矢野経済研究所
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2019年度のQRコード決済市場規模は1兆8,369億円まで拡大

~QRコード決済アプリに飲食店の事前注文、タクシー配車など決済以外の機能をミニアプリとして搭載することで、QRコード決済サービスの利用が増加し、市場規模は拡大する見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内QRコード決済市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

QRコード決済市場規模推移と予測

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1.市場概況

QRコード決済※は、中国で普及しているAlipayやWeChatPayの利用者を取り込むことを目的として、日本での加盟店の導入が進んできた。また、QRコード決済サービス提供事業者は導入コストや手数料率の低さを訴求し、これまで導入企業の拡大に取組んできた。
2019年度は、個店を中心とする加盟店に対しては手数料の無料化、利用者には大型キャンペーンによるインセンティブ付与を強みに、QRコード決済の利用を促す動きがみられた。さらに、政府が実施したキャッシュレス・消費者還元事業などを背景に、QRコード決済市場は急激に拡大しており、2019年度の国内QRコード決済市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで1兆8,369億円と推計した。

※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

2.注目トピック

〜加盟店数、利用者数がともに拡大するQRコード決済〜

QRコード決済サービス提供事業者は、個店を中心に加盟店手数料を無料化することでQRコード決済の導入を促し、加盟店数の拡大を図っている。加盟店のメリットとしては、キャッシュレス決済を利用する顧客の裾野拡大による売上高向上や、レジの作業削減などが挙げられる。さらに、加盟店で使用できる割引クーポンをQRコード決済アプリ上で配信することで、加盟店の売上増加を支援する動きもみられる。その他、営業拠点の拡充や、複数事業者におけるQRコードの共通化などを通じて、加盟店拡大に注力している。
また、新型コロナウイルス感染拡大を機に、感染防止のためにQRコード決済をはじめとするキャッシュレス決済を導入するニーズが高まっている。

一方で利用者のメリットに注目すると、QRコード決済サービス提供事業者が実施する、大型還元キャンペーンによるポイント付与や加盟店で利用できるクーポンの配信などを通じて、利用者の利得性が高まり、ユーザ数が拡大している。また、QRコード決済サービス提供事業者が利用可能箇所数を増やすことで、QRコード決済の利便性向上を図っている。
さらに、QRコード決済アプリに飲食店の事前注文、タクシー配車など決済以外の機能をミニアプリ※として搭載することで、スーパーアプリの実現をめざす動きがみられる。アプリで利用できるサービスの種類が増えれば、利用者とアプリの接点が増加し、QRコード決済の利用が一層拡大する可能性がある。

※ミニアプリとは、ダウンロードすることなくスマートフォンアプリ内で利用できるアプリ機能を指す。また、ミニアプリを格納している親アプリは、スーパーアプリと呼ばれる。

3.将来展望

2024年度のQRコード決済市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで10兆290億円まで拡大すると予測する。
2021年度頃までは、新型コロナウイルスの影響によるキャッシュレス決済のニーズの高まりを背景に、市場は拡大すると見込む。さらに、利用可能箇所数が増加するなか、QRコード決済に登録している会員(利用者)がクーポンなどを通じて他の加盟店へ送客されることで、取扱高拡大につながる見通しである。加えて、QRコード決済に搭載されるミニアプリが拡充されれば、会員がアプリを利用する機会はさらに増え、QRコード決済市場拡大の追い風になると考える。

調査要綱

1.調査期間: 2020年8月~11月
2.調査対象: QRコード決済サービス提供事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<QRコード決済市場とは>
QRコード決済とは、利用者が提示したQRコード(もしくはバーコード)を加盟店が端末を通じて読み取る、または利用者がスマートフォンなどにより加盟店に提示されているコードを読み取ることで決済するサービスである。
なお、本調査におけるQRコード決済市場規模は、QRコード決済サービス提供事業者の取扱高ベースで算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
QRコード決済サービス(バーコード決済含む)

出典資料について

資料名2020年版 QRコード決済市場の実態と展望
発刊日2020年11月30日
体裁A4 114ページ
定価180,000円(税別)

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