内部監査とは、組織が適切に運営されているかを調査することだ。内部監査はなぜ必要で、企業にはどんなメリットがあるのだろうか。この記事では、内部監査の定義、実施する時の流れ、注意点などを具体的に解説していく。

目次

  1. 内部監査とは
    1. 内部監査の定義
    2. 内部監査の実施体制
    3. 内部監査の指揮系統
  2. 内部監査人とは
    1. 内部監査人の役割
    2. 内部監査に向いている人
    3. 内部監査人の将来性
    4. 内部監査のための資格
  3. 内部監査を実施するメリットと注意点
    1. 内部監査を実施するメリット
    2. 内部監査を実施する時の注意点
  4. 内部監査の流れ
    1. 内部監査計画
    2. 予備調査
    3. 内部監査
    4. 分析・評価
    5. 報告
    6. 改善提案
  5. 内部監査が必要になる場面
    1. 上場会社(上場後)
    2. 大会社
  6. 内部監査と法定監査や外部監査の違い
    1. 内部監査と法定監査の違い
    2. 内部監査と外部監査の違い
    3. 内部監査と他の監査の関係
  7. 内部監査とコーポレートガバナンス・コードの関係
    1. 内部監査により適切な情報開示等を達成
    2. 内部監査に求められる独立性
  8. 内部監査の整備は専門家に
  9. 内部監査に関するQ&A
    1. Q.内部監査とは何をするの?
    2. Q.内部監査は誰がやるの?
    3. Q.内部監査に将来性はある?
    4. Q.内部監査の流れを教えてください
    5. Q.内部監査と監査役監査の違いを教えてください
    6. Q. 内部監査は専任の従業員が必要でしょうか。
取得条項付株式
(画像=vitalii-vodolazskyi/stock.adobe.com)

内部監査とは

内部監査とは、会社が設置する内部監査人や内部監査部門による社内の業務監査だ。会社の内部統制を機能させることで、社内における経営目標の達成や不祥事の防止を図る。

会社におけるいわゆる「三様監査」(内部監査、監査役監査、会計監査)の一つであり、中小企業の場合、その実施は任意であるが、大会社や上場企業にとっては不可欠な監査となっている。

内部監査の定義や実施方法を直接定めた法令はないが、関係機関からは内部監査の定義や内部監査人の役割などが示されている。

内部監査の定義

内部監査について直接定義した法令はないが、定義としてよく用いられているのは、一般社団法人日本内部監査協会による内部監査基準の内容だ。

内部監査とは、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、ガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールに関連する経営諸活動の遂行状況を、内部監査人としての規律遵守の態度をもって評価し、これに基づいて客観的意見を述べ、助言・勧告を行うアシュアランス業務、および特定の経営諸活動の支援を行うアドバイザリー業務である。

内部監査の目的はあくまで、組織の経営目標の達成だ。そのために、ガバナンスやリスク・マネジメントの観点から、業務の遂行状況や組織体制を調査・評価する。

たとえば「部門間で適切な情報連携がされているか」「法令に準拠した業務プロセスになっているか」「合理的で効率的な業務フローが整備されているか」「見落とされている業務上のリスクはないか」といった内容が想定される。

内部監査では、結果を踏まえて、改善に向けたアドバイスを実施することも多い。

(引用)一般社団法人日本内部監査協会:「内部監査基準

内部監査の実施体制

内部監査は一般的に、内部監査の専門部署を社内に設置し、内部監査規程を定めて実施する。部署の名称は、監査部、内部監査室、内部監査部門、内部統制室など会社によってさまざまである。人員は、有価証券報告書の情報やIR情報などから判明する限り、数名から100名近い規模の企業までさまざまである。自社と類似する事業規模、事業内容の企業を参考にするとよいだろう。

内部監査の指揮系統

内部監査部門の指揮系統としては、社長(CEO)の直轄部署としているケースが多く見受けられる。このことによって、監査対象となる各事業部門に対して、独立した立場からの内部監査が期待できる。その一方で、経営陣幹部による不正があった場合でも、内部監査を正しく機能させるための工夫も求められる。

このことについては、監査役等との情報交換などの連携が重要である。近年は、内部監査の結果報告を直属の経営者だけでなく取締役会や監査役等にも行うべきであるとする、デュアルレポーティングの考え方も重視されている。後述する「内部監査とコーポレートガバナンス・コードの関係」も参照していただきたい。

内部監査人とは

内部監査は、組織内で行われるため、内部監査を実施するのも従業員だ。この従業員を内部監査人と呼ぶ。

内部監査人の役割

内部監査人の役割は、次のように定められている。

“内部統制の目的をより効果的に達成するために、内部統制の基本的要素の一つであるモニタリングの一環として、内部統制の整備及び運用状況を検討、評価し、必要に応じて、その改善を促す職務を担っている。”

内部統制とは、業務の効率性や財務報告の信頼性、法令順守、資産保全という4つの目的を達成するための、全従業員が行う業務プロセスのことだ。モニタリングとは、内部統制が機能していることを継続的に評価するプロセスを指す。つまり内部監査人の役割は、内部統制が正しく機能するよう、継続的に調査や評価、提案することと言える。

(参考)金融庁:企業会計審議会「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)

内部監査に向いている人

・観察や分析が得意である人
内部監査では、監査対象の部署の業務を、資料やデータからチェックする作業が欠かせない。
経験のない部署の資料やデータを、客観的な視点でチェックし続けなければならないため、観察や分析が得意である人物が望ましい。

・法令と業務に対する理解度が高い人
内部監査に求められるものは、社内の小さなミスや不正を外部監査の網目にかかる前に発見し、それを早期に是正させることによって、将来の大きなミスや法令違反に発展させないことにある。
そのため、ミスや不正を軽微な段階から発見できる、法令と業務の両方に対する深い理解が求められる。

・コミュニケーション能力の高い人
内部監査をするのもされるのも、同じ従業員という立場の「人」である。
観察力や知識面も重要であるが、様々な立場の相手からその真意や反省の意を聞き取れる、コミュニケーション能力が高い人物がいなければうまく機能させることは難しい。

内部監査人の将来性

ビジネスリスクが多様化する昨今、内部統制に関する幅広い知見と、世間とズレのないコンプライアンス意識を有する内部監査人の育成は、企業の中長期的な成長において非常に重要である。また、内部監査部門の設置は会社の任意であるため、内部監査人としての経験を有する人材は希少であると考えられる。したがって、内部監査人としての経験は将来性の高いスキルであるといえる。

内部監査のための資格

内部監査人になるために決まった資格はないが、内部監査人としてのスキルアップが期待できる専門資格やカリキュラムがいくつかある。以下は、その一例として参考にしていただきたい。

・公認内部監査人(CIA)
内部監査や内部統制に関するIIA認定国際資格

・ISO内部監査員資格
ISOを認証取得している企業の内部監査担当のための資格

・内部監査士、情報システム監査専門内部監査士など
日本内部監査協会が主催する講習会を修了することで得られる称号

内部監査を実施するメリットと注意点

続いては、内部監査のメリットと注意点について解説する。

内部監査を実施するメリット

内部監査は、業務プロセスや経営上のリスクを客観的に把握する上で役に立つ。
多忙な経営者が業務プロセスを一つ一つ検証し、リスクを予測するのは現実的ではないが、内部監査体制整備し、内部監査人の報告や提案をもとに業務を改善することで、効率的に組織を成長、発展させられるだろう。

2006年に会社法が改正され、株主の利益を守る観点から、大企業では内部監査の実施が義務化された。中小企業の場合、内部監査を実施するかどうかはあくまで任意だ。しかし、リスク・マネジメント等の観点から、自主的に内部監査を実施する中小企業も少なくない。

内部監査を実施する時の注意点

内部監査を効果的に実施するには、優秀で信頼できる内部監査人を選ぶ必要がある。また、公平な判断を下すため、内部監査人は他の部署から独立した立場で業務にあたることが望ましい。

さらに、内部監査を実施したあとは、調査や評価、提案の内容をもとに、速やかに経営改善に生かすことが大切だ。内部監査を実施しても、それが改善につながらなければ意味がない。改善につながってこそ、内部監査人や従業員の信頼を獲得できる。

内部監査の流れ

内部監査をすることで、予想されるリスクに対処し、効率的な事業活動を行えるようになる。続いては、内部監査の一般的な流れを紹介していく。

内部監査計画

最初に内部監査計画を立てる。内部監査の対象とする業務範囲、内部監査の方法、考慮すべき点などを洗い出し、内部監査の実施期間を決める。

経営者の承認を得たら、各部署に内部監査の実施日等を連絡する。なお、不正が疑われる時は、事前連絡なしに内部監査を実施するなど柔軟な運用をすることも大切だ。

内部監査計画を立てるのとあわせて、内部監査マニュアルを整備しておくと、次回の内部監査でも役に立つ。内部監査の結果を踏まえて、マニュアルも少しずつ改善していくといいだろう。

予備調査

内部監査を始める前に、予備調査を実施することが一般的だ。予備調査では、各部署の業務内容を理解したり、資料の保管場所等を確認したりする。責任者との面談が必要な場合、面談のスケジュール調整も行う。なお、初めて内部監査を行う場合、予備調査をした上で内部監査計画を立てるのも1つだ。

内部監査

計画に基づき、実際に内部監査を実施する。予備調査に対して、本調査と呼ばれることもある。マニュアルの規定通りに運用されているか確認したり、整合性のないデータがないかチェックしたり、業務プロセスを評価したりする。必要に応じて、責任者との面談も行う。問題点が発見された場合、追加で調査を実施することもある。

分析・評価

内部監査が終了したら、調査結果をまとめる作業に入る。公平性や客観性を重視し、分析、評価を行う。分析や評価結果の証拠となる資料も提示できるよう整理しておく。

報告

分析や評価した内容を、経営者や経営幹部に報告する。具体的な経営改善につなげるには、経営者や経営幹部だけでなく、各部門や各部署の責任者にも報告することが望ましい。

改善提案

内部監査の目的は、組織の成長発展を支えることだ。目的を達成するためには、問題点を指摘するだけにとどまらず、改善提案まで行うことが大切だ。各部門や各部署の責任者とも相談しながら、具体的な改善策を出すことが望ましい。また、改善提案のあとは、実際に改善がなされたかどうかを確認することも重要だ。このように、問題点の把握と改善を積み重ねていくことで、組織は健全に成長することができるだろう。

内部監査が必要になる場面

将来的に上場を見据えているなら、内部監査はさらに重要な意味を持つ。上場審査の項目に「企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性」があるからだ。

「上場審査に関するガイドライン」によると、コーポレートガバナンスと内部管理体制に関する審査では、主に新規上場申請者の企業グループにおける内部監査体制や、その経営活動その他の事項に関する法令等を遵守できる体制などについて検討するとされている。

「新規上場ガイドブック」によると主な審査ポイントは以下のとおりだ。

  • 内部監査に関して公正かつ独立の立場から実施可能な体制が構築できているか
  • 内部監査の専門組織を有する場合は、その組織が特定の事業部門に属していないか
  • 専門組織でないときは、内部監査が自己監査にならないよう手当てしているか
  • 法令等を遵守する体制として、内部監査、監査役監査等の監査項目に経営活動に関する法規制等の項目が反映されているか

上記は審査項目のごく一部であるが、内部監査の体制や実施状況について細かくチェックを受けることがわかる。

(参考)日本取引所グループ:「上場審査等に関するガイドライン
(参考)日本取引所グループ:「新規上場ガイドブック

上場会社(上場後)

上場後は、自社の財務状況やリスク管理体制について投資家にわかりやすく発信しながら、日本の有価証券市場の信頼性の確保に取り組まなければならない。その取り組みの一つが、事業年度ごとに行う「有価証券報告書」や「内部統制報告書」の提出である。

「内部統制報告書」とは、会社の内部統制の運用報告であり、財務諸表などの適正性を投資家に判断してもらうための書類だ。財務諸表と同じく、公認会計士または監査法人の監査を受けてその証明を得たものを、金融庁を通じて内閣総理大臣に提出する。日本版SOX法と呼ばれる内部統制報告制度に関する定めである。

大会社

会社法では、取締役に委任できない取締役会の業務(取締役会非設置会社の場合は、2人以上の取締役のいる会社の業務)として、「業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」を掲げている。いわゆる「内部統制システム」の構築と運用を各社の取締役会等に求めるものであり、義務化されているのは取締役会設置会社である大会社だけだ。

ちなみに、上記の「業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制」の具体的な内容は、会社法施行規則によって定められている。その体制の一つに、「株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制」があり、これを内部監査の体制を整備する根拠として扱うのが一般的だ。

【大会社とは】
貸借対照表上の資本金の額が5億円以上の株式会社、または、負債の部の合計額が200億円以上の株式会社をいう。

内部監査と法定監査や外部監査の違い

内部監査と似た言葉に法定監査や外部監査がある。

内部監査と法定監査の違い

法定監査とは、法律によって義務付けられた監査のことだ。法定監査には、主に会社法における法定監査と、金融商品取引法における法定監査がある。

【会社法における法定監査】

会社法における法定監査には、下記の2つがある。

  • 監査役等による監査
  • 会計監査人による会計監査

監査役等(監査役、監査役会、監査等委員会、指名委員会設置会社の監査委員会)や会計監査人は、いずれも会社法上の会社の機関である。

この法定監査は、すべての会社において実施される監査ではない。監査役等や会計監査人は、会社の規模や公開・非公開の別によって設置義務が異なるからだ。たとえば、非公開会社であり、大会社以外の取締役会非設置会社(指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社を除く)にあたる会社であれば、監査役も会計監査人も設置しなくてよいことになっている。

ちなみに、内部監査人による内部監査や監査役等による監査、会計監査人による会計監査の3つを合わせて「三様監査」という。

【金融商品取引法における法定監査】

金融商品取引法における法定監査には、上場会社等の会計処理や内部統制の状況について、その会社と特別の利害関係のない公認会計士または監査法人が行う下記の監査がある。

  • 財務諸表監査
  • 内部統制監査

上場会社等が国に提出する財務諸表や内部統制報告書は、この法定監査によって証明を受けたものでなければならない。投資家の保護や市場の信頼性確保のために実施される監査である。

内部監査と外部監査の違い

内部監査とは、社内の従業員などで構成される内部監査部門によって行われる監査である。これに対し、外部監査は、社外の機関によって行われる監査を指す。一般的には、会計監査人における会社法の会計監査や金融商品取引法における監査が、外部監査に該当する。

なお、監査役による監査も取締役や従業員ではない人物による監査であるが、監査役はあくまでその会社の機関であるため、外部監査に分類しないことが一般的だ。

内部監査と他の監査の関係

多くの会社に関係する監査は、内部監査と会社法における法定監査、つまり、内部監査、監査役監査、会計監査の「三様監査」である。

監査役や会計監査人は法定監査機関であり、独立した立場で会社に対する監査を行うことが求められる。そのため、会社の指揮下において、従業員の業務上の不正防止などを目的に監査を行う内部監査人とは、その立場も求められる部分も異なるといえる。

しかし一方で、法定監査と内部監査には重複する部分もある。また、法定監査がその役割を果たすには、内部監査が正しく機能していることが大前提だ。一般社団法人日本内部監査協会や公益社団法人日本監査役協会では、内部監査と法定監査機関は、情報交換等を通じて連携することを推奨している。

(参考)一般社団法人日本内部監査協会:「内部監査基準
(参考)公益社団法人日本監査役協会:「監査役等と内部監査部門との連携について

内部監査とコーポレートガバナンス・コードの関係

コーポレートガバナンス・コードが求める内部監査についても確認しておこう。

コーポレートガバナンス・コードとは、会社の持続的な成長と企業価値の向上のために、ガバナンスのあり方を上場会社向けに示したものである。内容は5つの基本原則と、それを具体化した原則と補充原則で構成される。

内部監査により適切な情報開示等を達成

コーポレートガバナンス・コード基本原則3「適切な情報開示と透明性の確保」の原則3-2では、「外部会計監査人及び上場会社は、外部会計監査人が株主・投資家に対して責務を負っていることを認識し、適正な監査の確保に向けて適切な対応を行うべきである。」としている。

その補充原則で、取締役会と監査役会の行うべき対応として、「外部会計監査人と監査役(監査役会への出席を含む)、内部監査部門や社外取締役との十分な連携の確保」を掲げている。

また、基本原則4「取締役会等の責務」の原則4-13で示しているのは、取締役と監査役は、その責務を果たすため能動的に会社の情報を入手すべきこと、会社側は、それを支援する人員体制を整えるべきことだ。ここでも「上場会社は、内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべき」と記載されている。

このことから内部監査部門には、適切な情報開示や透明性の確保などについて、社内外の法定監査機関と連携することが求められているとわかるだろう。

ちなみに、コーポレートガバナンス・コードは上場会社であっても強制されるものではなく、実施しない場合はその理由を報告すればよい。

内部監査に求められる独立性

2015年に設置された「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は、2019年に「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」と題した意見書を公開した。

この意見書では、内部監査がCEOの指揮命令下にあるケースが大半である現状を踏まえ、「内部監査が一定の独立性をもって有効に機能するよう、独立社外取締役を含む取締役会や監査委員会、監査役会などに対しても直接報告が行われる仕組みの確立を促すことが重要」と示している。

上場審査にも、公正かつ独立の立場から内部監査を実施できる体制が構築できているかという審査ポイントがあったように、内部監査と独立性は切り離せない関係のようだ。

(参考)コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(4))

内部監査の整備は専門家に

内部監査を適正に行うには、内部監査部門の能力アップも不可欠である。専門家による研修をはじめ、公認内部監査人(CIA)や一般社団法人日本内部監査協会による内部監査士といった資格取得で、内部監査のレベルアップを図るのもよいだろう。不安があるようであれば、必要に応じて内部監査の体制を専門家に相談してみてほしい。

内部監査に関するQ&A

Q.内部監査とは何をするの?

内部監査とは、会社が任意に設置する内部監査部門によって実施される社内監査である。会社の内部統制を機能させることによって経営目標の達成や不祥事の防止を図ることが目的だ。監査役による監査、会計監査人による監査と合わせて「三様監査」と呼ばれる。

Q.内部監査は誰がやるの?

内部監査は、社内の内部監査部門に所属する従業員が、社内の他の部署に対して行う。内部監査部門はあくまで社内の組織であるため、経営者の配下として行うことに特徴があり、監査役や会計監査人による法定監査と区別される。

Q.内部監査に将来性はある?

コロナによるDX化、世間のコンプライアンスへの関心の向上、SNSの普及にともない、ビジネスリスクの範囲が急速に変化する昨今、内部監査の重要性は増している。また、内部監査がすべての企業に対して法的に義務付けられていないことから、内部監査人としての経験を有する人材は希少であり、将来性の高いスキルであるといえる。

Q.内部監査の流れを教えてください

内部監査は、(1)内部監査計画を立てる、(2)予備調査を行う、(3)内部監査を行う、(4)監査結果の分析・評価を行う、(5)監査結果の報告を行う、(6)改善策を提案する、の手順で行う。予備調査とは、実際の監査の前段階として、監査対象である部署の業務内容を理解したり、資料の保管場所等を確認したりするプロセスだ。

このような準備を入念に行うことによって漏れのない監査を実現できるだけでなく、監査対象に過度な負担を与えない配慮にもなる。社内からの理解や協力が必要な内部監査部門において、重要な活動であるといえる。

Q.内部監査と監査役監査の違いを教えてください

内部監査は、従業員などで構成される内部監査人による、社内の業務全般に対する監査である。これに対して、監査役監査とは、株主総会の決議を経て選任された外部の「監査役」による、取締役や会計参与の職務執行に対する監査である。

Q. 内部監査は専任の従業員が必要でしょうか。

内部監査人が専任でなければならないといった決まりは特にない。そのため、内部監査を実施する時だけ社内から適切な人材を選ぶ方法や、通常業務と兼務させる方法を採っても構わない。ただし、独立性を保つ必要があるため、可能であれば専任配置か、兼任させる場合は自身が関わる業務の内部監査は別の担当者に交替させるなど工夫することが望ましい。

中村 太郎
中村 太郎(なかむら・たろう)
税理士・税理士事務所所長。中村太郎税理士事務所所長・税理士。1974年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。税理士、行政書士、経営支援アドバイザー、経営革新等支援機関。税理士として300社を超える企業の経営支援に携わった経験を持つ。税務のみならず、節税コンサルティングや融資・補助金などの資金調達も得意としている。中小企業の独立・起業相談や、税務・財務・経理・融資・補助金等についての堅実・迅速なサポートに定評がある。

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