展望

オーガニック加工食品市場は、2020年度から2024年度までのCAGR(年平均成長率)が2.9%で拡大が続くと予測する。COVID-19によって開催延期となった東京オリンピック・パラリンピックが2021年に予定通りに開催されることを前提とした市場規模予測としている。

2020年度は緊急事態宣言の期間を中心に家庭用加工食品の特需が発生しており、オーガニック加工食品でも、保存性の高い乾麺や、パスタ、オリーブオイル、レトルト食品、トマト缶などの農産加工品、冷凍野菜などの需要が特に増加した。解除後も全体的な内食化の傾向が継続する中で、前年度実績を上回る推移が続いているという企業が多くみられている。2021年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されると仮定すると、2020年度末にかけて、開催を見据えた消費が伸び、2021年度はその流れを受けて、関連消費が市場を底上げする見通しである。

調査要綱

1.調査期間: 2020年8月~10月
2.調査対象: オーガニック加工食品関連市場に参入している食品製造業、商社・流通事業者、およびそれらを取り扱う小売事業者、中食・外食業者など
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、ならびに電話調査。また、小売・中食・外食事業者を対象とした電話アンケート調査併用
<オーガニック加工食品市場とは>
本調査におけるオーガニック加工食品とは、酒類、飲料、畜産加工品、農産加工品、麺類、調味料類、冷凍食品、その他加工食品(レトルトパウチ食品、菓子・デザート類、シリアル、サプリメントなど)等を含み、市場規模は小売金額ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
オーガニック加工食品:酒類、飲料、畜産加工品、農産加工品、麺類、調味料類、冷凍食品、その他加工食品(レトルトパウチ食品、菓子・デザート類、シリアル、サプリメントなど)等

出典資料について

資料名2020年版 オーガニック・ナチュラルフード市場の現状と将来展望
発刊日2020年10月23日
体裁A4 201ページ
定価150,000円(税別)

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