矢野経済研究所
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地方自治体への電子母子健康手帳サービスと遠隔健康医療相談サービスの導入件数は、2025年に1,130件(2020年比235.4%)まで増加すると予測

~スマートシティにおける健康・医療の取り組みは、2020年代を通じて各都市に実装・横展開される見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内スマートシティ市場を調査し、スマートシティにおける健康・医療に関するサービス動向、普及状況を明らかにした。
ここでは、地方自治体向けヘルスケアICTサービスのうち、電子母子健康手帳サービスと遠隔健康医療相談サービスの導入件数を予測し、公表する。

電子母子健康手帳および遠隔健康医療相談サービスの地方自治体導入数予測

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1.調査結果概要

日本の各都市では、人口減少や超高齢社会、財政制約など、さまざまな課題が生じている。そのような中で今後、都市機能の持続性を確保するために、「スマートシティ」構想が注目を集めている。近年、目指されているスマートシティにおける特徴としては、①特に複数分野を横断したデータ連携が重視されていること、②産学官連携がなされていること、③当該自治体に関係の深い企業が参画していることが挙げられる。

現在、各所でスマートシティの取り組みが実施・計画されており、2020年代を通じて各都市に実装され、横展開される見通しであるが、分野横断型の取り組み、補助金に頼らない取り組みが進むことが、日本各地のスマートシティ化のために重要であると考える。

2.注目トピック

自治体向けヘルスケアICTサービスは2020年代前半に普及すると予測

本調査では、地方自治体向けヘルスケアICTサービス(各自治体がサービス事業者と契約し、住民は無料でサービスを利用できるBtoBtoCサービス)のうち、電子母子健康手帳サービスと遠隔健康医療相談サービスを合算した導入件数を予測する。2020年での地方自治体導入件数は480件を見込み、2025年には1,130件(2020年比235.4%)まで増加する見通しである。

電子母子健康手帳サービスは、スマートフォン等を通じて、健診結果の閲覧や子どもの日々の成長記録、地域の妊娠・育児関連情報の受信などができるサービスである(紙の母子健康手帳と併用して利用する)。同サービスの導入自治体数はここ1~2年で大きく増加しており、2020年代前半も高い成長が続くと予測する。

一方、遠隔健康医療相談サービスは、スマートフォン等を用いて厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」における「遠隔健康医療相談」を提供するサービスである。同サービスは個人向け(BtoC)を中心に展開する企業と、法人・自治体向け(BtoBtoC)を中心に展開する企業がある。遠隔健康医療相談サービスの地方自治体向けのサービス展開は、2020年現在ではまだ勃興期にあたり、導入自治体数は非常に少ない。しかしながら、既に参入しているベンチャー企業における導入数の増加見込みに加え、複数の大企業が新たにサービスに参入あるいは参入準備しているなど、2020年代前半に導入自治体数は大きく増加すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~9月
2.調査対象: スマートシティ事業実施地方自治体、スマートシティ関連企業他
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、ならびに文献調査併用
<スマートシティとは>
スマートシティを「都市が抱えるさまざまな課題を、ICT/IoTなどの新技術やデータを活用して解決を図る都市や地区」と定義し、本調査では、スマートシティにおける健康・医療サービスとして、健康・医療データの連携・活用(PHR:Personal Health Record)、オンライン診療・オンライン服薬指導、自治体向けヘルスケアICTサービス(健康増進アプリ、電子母子健康手帳、遠隔健康医療相談)について調査した。

※国によるヘルスケアサービス参考情報
「次世代ヘルスケアシステムの動向調査を実施(2020年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2398
<市場に含まれる商品・サービス>
PHRサービス、オンライン診療・オンライン服薬指導、自治体向け健康増進アプリ、母子健康情報電子化サービス(電子母子健康手帳サービス)、自治体向け遠隔健康医療相談サービス

出典資料について

資料名<スマートシティ> 2020年版 スマートシティにおける健康・医療の現状と展望
発刊日2020年09月29日
体裁A4 184ページ
定価150,000円(税別)

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